ステイゴールド | 花鳥風月文々草紙

花鳥風月文々草紙

独身女と愛しの文鳥との平和でのほほんとした日々と、料理や好きな手芸や音楽と言った趣味のブログです。


ステイゴールド が死んだ。

死因は不明との事だったが、解剖の結果大動脈破裂だそうだ。


現役時代はGⅠがなかなか勝てず、唯一の勲章が最後のレース 「香港ヴァーズGⅠ」

能力はけた違いだったのだそうだが、我の強い性格で、その性格が災いした。

納得がいかないと走らない、気に入らないとまた走らない。

関係者はさぞかし苦労しただろうと思う。


さして期待されないまま種牡馬になり、現役時代同様なかなか芽が出なかったが、

史上7頭目の三冠馬 オルフェーブル が誕生した。

その後、GⅠ5勝を挙げた ゴールドシップ も誕生して、一気に主役の座に躍り出たのだった。

期待されないと言う事は、良質な牝馬が集まらないと言う事。

その中からこれだけの馬が誕生するのだから、その潜在能力はすごかったのだ。


メジロマックイーン 牝馬との配合は黄金の配合と呼ばれた。

忘れられつつあった血が蘇ったのだった。


今年誕生する産駒が最後の子供達になる。


香港の場合馬名が中国語表記になるのだが、 ステイゴールド は 黄金旅程 となった。

遅咲きだった名馬。

その冥福を祈りたい、合掌・・


黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語/石田 敏徳
¥1,404
Amazon.co.jp

近いうちに購入する予定だったが、すぐに頼みたいと思う。

ステイゴールド を知って、つい思い出す馬がいる。

アイアンリージ 、おそらく誰も知らない、なぜなら一度も競馬を走っていないから。

何せ ステイゴールド と性格が似ているのだ。

とにかく頭が良くて、栗毛で、重心の低い筋肉ムキムキタイプの馬だった。

父親は ロードリージ だったから、バリバリのダート血統。

まさに人を見る馬で、乗馬を始めたばかりの初心者だった私は彼に散々翻弄されたものだった。

彼のすごい所は、本当の初心者には何もしないのだけど、

少しできるようになったらあれこれと仕掛けてくるところ。

先生が見ているとちゃんと動いてくれるのだけど、「後は自由に乗りなさい」と先生がいなくなると、

途端にふぅ~と力を抜いて押しても引いても全く動かなくなってしまう。

馬場の真ん中で銅像になってしまうのだ。

ムチなんて当てようものならすごい目でにらみつけ、勢い良く尻っぱねはするは後下がりするは、

そこで怖がったら思う壺でもう何をしても動かない。

頑張ると少しだけ動いてくれるけど、また様子を窺うように動かなくなってしまう。

彼が最初の関門みたいなものだった。

手入れをしたり、世話をしたり、付き合ううちに少しずつ認めてくれるようになり、

最後はとっても仲良しになったのだけど。

アイアンは、能力はすごいものを秘めていたと思う。

競走馬になるための能力試験に受からなかったわけだが、

おそらくあんな性格だったから、騎手が気に入らないとかで走らなかったのかも・・

周りのみんなと良くそう話し合ったものだ。

そんなある日の事、私はアイアンに乗って海岸に出た。

波打ち際をのんびり散歩しよう、そう思って気軽に出たのだけど、

その時私は人生でそうないほどのすごい体験をすることになる。

波打ち際を歩いていたら、アイアンが突然はみを取って(つまりはみをしっかりくわえて)

走り出してしまったのだ。

ぐんぐん加速していく。

そのうち重心が一段ずんと低くなり、それと同時に反動が無くなった。

競馬の走り方を襲歩(しゅうほ)と言うけど、これがまさにそれ。

私はただしがみ付くしかできず、正直、もう私の人生は終わるかも、と本気で思った。

騎手はこのスピードの中で色々とするのだから本当にすごいなぁと後に思ったけど、

その時の私は何もできずに途方に暮れるばかりだった。

顔に受ける風圧の激しさと耳元でびゅうびゅうと唸る風。

どれくらいそうしてたのか、実際は10秒とかそんなものだったかもしれない。

向こうから大勢の人がぞろぞろと歩いてきてアイアンは急に減速した。

私はもう必死で彼を止め、急いで降りて引いて帰ったのだった。

全く持ってすごい経験をさせてもらった。

アイアンは人の話をちゃんと聞いてくれて、泣きたい事があると私は彼の馬房に行って泣いた。

他の馬だと露骨に嫌な顔をして追い出すけど、彼は黙っていさせてくれたものだ。

男っぽい、芯がしっかりした大した馬だったと思う。

ちゃんと競馬を走っていたら、と思う。

たらればは禁物というけれど、アイアンに関してはつい思ってしまう。

彼の駈歩(かけあし)は実に安定していて乗り心地は最高だった。

未だにあんな駈歩ができる馬に会った事が無いほど。

永遠のアイアン、もう彼は私の思い出の中にしかいない・・

たまらなく会いたい時がある。

すごい脚で追い上げてきたアイアンリージ


すごいすごい、誰も追いつかない、


今、一着でゴール!!