留置所に入れられ、取り調べの毎日を過ごす
もちろんだが、携帯は使えない、お風呂も3日に1回しか入れない、会いたい人にも会えない
はじめは不自由で仕方がなかった
不安で仕方なかった

色々な事が心配になってくる

そこに漬け込む、警察の取り調べにも嫌気がさしてくる
警察は自分達の理想の調書を巻こうとする
どうしても極悪犯にしたいらしい

『風俗をやったらいけない場所でやった』
それ以下でも、それ以上でもない
だから風営法を『ションベン刑』と言う

こんな物に300名も動員しているのだから、少しでも、棚からぼた餅の様なネタが欲しいのだろう
悪いことをしている奴は、色んな悪いことをしているだろうと

しかしお客さんから苦情があるわけでもなければ、働いている女の子から話を聞いても『凄く良いお店なんです』と皆が言ってくれたと言う

はじめは、極悪経営者で、人として最低の奴だとも罵る警察もいた

俺も元々は自衛官だ
警察と程遠い仕事をしているわけではない
公務員の気持ちもわかる

でも、ダメな物でも必要悪はあると思っている

最も危険なのは勘違いだ
警察が人を裁く事は出来ない
人を裁くのは人ではなく法律で、その判断を公平に下すのは裁判官で、犯罪者でも、猶予を与えるのが弁護士なのだ 

それを履き違えて自分が裁いていると思っている警察
職権を乱用し、権力を持つ人ほど危ない人はいない
『皆が言うことを聞くから偉いんだ』『お金を持っているから偉いんだ』は人をダークサイドに落とす
権力やお金欲しさに良心を失う


次第に調書を担当する警察官も
『風俗オーナーを何人も逮捕したことはあるが、お店の女の子がオーナーをこんな信頼しているお店は初めてだよ』と言われた


不思議な物で環境に慣れるスピードは、自分でもビックリする
色々な犯罪を犯した人が入れ違いに入ってくる
覚醒剤、詐欺、傷害、窃盗様々だ

同室になった自分より少し年下の子は覚醒剤の所持、使用であった
自ら走っているパトカーの前に飛び出し
『逮捕してくれー』と騒いだらしい

こんな子でも話をしていると、普通の子である
色々な身の上話をしているうちに『兄貴』と呼ばれ、覚醒剤には2度と手を着けないことを約束した

短いようで、物凄く長く感じた約2週間が終わり、罰金を払いシャバに出てきた