いきる | いやさかえのみ

いやさかえのみ

ひっそりと絹糸を綴っています

墓石の前で


早く迎えに来て


もう充分だから


もういいから


もう、分かったから



声を殺して


死を懇願して泣く私が 早々にふと消えた





彼らの言うように


私は ろくでなしかもしれない


私は 薄情なのかもしれない


私は 人の気持ちが解らないのかもしれない


私は 人でなしなのかもしれない


私は おかしいのかもしれない


私は 狡い汚い人間なのかもしれない


私は 人を傷つけるだけなのかもしれない




何を言われても否定する気力が無かった


解ってもらおうと もがく気も起きなかった


自分を正当化するのは違う気がした


彼らの角度から見れば 間違いでは無いと思った


こう生きることしかできなかった自分を否定する事もできないと思った


そう思われても仕方のない過去の自分がいた


彼らの見ている『私』の姿が


彼らにとっての事実であり


彼らの正当を立証するためのものなのならば


私は何もできないと思った


これまでとは違う

変わった自分がここにいる事を示す術もなかった




黙っている事を『逃げ』だとも言われた





墓石に縋り涙が引くとともに


そうだとしても


私は 私として生きていくしかないんだ


ありのままの自分で生きるしかないんだ


という思いが生まれた



彼らの言う事を否定も肯定もせず呑み込んで

昇華させることのできる人間になりたい


死に際の綺麗な人間になりたい



そう強く思ったら


泣きに行った墓石の冷たさに


死を願いに行った墓場の寒さに


膀胱が反応して


生きるために






トイレに走った