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詩: 映画好きのおっちゃん
「いやぁ〜
これがまたええ映画でなぁ!」
もう始まっている
まだ座ってもないのに
始まっている
缶コーヒー片手に
ポスターの前で
もうラストシーンまで喋ってる
「ほれ、ここ!
ここが泣けるんや!」
いやまだ
誰も観てへん
「昔の映画いうのはな、
雨の降り方が違うねん」
知らんけど
ちょっと分かる
スクリーンの話なのか
人生の話なのか
もう途中から
誰も区別していない
エンドロールより長く
喋り続けて
最後だけ急に
照れたみたいに笑う
「ほな、サイナラや」
ロビーのポスターだけが
まだ少し明るい


