放送作家をめざす人へ | 取るに足らない放送作家のブログ

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本名も出さない。出したところでだれも知らない、
取るに足らない底辺の放送作家fadeawayのダメブログ

3月と9月頃ですかね。
何かといいますと、
「僕、放送作家になりたいんですが・・・」
という電話での問い合わせやネット書き込みが

多くなるんです、
この頃に。
3月は もうすぐ4月だというのに

進学するのか就職するのか
進路が決まっていない人。
9月は就活で希望していた企業に入れなくて
一発逆転狙いのやけくそで

放送作家にでもなってやろうかという人。

しょせん、作家になりたいなんて人の多くは

そんなものです。

たいした志望動機は無いんです。
でも、それでいいんですよ。
私の場合、
まだ「ひきこもり」や「ニート」という

言葉が無かった頃にその両方を実践して、
その後も いい歳してやることがなくて、
20代も半ばに差しかかった頃に
作家になろうと思って

ダラダラと今に至りますから。



本題に入ります。

放送作家をめざす人へ。

まず、教えます。
放送作家の仕事は、番組の企画書を書くこと、
台本を書くこと、ナレーションを書くこと
だと思っているでしょうが 間違いです。
今はいなくなりましたが、10年ほど前までは

1年の間に一文字すら書かないで、

年収何千万円も稼いでいた作家がいました。
まあ、特殊な例ですが。



放送作家の仕事とは、
「番組を作る」という課題に対して、
ソリューションを提供する。



これなんです。
わかりづらいかもしれませんが、
話題になる番組、視聴率がとれる番組、
テレビ以外でもDVDなら売れるソフトを作る、
企業のVPなら、企業が満足するVPを作る、
という命題があります。

それを達成するためのアイデアやプランを

出したりするのが放送作家なんです。
台本を書いたり、ナレーションを書くのは
その一手段でしかないのです。
会議力だけで売れっ子の作家さんもいます。
知り合いがたくさんいて、

どんな分野の専門家でも携帯一本で
紹介できる作家さんもいます。
しゃべりはいまいちだけど、

美しいナレーション原稿を書く

作家さんがいます。
そんな人たちと

ディレクターなどのスタッフが何人か集まって

番組ができるんです。

文章力が無いのなら、

会議力で勝負することもできます。
口下手だったら

面白い文章で勝負している人もいます。
さらには、どっちもたいしたことなくても
人と仲良くなるのが上手で

あちこちの番組に参加している人だって

います。

まあ、放送作家だって社会人ですから、
コミュニケーション能力はかなり重要なんです。
人と仲良くなれる。じつはこれが一番大事です。
私もそうですが、オタクは知識はあるのですが、

社会性が欠如していて、

人と仲良くなるのが苦手なので、
なかなか大成できないんです。
人と仲良くなるのが得意な方、

あなたは放送作家に向いているといえます。

まあ、そういう方は、どんな世界でも

うまく行くと思いますけどね。



話を進めましょう。
これから放送作家を目指す人へ。
「弟子にしてください。

 無給でいいんで、なんでもしますから」
面識も何も無い放送作家事務所に

飛び込んでいく勇気は買います。

が、放送作家って、

滅私奉公してなるものじゃありません。
本当にいいように使われて、

3ヶ月もして耐えられなくなって

逃げ出すのがオチです。

昔はそうやって一人前になって人も

いるかもしれませんが、今は通用しません。

断言します。



じゃあ、放送作家のセミナーや塾に参加する。
最近では、この方法が主流になって

しまったのでしょうかね。
まあ、セミナー運営も商売ですから、

あんまりケチをつけるつもりはありませんが、

これだけは言っておきます。
教室で学んだことは、何の役にもたちません。

企画書の書き方、会議のまわし方、

台本の書き方、ナレーションの書き方。
そんなもの、何時間か授業で教わって

身に付くものじゃありません。


実践しかないんです。
書いたものをディレクターや先輩作家、

プロデューサー、時にはナレーターにも

ボロクソに言われて、

おぼえていくしかないんです。

じゃあ、何のために放送作家セミナーが

あるかというと
まず、「自分が思っていた世界とは違った」

というミスマッチングを早めに防ぐためです。
セミナーで有名作家さんの話

(たいていは自慢話)を聞いていれば
どんな世界でどんな仕事をするのか、

だいたい見当がつくと思います。
必死に作家見習いをして3年経ったある日、

「ボクにはこの世界向いてないや」。

気が付けば20代の大切な3年間を
無駄にしてしまったという悲劇を

生まないためです。
実際作家セミナーでは

卒業時点で生徒が半分以下になっている

クラスもあるそうです。

あとは、教室で目立って、

講師を務めている作家さんに
顔と名前をおぼえてもらってください。
声が大きいだけでもいいです。(これも重要)
しゃべりに自信が無いなら、

面白いことを書いて勝負してください。
そうすれば、全生徒のひとりかふたりは

作家見習いとしてその作家さんの事務所に

もぐりこむ事ができますから。

作家セミナーに参加する意義はこれです。



作家になるために大切なこと。
「どうやったら作家になれますか?」という

質問をしないこと。
この商売を営んでいく上で、

リサーチ力、いや、「嗅覚」が
必要なんです。
どこを見たら、面白いネタがみつかって、

このことを知りたかったら、

どこに行けばいいか、

どこに聞けばいいいのか?

これって重要です。
ネットにいくらでも書いてありますよ。

本屋に行けば売ってますよ。

日本脚本家連盟に電話すれば

向こうが忙しくなければ

丁寧に教えてくれますよ。

どうやったら放送作家になれるかなんて。
どんな仕事をしているかも。
今の時点でそれを自分で調べないで、

調べられないで、
ネットで聞いているような有様だったら、
もうあきらめたほうがいいです。



と、偉そうなことを書きましたが、
放送作家になりたいと思っている方。

こっそりお教えしましょう。
テレビの番組作りなんて、

放送作家なんて商売、
あと20年も存在しているとは思えないんです。
ここで働いている人間の感想です。
テレビ業界なんて斜陽産業の最たるものです。
後継者が育ってないんです。

まだ、ゲーム業界のプランナーのほうが
未来があって稼げるような気がします。



もういちど考えてみてください。
それでも放送作家になりたいと思うのなら
歓迎します。


「またひとり おバカさんが加わった」と。