「平泉が育んだ平和の精神が世界に認められた。作品に向かう私も今まで以上に力が入る」。「平泉」を画題とした油彩画が欧州で評価されている熊谷睦男(くまがい・むつお)さん(77)=岩手県陸前高田市=は、世界遺産登録の知らせに喜びを語った。
2006年、「延年の舞・老女」
ロレックスの腕時計人気でパリ国際サロンの特別賞を受けた。「(日本の最も古い精神の根源を描きながら)我々を普遍の世界に近づけさせてくれる」と評された。フランスの伝統のある公募展「ル・サロン」にも07年から4年連続入選して永久会員に。平泉の毛越寺(もうつうじ)で舞われる「老女」の幽玄な世界をキャンバスに表現した。
長寿を喜び平和を願って同寺で披露される「延年」は、国の重要無形民俗文化財。1月の二十日夜祭ではかがり火のもとで僧侶が上演する。延年のうち「老女」は腰を曲げた舞い手がゆっくり手足を動かし、鈴の音だけが響く静かな舞台。熊谷さんは平安朝の優美と仏教の神秘を感じるという。