やっと求人の電話がなった
声は可愛い

待ちに待った新人を面接した
期待が大きすぎたのか、見た目、ルックスで採用基準には満たしていなかった

丁寧にお断りをしたつもりだが、なかなかその場を離れて貰えない

その殺りきれない空気に耐えれなく
もう一度何で働きたいのかを聞いた

大抵はやはりお金に困っていると言う人が多い
ただ、お金に困っていると言う理由の中身も様々だ
人間関係で普通の会社で勤められない
親の借金を何とか助けたい
親が病気をしていて、看病しながらなので
彼氏の借金で
遊ぶお金が欲しい

理由を聞いてしまうと、どうしても断れなくなってしまう

何故ならば、うちの親も商売をしていて自己破産をしている
キャスティング会社も…
自分は男の子だから、そう言う選択肢を考えた事は無かったが、気持ちはわからなくもない
もちろん他の選択肢もあるだろう
しかし、ここに面接に来る子達は、悩みに悩んで来ている
人生をやり直す選択をして来ている

段々に自分の仕事に対する言い訳なのか、自分の中の正義を考える

ここに来る子達が、ここに来たことを後悔しない様に、ここを少しでも早く卒業して、普通の生活を取り戻せる様に

家が居づらくても、会社が居づらくても、ここが居やすい場所であるように

嫌なお客さんが沢山いても、うちらがいることで笑い飛ばせる場所であるように

色々な事を背負い混んでいる子達の家庭であり、その子達を社会に戻せる場所でありたいと強く思うようになった

お客さんに対しても、たったの60分とかで大人が1日一生懸命働いたお金を払って癒されに来るのだから、楽しい60分でないといけない
嫌々やっていたら、そのお金は価値の薄いものになってしまう
それでも楽しい時間であれば、また来月お給料が入ったら行きたいなと思って貰える

不思議な物で、可愛い子なんて最初は1人も入って来なかったが、この様に毎回断ろう断ろうと思いながらも理由を聞いてしまい、じゃあ頑張るか⁉️と採用になってしまう
そして、シャワールームから笑い声が聴こえて来る数が増えて行くと、お客さんも女の子もいつしか増えていった。

最初は『2時間掛かってしまいます😢』と断っていた接客も
『2時間待ってもらえれば行けちゃいますよ🎵』に変わった

お客さんは2時間だろうが、3時間だろうが待ってくれ、いつしかオープン前にはお店前にお客さんが並び、予約で埋まるお店になった。