一年前に書いた時、何故かそのまま投稿せずに、残してたようだ。今思うと懐かしい 。そして恥ずかしい。

ナイアガラが終わった後もバタバタと落ち着かない日々が続いたので、自分の総括を書き留めるのをすっかり忘れてしまっていた。でも何故総括まで書こうかというと、今回初めてだから。お手伝いを最後まで毎日、関わらせてもらったのは。僕は暇なのか!?先輩達に呼ばれたら忙しくても行くよ。僕は。
劇団HOBOのおかやまさん、林さん、本間さんは僕が駆け出しの時に、今も変わらないけど、もう七年前になるかな。その時に色々教えてくれた大先輩。三人は芝居も勿論、普段の掛け合いが面白くて楽しい。その時に劇団本間を作ると冗談で話をしていたのを覚えていたので楽しみにしていた。それが劇団HOBO。
そもそも僕はお手伝い等のスタッフは絶対にやらないと決めていた。それをやってもお芝居は上手くはならないと叔父が言ってたのを覚えてたから。でもそれで下手のまま時間は過ぎていき、ある時ラ石さんに言われた事がある。「君はもっと沢山の人に会うべきだ。」と。それが理由の一つ。それと一体皆、どんな稽古をしてるのか気になったので更に今から2年前に先輩達に相談して、稽古場を見学させていただく事にした。それからだ。
今回はどうせならとことん盗もうと思ったので、毎日毎日通う事に心に決めた。そしたら、出番があるとおかやまさんが言った。言ったけど、前回会った時もそうからかわれた事があるので、鵜呑みにしなかったんだ。マジですか!!とは言ったけど。蓋を開けたら本当だった。なんてこった。これじゃ、少しの出番でも共演者になるわけだから、深刻に考える性質がある僕は、お手伝いの役割とどう線引きして関わっていいかすっかり混乱してしまった。全く阿呆だ。でも嬉しさ全開だったのだ。でも僕はそれを見せないようにしてた。それが大人だと思ったからだ。それがやっぱりおバカの思考なんだが。
今回は前回と違って、由美子さんと有川さんが居なくて、初めて客演を招いての企画だったので緊張した。喰さんは普通は会えない人だし、西條さんは何度かお会いしてるが、モダンの座長だし。だからいつも以上に気を張って集中してた。それで初通しの時、僕の場面。いよいよ来たかと。最後の6場の最初に明転で出るのだけど、古川さんがその場で僕が出る事を忘れて先に出たんだ。本番じゃなく初通しの時に。僕は遠慮して慌てて出るのを止めたんだ。 そうだよな。僕なんかの稽古じゃないんだとその瞬間、思ってしまった。そしてその時の演出家の目と言ったら。普段と違う芝居でも見れない、あの人を殺した事があるようなあの目。あ、僕死んだなと思った。そこで本間さんが「ともぞう、今出ちゃっていいと思うよ。」「今、出ちゃっていいよ。」って。助け船を出してくれた。本間さんありがとう!助かりました!でも本間さんに二回も言わせたんだ。僕はもうドキドキしながら、もう二度とおかやまさん達を困らせるわけにはいかないと誓った。最初からそんなもの心に留めているが。しっかり気持ちを考えてやってみたら、古川さんが笑ってた。「その役似合うんだよなぁ。首を吊ろうとしてる人みたいだぞ」って。でも何か違うのだろうなと思いながらもそれは嬉しかった。複雑だったけど喜んでしまった。
稽古は皆、忙しいからNGがあったりして、中々全員揃わない。その時には僕が代わりをやらせてもらうのだけど、声が小さいというレッテルを貼られる事になってしまった。しかも途中からだったので、台本の変更部分も正確に把握してなかったから、間違えると「チェンジ!」。最初なんて、初見のくせに林さんがいなかったので、代役をやるのだけど、「じゃ、林さんでやりますね」なんて今思えばよく言ったもんだ。それくらい有頂天だったのか?
案の定、次の日、林さんが帰ってきて「ともぞう、俺の真似が出来るんだって?ほれ、やってみな」と怒ってるのか許してるのかわからない様子だったので「いや、出来ません!出来ません!」と絶対にお断りした。出来ると思ったけど、まだまだ観察が足りないと思ったし、やってみせて場を乗り越える自信もなかった。林さん、中途半端でごめんなさい。終わってみれば喰さんの真似は覚えた。喰さんの芝居は、セリフのその一言を聞いただけで感動してしまう程、心に響く。きっと僕が想像もつかない人生を歩んできたのだろうな。今回、稽古以外の場所での芝居の話が活きているというのがよくわかった。例えば飲みの席で話した事が次の日形になっていく。そしてなにより稽古時間が短い。四時間で終了。確かに何回も返せばいいという訳ではないし、その早さが、さすがだなと思った。どこに行ってもそうやれればいいなと感心した。
そうだ。元々は自分の事を書こう思ったのではないんだ。福田さんのセットを載せようとして書こうと思ったらこんな感じになってしまった。他にも書きたい事は沢山ある。例えば1人1人についても書きたいし、沢山失敗談も。スタッフ呑みの事。舞台監督の部長こと大竹さんの話。お団子屋さん。とにかくここで載せときたい。福田さんの美術。
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おかやまさんがこのブルーシートの家を建ったのを見た時、少しうるっと来たと言っていた。見えにくいけど奥のフェンスの更に奥に新宿のビルが写ったバカでかいパネルがある。福田さんには了承を得て画像を載せてます。福田さんの美術はキメ細かくていつも恐れ入ります。遊びが多くて楽しいです。
しかし、残念なのがもう終わってしまった。もっと沢山の人に観てもらいたかった。全国廻ってもいいくらいだった。誰が観ても楽しめたと思う。HOBOは舞台というジャンルが何故この世界にあるのかがよくわかる舞台だから。僕のお芝居は置いといてね。と思うけど、僕だってとてもおいしい役を頂戴した。何もしなければ芝居の終わりという役。でも何でも出来るおいしい役。見方によってはしようがしまいがどちらでもいいのかもしれない。その役をもらった時、半海さんのように、個人対世界というような所でやりたいと思った。僕だけ全然違和感があっていいなって。ま、出るだけでそうなるんだけど。楽しかった。
喰さんがカーテンコールで言ったように、誰もが明日ホームレスになるかもしれないと。確かに簡単だ。なろうと思えばなれるし、絶対ならないと思っていてもなってしまう人だっている時代。僕は明日がとても不安になった。

補足
一年前に付け足します。
いえ、不安はないです。
ないことはないけど。
楽しみで仕方がない。
生きるとは
そもそもそういうものだと。

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