詩: 赤い風車

夜ごと回る夢
人々の中心で
彼の影だけが動かない

笑う女たちの影を
薄い紙に閉じ込めながら
自分だけを描かなかった

赤い灯りの下で
誰よりも人を見つめていたのに

愛は
彼には重すぎた

だから彼は
それを胸に下げたまま
踊り子たちを
永遠にした


🎩








詩: たこ焼き屋さん


ちょっと遠いねん
たこ焼き屋さん

大きな鉄板の上で
たこ焼きが
ポコポコ ジュワー

この匂い
走ってきた息を
そっと整える

空を眺めるように
ポップのひとつひとつを
しばらく見つめる

向かいの公園で鳩が羽ばたく
建物の隙間から
午後の空が近い

手が
温かくなった

光と風のなか
包みを抱えて
家へ急ぐ


💨



詩: おはじき


透明のガラス

色のないところが

いちばん綺麗だと思った


でも

その端ににじむ

変なみどりのシミがなければ

きっと

ただのガラス片になってしまう


光の中で

色のない部分が澄みわたり

その曖昧なみどりが

小さな影のように

そこにとどまる


どちらか一つでは

成り立たない美しさが

手のひらの上で

静かに揺れていた