あれからどんだけベンチに居たのがわからないけど

キリがないので家に戻った。


兄は居なかったが、父が難しい顔をしてリビングで

作業をしているのを知った瞬間に何も言いたくなくなった。


母にさえ「ただいま」も言えなかった。


そのまま聴こえてくる音の世界が嫌で

布団に潜って寝た。


起きたのは9時過ぎ。

兄は友達と出かけて居ないと知った。

食事しながら今日の出来事を母に話した。


母曰く、「兄も職探しで焦っているのよ」と。


家族の中で1番繊細なのは知っている。

1番優しくて、1番言葉に傷つきやすいんだ。


だから仕事での出来事を聞くと

落ち込んでいるんだろうなって思う。


それと兄の車に乗りたがらない理由も話した。

兄は冗談のつもりで

「高速乗るか?」と言う。


私からしてみれば脅しだ。


それもわかっていない発言。


知らない道も恐いのに

「いつもと同じ道じゃつまんねぇ。」と言って

苦手な一本道を通る。


兄は私がそういう狭い道が恐怖なのをきっと知らない。

運転している兄に文句は言えない。


だから耐えるしかないんだけど

それが恐くて今でも自転車でも歩きでも狭い一本道は恐怖のひとつだ。


1番恐いのが吐くことだと兄に説明しても

伝わらないし、全く理解されない。


兄はよく友達と出掛ける。

それを聞く度に私の中では複雑な気持ちになる。


遊ぶのは兄なりのストレス発散なのだろう。

だからって遊び過ぎじゃないのか?って程出掛けているのを知っている。


私の家の近くには友達はいないから

そうやって遊ぶことも出来ないから羨ましいとも思う。


でも、遊び過ぎだ。


外に出ればなんだかんだ言ってお金がかかるだろう。

我が家の状態を知っているのだろう?


そういう行動にも腹が立つんだ。


部屋で大声で笑っているだけでも腹が立つこともある。

私はなんて心の狭い人間なんだろうと思う。


そのうち言ってはいけない言葉を言ってしまいそうで

自分が恐い。


でも、私の中でそういうどろどろとした感情が

生まれて蠢いているのも、確かなんだ。


今は兄の顔も、声も聞きたくない。