付き人からの解放感は半端ではなかった
20歳~26歳までの間、役者になる為、芸能界で生き残るために5年間を修行として、海上自衛隊、付き人を勤めた
我慢に我慢を経験して、果たしてどんな成果が待っているのか、この頃の僕にはわからない
それでもバネを思いっきり縮めた状態を乗り越えあとはジャンプするだけだと思っていた
どの時間にも戻りたくはない
自由を手に入れたが、逆にこれからは、誰にも守って貰えない
1人での勝負である
実家に戻り、ガソリンスタンドとトラックの配送のアルバイトを掛け持ちしながら、自分の役者の営業を開始した
Vシネマを中心にキャスティングしている会社を紹介してもらい、そこに週1通う
狭い事務所に社長のおじさんと事務のおばさんがいる
そこに代わる代わる事務所のマネージャーが訪れてくる
初めての営業でもある僕は、そこにポツンと座るだけで、何を話してよいかもわからない
もちろん向こうから話し掛けてくれる訳でもない
辛い時間がただ流れる
これ意味があるのだろうか⁉️
と思いながらも、辞めてしまったら終わりだと思い、また来週も来よう、と決めて1週間バイトに明け暮れる
また営業の日になる
コンビニでお茶菓子と飲み物を差し入れで買い持っていく
付き人での成果か、黙って大人達の会話を聞いているうちに社長の好みがわかってくる
関西が地元なのか~
阪神ファンなのか~
Vシネだけでなく、日韓の合作映画も作るのか~
全て人の会話の盗み聞きだ
また1週間後
今度はコンビニのお茶菓子ではなく、たこ焼き🐙を買っていく
すると思った通り喜んでくれる
この日の前日に阪神が負けたので、来週にこの話題は持ち越し
次の営業日の前日に阪神が勝つと
『社長、昨日阪神勝ちましたね🎵』
『お、ヒロくんも阪神ファンか⁉️』(社長)
『いや、僕はベイスターズです😅』
段々に会話が出来るようになってきた
『社長韓国行く時って成田までどう行ってるんですか⁉️』
『タクシーだよ🚖』(社長)
『じゃあ成田まで僕送りますよ✨』
『え、悪いよ』(社長)
『僕成田までの送り迎えって付き人やってたから得意なんですよ🎵』
『そっか悪いな🎵じゃあ今度頼むよ』(社長)
やったー🎵得意も何もない
ただ成田に車で送り迎えするだけなので、免許があれば誰でも出来ることだ(笑)
ただ、『付き人やってたので』妙に説得力ある言葉になる
そして車に二人だけになれば、話を出来る時間が出来ると言うことだ、省吾さん以外の普通の人は、の話だが(笑)
しかし車はもうボロいのしかない
そこで、堅気になり結婚をしてトラックの運転手をしている仲間に話をした
理由を話したら、心地よく🆗をしてくれた
『俺のクラウン使っていいよ🎵』(仲間)
『わりーな』
『何言ってるんだよ、こうやって要られるのもお前のお陰だろ🎵』(仲間)
車を乗り換えて、社長を成田空港まで何度も送り迎えをした
色々な話が出来て、仲良くなれ
『先ずはエキストラに毛が生えた様な役だけど、映画出てみなよ✨』(社長)
『はい、ありがとうございます🎵』
戦略を立てれば思い通りになる
こうして映画俳優として、マネージャーとしてのスタートを切ったのである