震災が過ぎたあとの余波はしばらく続いた
連日の報道と被災地への配慮、風評被害、様々な形で自粛と景気への影響はあった
焼鳥屋では店舗を増やしたことにより、社員を増やしたことが裏目に出てしまった
僕も方も出所後の大変の中『どおしてもうちに置いて鍛えてくれと』頼まれ、人を多く雇うだけの余力も無いのにも関わらず、断り切れずに預かってしまった子がいる
だから、自分は他所で働く事にしたので、焼鳥屋の社長の気持ちは痛いほどわかる
そして、こんな震災が来るとは予測もしていない
景気が悪くなり、一番重く乗り掛かってくるのは人件費だ
自営業の社長の給料は、すべての経費の一番最後に後回しだ
ダメな時は、何ヵ月もお給料が無いことなんてざらにある
当たり前の事だ
経営者とは船長でる
船が座礁して、沈み掛けている時に最後まで船に残り、乗員の安全を確保し、最後に船と命を共にするのが船長であり、経営者である
キャプテンシーとはそう言う事だと思う
色々な個性のある乗組員が要るなか、それをまとめ船を進める
未来はわからないが、事故を起こさない車、飛行機、船はない
事故を起こさない会社もない
その時にキャプテンの資質が問われる
良い艦長かどうかはそれだけだ
はじめから立派な艦長も存在しない
何を見て、何を経験してきたか⁉️が未来のキャプテンを創る
学歴や経済力でなるものではないし、誰彼関わらず口の上手い若い子にチャンスを与えるものでもない
俺もまだまだ未熟なキャプテンである
焼鳥屋を後任に託し離れる事になるが、社長には感謝しかない
『塀の中の懲りない面々』の俺に一緒に居てくれ、修行をさせてくれて、それだけで本当に命を救われた
お金を借りて、まだマッサージブームが来る前に地方で最初に店舗を構えた
昔違法の箱ヘルをやっていた店舗が必ずそのままで、空いている物件が有るはずだと思い、探したらまだ比較的に綺麗に残っているお店があった
もちろん違法なお店ではないが、田舎は中々新しい物に飛び付くには時間が掛かると思い心配をしたが、初期経費を安く押さえられたのと、以前の経験が役に立ち直ぐに利益を出すことが出来た
そして何とか、大変な時期を乗り越え軌道修正をしている矢先に、また不穏な足音が聞こえてくるのである