自分の中で『まさか』が事故である
こんな時は言い訳を沢山考える
誰かが仕込んだ罠じゃないか⁉️
店長がはめたんじゃないか⁉️
店長が恨まれてたんじゃないか⁉️
俺の携帯が無実を証明しているのに、警察は調書にその事は一切載せてくれない💢
もう調べは終わって要るのに、出れない
接見禁止が釈放まで取れない💢
そして22日後に再逮捕
怒りで自分が壊れそうになる
怒りで自分をコントロール出来なくなる
ただただ自分との戦いであり、我慢であり、考える時間である
しかしこんな場所で不思議な事が、幾つか起こるのである
一つは、以前逮捕された時に同室だった覚醒剤で捕まった男が、また捕まって来たのだ
前回とは別の警察署で、外では1度も会っていないのに留置所での再会だ
俺もそいつも懲りない面々だ
もう一つは同部屋になった不良が俺と同じ誕生日であった
後にこの不良から、不思議な出会いを引き合わせて貰う
この同部屋の不良からも兄貴と慕われ、怒りで壊れそうな俺を、板東英二さんの物まねで少しの楽しい時間にしてくれて救われた
まだある、もう一つはこの留置所に入っている時に、新聞が読めるのだが、20年前に退学になった高校が初めての甲子園出場を決めた日であった
定時制の時に、何度も何度も夢に出てきては、定時制から昼間の高校に戻り甲子園に行く夢を見た学校が、初めて甲子園出場を決めた✨
嬉しいのと、情けないのが入り乱れ、複雑な気持ちだった
俺が泣かしてしまったコーチが20年経ち、今は監督になっていた
『良かった…先生嬉しいだろうなぁ⁉️甲子園出場おめでとうございます』と留置所の中で、届かない声を発した
同時に『俺こんな所で何やってるんだろう⁉️』と強く思う
やり場のない怒りは、次第に誰のせいでもなくなる
全て自分が選んだ道
全てが自分の肥やしになる
後悔はない、この場に立たないと、この場に来ないと世の中の不条理も、世の中の現実も知ることは出来ない
世の中には、知らなくて良いこと、経験しないで良いこと、聞かなくて良いことは沢山ある
中途半端に知り、それを言い訳に夢を諦めるような人生なら、何も知らない方がましな人生だ
甲子園を目指す健全な高校野球、働きながら夜の学校に通い神宮球場を目指す高校野球
戦争を知らない世代と言われる中での、自衛隊での経験、独り徴兵制
誰もが1度位は憧れを持つ芸能界での1軍を見させて貰い、またその真逆の誰もが1度も経験はしたくない留置所生活を2度も過ごし、その対照的な物をどちらも経験して、普通はどちらか一方の世界しか人は見れない
俺は1度の人生に、詰め込めるだけの経験を詰め込んでいる
どこを目指すのか⁉️どこに行けるのか⁉️
この時の俺にはまだわからない
ただ、ここを出れたら本当の地獄が待っている
それでも進まないといけない
今までの経験は全て、次に迎える試練を乗り越える為の重要な経験なんだ
何度もくじける、何度も挫折する、何度もバカにされる、何度も涙をしても、何度も立ち上がって、誰かに優しい言葉を掛けられて、誰かに勇気付けられて、また夢を持ち、また突き進む
1度キリの人生を、子供の頃の心のままで、変わらないままで生きてやる
沢山人に迷惑を掛けてきた
沢山人を裏切った
それでも、人に勇気を与え、人に夢を魅せれる生き方をしたい
あいつが出来るんだから俺にも出来るだろ⁉️って生き方を魅せたい