授業中、クラスの仲間を巻き込んで先生に背中を向けカードゲームをしている
授業中なのにも関わらず、人の弁当を食べてる
食べられたその子は当然の如く、お昼は食事を買いに行かないといけない
同級生は、俺の事を呼び捨てにする子すら居なくなっていた
授業が終わってから、野球部の怪我人はコーチに練習を休む許可を取りに行く
『足が痛いので病院に行きたいので休ませてもらって良いですか?』(部員)
『そんなん、病院行ったって治らん!💢サボりたいだけやろが!行かせんぞ』(コーチ)
何人も並んでいる列に
並びもせずに横から
『あの~』
『なんや?』(コーチ)
『腰痛いんで帰りたいんですけど』
『帰ってどうするんや?』(コーチ)
『寝ます』
『そっか、そやな、わかった』
『えー、先生僕は?』(部員)
『お前らはダメじゃ!なめとんのか💢』(コーチ)
あからさまに鬼コーチも俺には特別扱いをしていた
それは、コーチの中にあのキツイ練習に耐えてきた為に身体を壊してしまったのかも?
と言う罪悪感からのものかも知れない
一方俺は帰る訳でもなく、悪い仲間数人とありとあらゆる悪いことをした
バイクを盗み、改造し、売り、勿論夜はバイクを乗り回していた
夕方は他所の高校に行き、校門の前で待ち構え、2年生でも3年生でも構わず生意気な子を見付けてはカツアゲを繰り返した
本当に最悪な1年生だ
色々な人を裏切り、沢山の人に恨まれていたと思う
他所の学校からは、高校で名をはせたい不良が俺を狙いに何人も来た
会ったこともない奴に、『ヒロって奴はどいつだ?』と挑戦をされた🎵
全て返り討ちにしてくれた
そして野球部の中でも、俺を気に入らないと全員が思っていたと思うが、その中で1人だけ勇気のあるやつが
『俺とタイマン張れよ、お前生意気なんだよ』と言う、坂と言う男がいた
坂は見るかに強面で、野球部で1.2を争うパワーの持ち主だ
『お、勇気あるな~、高校球児が喧嘩して良いのか?』
『お前だって一応そうだろうが💢その余裕さもいちいちムカつくんだよ💢』
『3分もったらたいしたもんだよ(笑)』
『うるせー💢』
喧嘩ばかりしている俺に、普通の高校球児が勝てるわけもない
一瞬で勝負はついてしまったが、俺はこの坂が大好きになった
それは、勝てない相手でも気に入らないと思ったら立ち向かう、バカさがたまらなく良かった
結果、この坂とは大人になってもずっと親友であり、この頃の話で永遠に話せる位の大事な親友になった
他の同級生は、敬語を使い俺の機嫌を伺うが、裏では悪口を言うのだろう
若いのにサラリーマンの様な性格が染み付いている奴は好きにはなれなかった
世の中のニュースを見ても、何でこんな奴が要るんだろう⁉️と思うような奴がいる
俺は正しくそんな、非道な奴で、自己中で自分中心に世の中が回っていると勘違いしているバカ人間であった
自分でも薄々気付いていた
俺、みんなにどう思われているんだろう⁉️
順が生きていたら、何て言われるんだろう
中学の担任には、卒業式の日、貴方は朝起きれないからと目覚まし時計をプレゼントされ『甲子園に行きなさい』と言われた
親は必死に腰が良くなるようにと、何処かに良い先生が要るとか、良い病院があると聞けば俺を連れて行こうとしてくれた
俺はどれだけの人を裏切り続けるのだろう⁉️
もう時期1年生が終わる
もう、人を裏切りたくない
周りの人を傷付けたくない
自分を嫌いでいたくない
腰の痛みへのイライラより
そんな思いの方が強くなってきていた
どれだけ、ムカつく奴を殴っても、どれだけバイクで夜中飛ばしても
『俺何やってるんだろう⁉️』
と言う気持ちは消えなかった
俺は覚悟を決めた
もう一度野球をやろう
これで腰が壊れても、下半身不随になっても
今の生きながら死んでいる状態より、よっぽどましだ
俺は間違っていた
どれだけの時間を無駄にしたのだろう⁉️
どれだけ人を悲しませたのだろう⁉️
どれだけの人を裏切ってきたのだろう⁉️
俺に出来ることは野球しかない
昔の様に全てのメニューをこなすことは出来ないが、出来る事をやり、また野球に打ち込む事にした
やはり野球が好きだ
そして公式戦が近付いた頃、コーチが普段では絶対に有り得ないことを言い出した
公式試合用ユニフォームを通常はコーチから、メンバー発表をして渡すものを
『今回は自信のある奴、取りに来い』と言った
みんなは戸惑って直ぐに手を上げる子は居なかった
俺はすかさず『はい』と手を上げた
コーチは待っていたかの様に笑いながら
『お前ずっとサボっとったのに、良く手を上げれるな』とユニフォームを差し出した
こうして、普通の高校球児の生活を取り戻して行くものだと勝手に思っていた