ある静かな村に、リョウとダイゴという二人の親友がいた。リョウは村一番の賢者として知られ、知識が豊富でどんな問題もすぐに解決することができた。一方、ダイゴは力自慢の大男で、力仕事なら誰にも負けない自信があった。

ある日、村の神社の釣鐘が壊れてしまった。村人たちは困り果て、新しい釣鐘を作ることに決めた。しかし、その釣鐘をどのようにして高い鐘楼に吊るすかが問題だった。村人たちはリョウとダイゴに助けを求めた。

リョウは考えに考え、「ダイゴ、君の力が必要だ。この釣鐘を持ち上げることは大変な力仕事だ。僕たち二人で力を合わせてやろう」と言った。ダイゴも同意し、「もちろんだ、リョウ。君の知恵と僕の力があれば、きっと成功するだろう」と答えた。

リョウはまず、釣鐘を持ち上げるための計画を立てた。彼は村中から丈夫なロープを集め、滑車を使って釣鐘を持ち上げる装置を作った。しかし、その装置を実際に使うとなると、リョウは自信がなかった。

ダイゴはリョウのために、提灯を使って装置の模型を作り、リハーサルを行った。しかし、リョウは提灯を持ち上げることすら難しく感じ、「これは無理だ。提灯ですらこんなに難しいのに、釣鐘なんて到底無理だよ」と落胆した。

ダイゴは笑い、「リョウ、提灯と釣鐘は全く違う。確かに、提灯は軽いが、釣鐘を持ち上げるには全く別の力が必要だ。僕たちならできるよ」と励ました。

翌日、リョウとダイゴは村人たちの協力を得て、釣鐘を吊るす作業を始めた。リョウの知恵とダイゴの力を組み合わせ、彼らは慎重に作業を進めた。村人たちも一丸となって手伝い、ついに釣鐘は無事に鐘楼に吊るされた。

村人たちは喜び、リョウとダイゴを称賛した。リョウは感慨深く、「ダイゴ、君の言う通りだった。提灯と釣鐘は全く違った。でも、君の力がなければこの釣鐘は吊るせなかった」と感謝の意を表した。

ダイゴは微笑み、「リョウ、君の知恵があったからこそ、この作業は成功したんだ。『提灯に釣鐘』という言葉は、まさに僕たちのことを言っているようだね。互いに違うからこそ、補い合って成功することができたんだ」と答えた。

その日から、リョウとダイゴはますます親友として互いを尊重し、村のために力を合わせて働くようになった。村人たちも彼らの協力に感謝し、リョウの知恵とダイゴの力を信頼するようになった。

そして、村の釣鐘はその後もずっと、村人たちの平和と繁栄を見守り続けた。


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