小さな町に住むユウタは、勉強が苦手でいつも成績が振るわなかった。どれだけ頑張っても、友達のアキラには遠く及ばない。アキラは成績優秀でスポーツも得意、クラスのリーダー的存在だった。

ある日、ユウタは母親に悩みを打ち明けた。「どうして僕はアキラみたいになれないんだろう。何をやっても彼にはかなわない。」

母親は優しく微笑み、「ユウタ、アキラのようになりたいなら、彼の努力を真似してみるといいわ。昔の人は『爪の垢を煎じて飲む』と言ってね、尊敬する人の行動や考え方を学ぶことを勧めているのよ。」

ユウタはその言葉に心を動かされ、アキラの一日を観察することに決めた。学校では、アキラがいつも授業に集中し、質問にも積極的に答えていることに気付いた。放課後も、友達と遊ぶ時間を削って図書館で勉強しているのを見た。

次の日、ユウタはアキラに声をかけた。「アキラ、君の勉強の仕方を教えてくれないかな?」

アキラは驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔で答えた。「もちろんだよ、ユウタ。僕も最初からできたわけじゃない。毎日少しずつ努力してきたんだ。」

アキラはユウタに、自分の勉強方法を丁寧に教えてくれた。ノートの取り方や、効率的な復習の仕方、集中力を保つための工夫などを細かく説明してくれた。

ユウタはその日から、アキラのアドバイスを実践し始めた。最初はなかなか成果が出なかったが、少しずつ成績が上がり始めた。アキラのように授業に集中し、放課後は図書館で復習するようになった。

ある日、ユウタは試験でクラストップの成績を収めることができた。先生から表彰され、友達からも祝福された。その時、ユウタは自分の努力が実を結んだことに深い満足感を覚えた。

家に帰ると、ユウタは母親に報告した。「お母さん、僕、アキラのおかげでトップになれたよ。彼の爪の垢を煎じて飲むように、彼のやり方を学んで実践したんだ。」

母親は誇らしげに微笑んだ。「それは素晴らしいわ、ユウタ。君が自分の力で成し遂げたんだね。」

ユウタはこれからも努力を続けることを誓った。そして、アキラに心から感謝の気持ちを伝えた。「アキラ、本当にありがとう。君のおかげで僕も頑張れたんだ。」

アキラは照れくさそうに笑い、「いや、ユウタが頑張ったからだよ。これからも一緒に頑張ろう」と答えた。

それからも、ユウタはアキラと共に勉強に励み、成績を上げ続けた。彼は「爪の垢を煎じて飲む」ということわざの意味を身をもって理解し、尊敬する人の努力を学び続けることで、自分も成長できることを知った。

ユウタとアキラの友情はますます深まり、二人はお互いに刺激し合いながら、より高みを目指して進んでいった。


ことわざから小説を執筆
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