悪い流れはそれでも止まらなかった
今度はキャスティング会社に付いていたスポンサー会社が、日米合作映画のスポンサー契約をしていたのにも関わらず飛んでしまった
何とか穴埋めをしようと、会社も頑張り、僕も全力でサポートをした
ところが次第に明るみになっていくずさんさ、ハリウッドへの渡航費は二人分、間に入っている人間は大手の名刺を振りかざし、彼女との旅行がてらついでに仕事
その男を紹介した超有名な映画制作会社の名刺を振りかざしていたのも、問い合わせをしたところ『うちとは関係ありません』と言われた
いったい映画の世界はどうなっているんだ😢
それでも少しでも回収して、何とか潰れるのだけはとあがいたが、どうにも回らなくなり破産手続きをすることになった
色々な所が、社長の所に来て
『ここまでの映画の権利を売ってください』と来た
今までに掛かった費用は800万、売れば500万近くにはなったかも知れない
それでも社長は『これは絶対に売らん‼️』と誰からの話も断った
そこから映画に掛けた情熱が伝わってきた
社長も金策からの疲労で、軽い脳梗塞と診断され言葉も上手く出なくなって来て、田舎に帰る事を決断した
最後に社長は
『この映画の権利、ヒロ貰ってくれ』(社長)
『え、でも僕には映画作れないですよ』
『いいんだ、今誰かに売れば数百万になるだろうが、そしたらもう自分の子では無くなる、でもこれまで一緒に一生懸命やって来たヒロが持っていてくれたら、世にでなくてもうちの子だから』(社長)
この終わり行く会社で、唯一の希望であった『シーボルト』と言う作品の権利を託された僕は、何もする事はできないが、1人の映画マンとしての魂、生き様を受け継がれた様な気がした
親の会社も、お世話になったキャスティング会社も終わり、ただただ自分の力の無さを痛感し、明日への希望がおびただしい雲で覆われいった
Vシネブームの終わりでもあった
もちろん映画のギャランティも入ってこなくなり、バイトの量を増やし、何とかやりくりをしてしのいでいた
また1から営業に行く、気力も無くなってしまっている
それもそうだ、全力で恋愛をし、両思いになり、一緒に夢を追い掛けて、思っていた未来とは違う物になり、2人の恋が終わる
そして、終わったから、『はい次の恋』とは行けない
少し考える時間が出来るのである