前回、燃調マップの作成の話をしたけどセッティングするには不十分だなと思って補足しておきます。


インジェクションの場合、多少の濃い、薄いの判断がわかりにくいという特徴があります。
特にはじめてインジェクションの燃調をするってなると濃い、薄いの判断がしにくいんですね。

インジェクションの濃いと薄いの判断を見抜く方法を知る必要があるんです。

キャブならジェットがワンランク変わると充分体感できるのですが、インジェクションは少し数値を変更したぐらいではわからないんです。

ちょっと濃くても薄くても走るんです。

これがどっちかわかりにくいんですよ。

違和感があるのはわかるんですけどね。


現状不満がある場合は、そのポイントに絞って数値を増やして試走すれば元が濃くて不具合があればさらにひどくなるはずです。
元が薄ければ不満が消えてパワー感が上がったり、回転の上がりが鋭くなったり、息継ぎが無くなったりするはずです。


こんな感じで濃い方向にふってから確認すれば良いのですが、現状が良いのか悪いのかわからない場合は、現在のマップがどうなっているのかを確認していく作業を行う必要があります。

そこで、まずはマップ全体的に数値を5から10%変更して確認するんです。
これぐらい濃くすると、元の数値が良ければ濃くなって回転の上がりが遅くなる場所と前よりも良い感じになるところがあるんです。

全体的には回転の上がりが重くなって、乗りにくいはずなんですが、ある回転域だけパワー感がある場所があったりするんです。
その時のアクセル開度と回転数をメモしておきます。

そこが元の数値が薄い場所です。

こんな感じで調子の良い部分をピックアップしていくんです。
全体的に濃くする前の元のマップにメモした場所のポイントの数値を濃くしたときと同じ数値にしてあげます。
で、また試走して確認するんです。


こんな感じでポイントに絞って調整していけば不満や違和感があったところが無くなっていきます。

全体的に回転が重く乗りにくいってときは全体的に合っている状態なので先ほど増やした数値を半分にしてみます。
するとさっきよりも走りやすくなるはずです。
こうして半分、半分と数値を落としていき一番乗りやすくてパワーを感じられるところまで数値を落としていきます。
下げていった時に元の数値よりも少なくなってると大丈夫かなって不安になったりしますが全然大丈夫です。


バッチリのときはパワー感があって乗りやすいんです。


パワーがあるように思うけど、乗りにくいって感じるときは薄いんです。
レスポンスが良いからパワーが上がっているように思うけど、アクセルに対して回転の上がりが敏感でギクシャクするから乗りにくいんです。

全体的にマップのバランスが合っているときはこんな感じで全体的に数値を落として一番良いところに持っていくだけでセッティング完了です。


何度も書き換えてデーターを入れ換えてっていう作業がめんどくさいって感じるかもしれないですが、パソコンでデーター作るってカッコいいと思わないですか?

おっさんはカッコいいって思ってしまうんですよ。

そう思うとめんどくさいって気持ちよりも楽しいってなるんですね。
キャブみたいに手を汚す泥臭い作業もないから、めっちゃラクしてるやんって思えるし。

自分のバイクを自分の手で自分好みにしていくのはほんと楽しいですからね!

ちょっとバイクに詳しい人になると空燃比は大丈夫なのって言うのですが、人間の感覚ってバカにできないですからね。
明らかに狂っている場合は絶対に乗りにくくなるんです。
ギクシャクするんです。 
セッティングで重要なのはパワーを上げることではなく自分に合わせることなんです。

基準は自分です。
自分が気持ち良く乗れるか、楽しいか。
これが一番大事なんですね。

ストリートでパワーうんぬん言う人で、そのパワーを全て使いこなせている人見たことないです。
レースの世界になると少しのパワーでタイムが変わるから話は違ってくるんですけどね。

ストリートで大事なのは自分の感覚ですよ!

乗りやすいって感じる場所を探すのがセッティングです。
よくパワーがいくらになったとか聞く人いますが、パワーよりも自分が乗りやすいかどうかが重要なんです。

パワーが欲しかったらリッターSSやメガスポーツに乗れば良いんですよ。
普通の人だったら扱えないぐらいのパワーがあるんですから。

よっぽど腕に自信がないと6速全開を続けるのはこわいからね!

話が脱線したけど、セッティングはパワーを出すためにするんじゃなくて自分の好みに仕上げるためにするんです。

自分の感覚を信用して下さい!

自分が乗りにくい、不満があるって思う部分が大事ですからね。

インジェクションの燃調セッティングで覚えておいて欲しいことはふたつだけです。

濃くするとトルク感(力強い)が上がります。
薄いとレスポンスがアップする。

さらに濃くすると回転の上がりが遅くなっていきます。
力強さが薄れてくるので、このトルクの無さが薄いと勘違いしやすくてわかりにくいところです。

薄い場合はレスポンスがめっちゃ良くなります。
アクセルに対する反応がめっちゃ良いんです。
キャブならレスポンスが良くなる前に、バイクが進まないって感じるんですけど、インジェクションは前に進まないとは感じないから薄いのがわかりにくいです。
逆にレスポンス良いからスゲーって思ったりしてドンドン薄くしたくなるので注意して下さいね。

燃調に関してはこんな感じで進めれば時間はかかっても自分好みに仕上げていけるんじゃないかなって思います。

それでもわからないときがあったら気軽に聞いてくれたら良いからね!