ひょこひょこおじさん~サリンジャー | 空はどこから/猫の長靴

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日記は苦手だけど、何があって何を思ったのか、あんまり分からなくなるのもねぇ(´Д`)
だからちょっとだけ、記録を残します。

サリンジャーが好きである。

サリンジャーといえば『ライ麦畑でつかまえて』が代表作だが、私は何といっても

『ナイン・ストーリーズ』

私の青春の書である。



作者が自ら選んだ九つの短編小説。その傾向と並びに統一感がない。
それだけに、読み手の心境に応じて、お気に入りの一作が変わってくる。

新潮文庫で初めてこの作品に出会った時、私は高校生だった。
その時のお気に入りは

『対エスキモー戦争の前夜』
女子高生と、障害のある若者との、些細な、ホントに些細な心の交流が描かれる。
最後の一行が素晴らしくいい。

そして
『小舟のほとりで』
小さな男の子が初めて世の中の「悪意」に触れた時。殻に閉じこもりそうになった子と、その子の心を再生させる母親の姿が、これもさりげなく描かれる。

大学生の頃、『笑い男』が気になった。少年野球のコーチをしている青年が「笑い男」という冒険物語で少年たちを楽しませる。
しかし笑い男は青年の自我の投影。
青年の失意と共に、笑い男は突然、惨めに死んでしまう。
心の闇を垣間見た少年達は震えが止まらない。

同じサークルの女の子に、どの話が好きか聞いたら『エズミに捧ぐ』
理由?「だってエズミかわいいじゃん」
これは戦争で心に傷を負った男とオシャマな少女の交流を描いた作品。「カドのところで会いましょう!」

『愛らしき口元、目は緑』
妻が帰ってこない、きっとどこかで浮気している…と気を揉む男の奇妙な行動。
結婚したら、この作品が身に沁みるようになるんだろうな~と思ってたけど……ならなかった
( ̄^ ̄)

そして今、選ぶとしたら
『コネチカットのヒョコヒョコおじさん』
主人公(中年女性)の許に大学時代の親友が訪れる。
主人公は生活に倦んでいて、幼い娘はウザイだけ。
ハイボールをがぶ飲みする。口汚いゴシップと悪ふざけ。そして当時好きだったボーイフレンドのこと…戦争で死んで、もういない。
やがて友人は酔いつぶれる。
主人公は娘の寝室へ。
言うこときかない娘を乱暴に寝かしつける。怯えて目をつぶる姿を見る。
リビングに戻り親友を揺り起こす。そして泣きながら問いかける

「ねえ!
 あたし、いい子だったよね?」

このフレーズ、何故か私の胸に呑み込まれ、アバラの端っこ辺りに貼りついている。







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