中学2年、毎日を中途半端に過ごす俺の目を覚まさせるかの様に、その時は突然に来た

クラスの女子の声
『2組の中山くん亡くなったらしいよ』

嘘だろ⁉️

順(中山)とは小学生の時、同じクラスで仲が良く
2人とも同じ様にスイミングと少年野球をやってきた
どちらとも、別々のクラブであったが良きライバルとして本当に仲の良い2人だった

最初に仲良くなった切っ掛けは、小学4年生の時だった

夏休み学校の水泳、区大会の練習で一緒だった時
『ねぇねぇヒロ』
『どうしたの?』
『俺、下から毛が生えてきた❗』
『マジ⁉️見せてみ👀』
『ほらっ』

2人で笑った🎵
『大人じゃん🎶お祝いしよう✨俺タバコ持ってきてやるよ』
次の日、大人になった記念で、2人で初めてタバコを吹かした

スイミングも野球も俺の方が若干上手かったが、頭も性格も俺なんかとは比べ物にならないくらい良い子だった

小学6年生
『なぁ、ヒロ』
『どうした⁉️』
『中学に入ったら部活どうするの⁉️』
『俺は絶対野球だよ🎵』
『え、水泳辞めちゃうの⁉️』
『うん🎵』
『あんなに速いのにか⁉️』
『それは関係ないよ、1人で記録出すより、みんなで戦って勝つのが好きみたいだな😃
野球やるまでこうやって友達も出来なかったからさ✨』

『順は私立の学校受験するんだろ?』
『そうなんだけど・・・』
『大丈夫だよ!順なら頭良いし、楽勝だよ』

『俺、ヒロと同じ中学に入ってヒロと同じチームで野球やりたいんだ✨』
『順⤴️それ良いなぁ🎵』
『だろ⁉️🎵』

順は自分の想いを親に伝え、私立の学校を選ばず、ヒロと同じ普通の中学に進んだ


入学して直ぐに、友達とふざけていた時、脚を怪我した
ところが中々治らず、検査で骨肉腫だと言う事がわかったらしい

はじめの頃、御見舞いに行ったが、その後は誰にも会いたくないと本人が言ったのか、誰にも会わせたくないと親が思ったのか、会う機会もなく、勝手に治るものだと自分の都合の良い様に思い込みこの日がやって来た


だらしなく、いい加減で、中途半端に生きている俺の人生でも、時間が止まったのがわかった

お通夜に行き、友達の亡骸をみた

数ヶ月前にあった時より、遥かに痩せ細り俺の知っている親友の姿からは程遠かった

小2の時のお爺ちゃん以来の『死』に、同級生の『死』に俺は何を感じるのだろう⁉️
そんな冷静な自分も居たが、御葬式の日に2人で映った写真と、野球のボールを順の寝顔の横に置いたら、殺りきれないばかりの感情が沸いてきた

何で俺じゃないんだ
何でこんなに、誰からも愛される様な優しい男が病気なんかに負けて、たかだか14歳で死なないと行けないんだよ
勉強も出来て、友達想いで、お父さんやお母さんも自慢の息子で、年の離れた弟のHEROだったろうに

俺と一緒に野球やりたいなんか言わないで、私立の学校行っとけば良かったじゃんかよ😭


やるせない気持ちでいっぱいになった
俺何してるんだろう⁉️😢
俺何やってるんだろ⁉️😢


『順、俺お前とやるはずだった野球、ちゃんとやるよ、甲子園行ける位になるよ、約束する甲子園に行く』
『ごめんな順・・・』

この日から、俺は人が変わったように野球に打ち込んだ
タバコも止め、夜中バイクで遊ぶのも止めて、全部の力、いやそれ以上を野球に注ぎ込んだ

3年生になり、担任はまたカマガエルだ🎵
性格はそう簡単に直るもんじゃない
ただ、悲しみに浸る時間などないくらいに野球に打ち込んだ


3年生になって、野球部最後の大会が終わってから毎週土日を準徳高校野球部の練習に参加しに行ってた。

準徳高校は甲子園こそまだ出場経験の無いものの、近年強化クラブになり、優秀なコーチが入り、全国指折りの厳しい練習で甲子園も夢でもない学校である。

当然県内のシニアリーグからも優秀な子を集めている

中学生が参加する練習には100名近くはいただろうか
しかし練習の厳しさに、着いていけない子達は沢山いた

その中でも、高校生と同じメニューの練習に着いて行けたのは、俺と後にキャプテンになる子2人だけだった


中学校 月曜日
キーンコーンカーンコーン📢
授業の始まるチャイムがなっている

脚を引きずりながら、90過ぎのお爺ちゃんがゼンマイで動くように、俺は微かに動いている

先生
『何だヒロ、また遅刻か?』
『うるせー、一生懸命歩いてるだろうが』
『頑張れよ~(笑)』

職員室
野球部顧問
『ヒロ変わりましたね』
担任
『変わりましたね、目標が出来たからでしょうね』
野球部顧問
『準徳高校野球推薦で入れそうですよ✨』
担任
『本当ですか⁉️良かった🎵』



人生は選択肢の連続だ
個人スポーツ、団体スポーツ、スポーツ以外にも勉強、芸術、音楽それぞれに向き不向き、得意なものそうでないものがある
どれだけ練習を重ねても、記録が全く伸びない壁と言うものがある
そして、努力を続けているとふとしたときに、その壁を超えれる時がくる
それが、勉強だったり、スポーツだったり、遊びであっても
子供達にはエネルギーがある、何にだってなれる希望がある
その時期も小学生だったり、中学生だったり、高校生だったり、大学生だったり、社会人になってからかも知れない
お金持ちや、貧乏の家に生まれても
どっちの意味でも特別な人間はいない
自信を持っていても、自信が無くても、特別ではない
どちらにでもなれる
人生は誰であれ、どうなるかはわからないのだ
僕の人生は特別ではなく、みんなに有り揺る人生で、誰にでも重なる思いがあるだろう