三谷幸喜さんの新作「90ミニッツ」のDVDを観劇。
近藤芳正さんと西村雅彦さんの90分2人芝居。
生き物の肉を食べないで生きると何度でも生まれ変わる事が出来る、つまり永遠に生きられるという教えを守る部落出身の子が、バイクに轢かれて救急病院に運ばれた。その父親を演じるのが近藤さん。その救命室のチームの副部長の役が西村さん。父親は輸血しないで手術をしてくれと懇願する。輸血をしないと手術が出来ないので輸血をして手術をさせてくれと承諾書にサインを求める。それは訴えられるのが病院側は恐れているからと言っても、それは常識なんだけど。後で医者が告白するが今訴えられるのは昇進に響くので何がなんでもマズイと言うのだ。だから絶対的に承諾書は必要だと言う。今手術をすれば子供の命は助かるんだ!と。でも輸血するということは肉を体内に入れるのと一緒で、息子は助かるかもしれないが教えに反して永遠に生きられなくなると、サインを拒み続ける。万が一、輸血をしたら自分達は今の土地に住めなくなり、教えを信じてる賢い子供も、永遠に心に傷、輸血したという十字架を背負って生きるはめになる。死んだ方がこれも運命だからと告白する。そのやり取りがヒートアップしていく中、子供はどんどん死に近づいていく、、。笑い無しで創られた作品らしいのに、その必死さが笑いを生む事もあるが、最後の最後でとても良い尊いやり取りがあるんだ。最後は父親がサインをしようとする3秒前に医者が手術室に手術の指示を命ずる。医者が言った。「僕は医者になって30年経つがこれほど人の命を救いたいと思った事は無い。医者になりたいと思った事は無い。あなたに恨みはこれっぽっちも無い。むしろ充実させてくれて感謝しているくらいだ。貴方は満足してる筈だ。もう少し嬉しそうな顔をしたらいい。」父親が言った。「私は貴方が手術室に電話するのが3秒遅かったらサインをしていた。その3秒分だけ一生、いや、生まれ変わっても永遠に後悔し続けるでしょう。」
素晴らしい作品だった。この2人を観てこの芝居を観て、その感情があれば他のものはそんなに要らないと思えた。自由になるというのはこの舞台を観たらわかる。楽日は自分なりに自由になれま気がした程、影響を受けた。ますます芝居が好きになった舞台でした。
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