狭心症⑥〜冠動脈造影検査
「せっちゃん」はっきりとした高齢の女性の声。真っ暗な部屋の中、斜め向かいのベッドから聞こえたようだった。寝言かな・・ちょっとコワイなと思っていると再び、「そこ置いときなさい、お母さん後でやっとくから」子供の夢でも見てるのか・・なんだか切ない気分になった。翌朝。冠動脈造影検査。手首の動脈からカテーテルを入れ、造影剤を注入し狭窄箇所を調べる。極度の緊張(恐怖)感の中、息を吸ったり止めたり熱くなったり冷たくなったり色々あったように思うが、なんとも記憶が曖昧。最初の麻酔の注射が痛かったな。検査の終盤、向こうの方でドクターたちが数人集まって何やら話し合っていた。これが結構長くて不安に感じた。最後に動脈の止血のため、プラスティックの器具で手首を圧迫する。これも痛苦しかったっけ。そして主治医から検査の結果説明。冠動脈の太いところや細いところ、5〜6カ所の狭窄有り。治療法は、そけい部からのカテーテル治療かバイパス手術の二択。カテーテルだと全部は治せなく、再発もしやすいとの事。時間の猶予があるので、ゆっくり考えてくださいと言われたが・・・検査結果が思ったより悪かった事と、またカテーテルをやるかはたまた胸を切るかしないといけないと思うと、気が滅入って仕方なかった。スマホで狭心症や治療法について、貪るように情報を集めた。誰もいない休憩所の窓から行き交う車の流れや登ってきた月を眺めながら、もしかして死んでいたかもしれない自分の事、こんなにも冠動脈を老化させていた自分の事を真っ直ぐに見てやろうとしていた。 つづく