夢のような時間だった。

苦しい時も辛い時もあった。それでも最後は寂しかった。結局そういうもんなんだな。



立ち止まって考える時間なんてなかったから、今のこの時間を大切にしたいと思う。



これから直面するであろう現実をどうやって受け入れ、どうやって乗り越えるのか。自分の真価が問われる時だろう。



取捨選択をしっかりしたいと思う今日この頃である。
2月から始まったCoe Collegeでの野球部生活が終わった。





3ヶ月前、今も達者というレベルには程遠いが、英語が出来ないアジアからの留学生がたった一人野球部に飛び込んだ。

何を話してるかさっぱりわからない。ましてや野球専門用語なんて使われた日にはもうどうしようも出来なかった。

雪が溶けきらないため、外で練習が出来ず、朝の6時から体育館で練習。雪が溶けるまでの一ヶ月、基本的なチーム練習から基礎体力と退屈な練習が続いた。

雪が溶けたスプリングブレイク明け、やっと本格的なグラウンドを使った練習。

外で野球を練習する感覚を思い出したときの喜びは今でも覚えてる。何ていったって5、6年野球やってなかったし。

今まで水泳、サッカー、野球、バレーボール、テニスと様々なスポーツを経験してきたが、やはり野球が一番好きなんだなと再確認した瞬間でもあった。

その野球を通してどんな経験が出来るのか、不安だったが、楽しみでもあった。

批判は覚悟の上だが、勉強よりも部活を頑張ると皆に言い張っていた。実際練習を一回も休むことはなかった。

練習を重ねる度に増える友達。好きなスポーツを通して仲良くなった友達。本当にいい人ばかりだった。彼らは低レベルな英語しか話すことが出来ないたった一人のアジア人を受け入れてくれた。しかも年上。

英語の成長の他にもっともっと大きな物を手に入れた。

ヒットを一本打つたびに僕の名前を呼んでバカ騒ぎしてくれる。そんな環境が凄く幸せだったし嬉しかった。



最後の試合。

負けた後のミーティング。

何の実感もないままただ立ち尽くし監督の話を聞く俺。

そこで発せられた、「もうこのメンバーで円陣を組むことは出来ない」という言葉。

現実を直視するにはあまりに大きく、鋭い言葉。

もう、練習に行って大声で「Masa-----」と呼ばれることも無い。キャンパスを歩いてて「what's up, Masa」と言われることもない。

これが現実。



コーチの話の後、いつも陽気でチームを盛り上げる人が、いつもはクールで寡黙な人が人目をはばからず涙を流してる。

こみ上げる感情。

一人のseniorと握手を交わしハグをした瞬間こみ上げてきた感情は一気に涙へと変わった。

チームを盛り上げるムードメーカーが「Masa---」と目に涙を浮かべてこちらに向かって来た時はもうどうしようも出来なかった。

久しぶりに泣いた。

その場に立ち尽くすことしか出来なかったが、きっと全員とハグなんてしたら引かれるくらい泣いていただろう。

もうこの人たちとは野球が出来ない。そして、もうこの人たちと会うこともないのかもしれない。

二つの感情が交錯する。


帰りの車の中、「It's weird you won't be in the baseball team.」、「I'm gonna miss you a lot.」

こんなことを言ってくれるチームメイト、そして、一緒に涙を流すことが出来たチームメイトに出会えたことに感謝したい。



ありがとうCoe College Baseball team
続々と人がキャンパスからいなくなる。

5月5日にfinalが終わり、今日5月9日は卒業式が行われた。

朝賑わっていた中庭にはもう誰もいない。

キャンパスには車が出たり入ったり。寮から出てくる人の手には大きな荷物。

本当に皆帰っちゃうんだね。

日本人もほとんど帰国してしまい残された日本人も残り僅か。

部活が忙しいからなのか、また会えるという期待があるからなのか、わからないが俺の中では何も変わっていない。

ただ、実感がないからなのだろうか。

何かに追われてる生活から抜け出した時、初めて実感するのかなと思う。

今、僕は部活に追われてる。

部活に行けば野球部のメンバーに会える。

だから、何も変わらないし、あまり寂しくないのかもしれない。

わからない。

部活が終わったら寂しくなるのか?

それも、わからない。

終わってみないと何もわからない。

一日経てばまたキャンパスから人がいなくなる。

彼らはまた帰ってくるが、俺らはもう帰ってこないかもしれない。

僕達留学生は、彼らの中で記憶へと変わっていく。そして、いつか彼らの中からいなくなってしまうかもしれない。

それは同時に僕達にも起こる。

ここで過ごした9ヶ月は過去であり、僕らは未来に残されたあと1ヶ月の留学生活を今として生きる。

過去の積み重ねが今で、今の積み重ねが未来になる。

積み重ねてきた9ヶ月、そして今から積み重ねる1ヶ月。

きっと忘れることはないだろうし、更なる未来へと繋がっていく。

結局は通過点でしかない。

別れなんて何回経験しても慣れないし、慣れたくも無い。

今ここで立ち止まるのか。

そして、前を向いて走り続けるのか。

二つに一つの選択は僕達次第。




learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow...