アイスが食べたいが為に少年野球に入ったヒロ
少年野球をやるにつれ、今まで家族と自分だけの世の中だと思っていたが、同じ様な家庭と言うものがあり、沢山の人がいるのだと感じる様になった。
スイミングに行くとき、バスに乗っている周りの人は宇宙人の見張りではないのだと
ヒロの家族は両親共働きで、よく言う鍵っ子である。
ヒロとは対照的な兄は活発的で、いつも遊びに出掛けていた。
小学校に上がったヒロだが、なかなか友達は出来ない
スイミングの帰りは仕事終わりのお母さんと待ち合わせをして帰ってくる。
マクドナルドのピエロ🤡が怖くてロッテリア派であった。
遊ぶ友達も居ないからいつもお兄ちゃんにくっついていた。
兄『ガンダムの映画観に行きたい❗』
ヒロ『僕も行きたい❗』
映画館のある横浜の駅まではバスで30分
スイミングで通っている場所の近くだから子供達だけでも行ける
大人からしてみたら対したことのない日常だ
映画を観た2人は行きと同じ様に帰れば、何の日常と変わらない日々だっただろう
ヒロ『お兄ちゃん見てガンダムのプラモデル』
兄『あ、ほんとだ、カッコいいなぁ』
ヒロ『欲しいよ、買っちゃお🎵』
兄『ダメだよ!買ったらバス代無くなって帰れなくなっちゃんだぞ』
ヒロ『欲しいよ😭』
兄『・・・・・』
『ヒロ、お兄ちゃんと一緒に歩いて帰れるか?』
ヒロ『うん』
嘘である。バスで30分掛かる道のりは小学生4年生、1年生が歩いたら5時間は掛かる
歩けたらの話だ
もはやヒロは神のつもりかも知れないが、【悪魔】に近い方だ
案の定1時間も歩かないうちにヒロは歩けなくなる
兄『だから言ったじゃんか』
ヒロ『😭』
兄『おんぶしてあげるから』
まだ小さな4年生の背中に更に小さな1年生の身体がおぶさる
同じ血、同じDNAがあるのに兄弟で性格が一緒の人はまずいない。
兄は一生懸命お兄ちゃんをしている
弟は一生懸命兄に甘えている
産まれた時から、環境が性格を造る
人は産まれた時は【神】だ
しかし少しずつ役割を与えられ、環境が性格を作り、いつしか『あついはあー言うやつだから』と言われる
携帯などない時代に、なかなか帰ってこない子供二人を親は痛く心配しただろう
やっと帰ってきた二人に事情を聞き、『良かった~』と抱き締める母親
小さい身体で休み休み4時間も弟をおんぶして帰ったお兄ちゃんはどこか誇らしげだ
そして口だけのヒロは疲れた顔をしているが、本当に疲れたのは間違えなくお兄ちゃんだ