いつもの様に決まった時間に遅刻をし教室に入る
すると、同じクラスではない見慣れた顔が
『おー、ヒロ!野球ばっかやってないでたまには遊んでくれよ🎵』
俺と入れ違うように出ていく奴は、2年生まで夜中散々遊んだ仲間だった
そいつが出ていったあと、クラスメイトの仲間は憂鬱そうな顔をしていた
『どうした?なんかあったか?』
『・・・・』
昼休み
『ヒロちょっと相談があるんだ』
『どうした?』
話を聴くと、クラスの男子ほとんどがカツアゲをされていた
しかも常習的にあり、みんなそれに困っていた
『じゃあ、俺が話すわ』
『なぁ、何でお前らそんな金が必要なのよ?』
『ヒロ、勘弁してくれよ』
『いや、お前らそんな奴じゃないだろ?何か理由あるんだろ?』
『・・・・・』
『族の先輩か?』
『・・・・まぁ』
『だよな、だから俺は知らん奴とはつるみたくないって言ったろ、仲間だけで走ってた方が楽しかったじゃんか』
『俺らにも色々あるんだよ、ヒロ、目を瞑ってくれよ』
『お前らも仲間だけど、クラスの奴らも仲間なんだよ』
『ヒロ、俺ら金用意しないとやばいんだよ』
『じゃあ、その先輩呼び出せよ』
この仲間は中2の時のクラスメイト、制服無くなった事件の時に唯一俺をかばってくれた中の1人だ
俺にたまに反抗的な態度をとる度、絞められていた
俺と喧嘩などはしたくないのはわかっている
もう1人も転校して来て以来、ずっと俺と2人で夜中走り回っていた奴だ
こいつも元々は野球部で本当に仲が良かった
夜中遊び、俺は必ず学校へは行っていたが、こいつは学校へに来なくなり、不良道一直線になっていた
学校に来ない仲間を心配して、家に迎えに行くこともあった
『おーい、まだ寝てるのかよ?学校にも来いよ』
『おー、もう夜か?』
『寝ぼけてるなよ、そんなんじゃ中学も卒業出来ないぞ(笑)』
『お、成績表あるぞ、見せてみろよ』
『・・・・・👀』
俺ともう1人の友達は愕然とした
俺らは毎日学校に行き休んでないのにオール2だ
なのに、ほとんど学校へ来てないこいつはオール3にたまに4がある
どうなってるんだ⁉️
世の中には才能を生かせる奴と、生かせない奴がいるんだな
『ヒロ、一緒に族に入らないか?』
『俺さぁ、お前らと走ってるの最高なんだけど、そこに知らない先輩とかいるのムリなんだよ(笑)しかも威張られたら最悪じゃん(笑)』
『そっか』
深夜の人気のない公園
もちろん向こうが何人もで来ることはわかっていた
『よし、じゃあお前らタイマンしろよ』
『よう、先輩さんよー、お前が俺とタイマン張ればいいべよ』
『生意気だなぁ💢いいからやれよ』
もちろんタイマンな訳がない
仕方なく昔の仲間どおしで喧嘩が始まった
悲しい喧嘩だ😢
俺はほどなく優勢に倒していたが、とどめを指さずにいたら、後ろから角材で殴られ倒れた
もうろうとしているところに、顔面に蹴りが入った
一瞬にして歯が折れ、飛んだのがわかった
何人もに囲まれボコボコにされている中、必死に誰かの腕を掴んだ
その腕を力任せに蹴り折った瞬間、そいつが大声で叫んだ
『い、いてぇ⤴️』
その大声で近くを巡回していた警官が走ってきた
決着は付いていた
完敗だ
向こうは一斉に逃げて行ったが、俺は動く事すら出来ない
顔はボコボコに腫れて、原型がない
『おい、キミ、大丈夫か?誰にやられた?』
『知らねぇ』
かばった訳でもない
喧嘩の常識だ
負けたうえにチンコロしてたら喧嘩を売る資格も買う資格もない
次の朝
『あんたそんな状態で学校行くの?』
ボコボコの顔に歯の無いヤバイ顔、今となればハロウィンにはちょうど良いが、この頃はハロウィンを祝う風習も無かった
頭顔にぐるぐる巻きの包帯にマスク
転校生のミイラさんですか?と思わず言いたくなる様な状態だが、誰もいじらない
クラスでは、誰も俺のとこには近付いてこない
ヒソヒソと女子の話す声が聴こえてくる
『最近真面目に野球やってて良いなぁ~って思ってたのに』
『やっぱ、不良は不良なんだよ😢』
そこに昨日の喧嘩の相手が近寄ってくる
『ヒロ、お前皆のために喧嘩したのに、周りの奴は知らんぷりかよ、お前も可哀想だな(笑)』
『おい💢お前らまだ俺の仲間に手を出すなら、何度でもやってやるぞ💢』
『やっぱこいつ、やべぇーよ、行こうぜ』
入れ違いに担任の先生が入ってくる
『何あんた、ヒロ?あなたどうしたの?』
『転んだんだよ』
『ちょっと😢あとで職員室来なさい』
職員室
『貴方本当に誰にやられたかわからないの』
『わからねぇーよ、バカだからな』
『せっかく野球頑張って高校入れるのに、もしダメになったらどうするのよ😭』
『ダメになるかな⁉️』
『推薦と言えども面接はあるんだからね、まだ少し時間あるから、それまでに治ってくれればいけど』
しばらくの時間が経ち
『お、元の良い男に戻ってきたね』(担任)
『うるさいよ』
『ヒロ、面接で笑っちゃダメよ❗』
『何で?』
『歯の無い高校球児はやでしょ⁉️』(担任)
『バカにしてるだろ⁉️』
『ほら笑うと歯がない、ヤバイ(笑)』(担任)
『1年の時からだけど、何で先生は俺の味方をしてくれるんだよ』
『そーねー、貴方は不良だけど、悪い不良じゃないのよ、弱いものいじめしないし、よくわからないけど、何かのために突っ張ってる様に見えるからかな⁉️』(担任)
『なんだよそれ、俺そんな立派じゃないからな』
『知ってるわよ、ダメな子ほど、可愛いのよ🎵』(担任)
『キモ(笑)』
しかし、俺は相変わらず周りに迷惑ばかりを掛けてしまっているが、親もこの担任も本当に俺を見捨てることなく、信用しているのがわかる
いつか期待に答えたいとは思っているが、若いエネルギーは自分でもコントロールが効かない
その後、カツアゲはなくなり平穏な時間が過ぎ、無事に卒業、入学を迎えた
だが、波乱はまだこれからの序曲でしかなかった