そう言えば昨今の騒動の遥か以前から、今年2021年の春先は楽しみ過ぎて待ちくたびれたイベントラッシュだったのでした。

・2月 ウマ娘 2期&ソシャゲ実装開始
・3月 シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖
            ガールズ&パンツァー最終章 第3話
・4月 SSSS.DYNAZENON

尤もここ最近の自分のプライベートは、昨年末から今年の春にかけての「MODEROID」&「ウマ娘」攻勢にてんてこ舞い。

おかげ様でほぼネタバレされる事無くEVAは観に行けたモノの、未だガルパンは観に行けておらず、今なお困惑状態が続いている中。

数日前に公開された冒頭15分を見てようやく心中ひと区切りが着き、世間の流れに追い付いた感が…その作品こそ、言わずと知れた「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ⅰ」(以降 閃ハサ。祝 6/11 公開決定!)。

何しろ「宇宙世紀もの(以降 U.C.)」かつ「ホワイトベース・メンバー」(以降WB)が久々にガッツリ関わる、御大「富野 由悠季」氏原作映像作品。

当然これ程のビッグウェーブに、あのバンダイさんが乗らない訳が無い!と言う事で。
今回取り上げるのはHGオリジンガンダム以来久々の「新作ガンプラ」。バンダイ HG 1/144 「RX-105  Ξ(クスィー)ガンダム」(以降 クスィー)と相成ります。

4/24(土)の本キット発売日。どうしても気になり早めに目が覚めてしまったため、最寄の某大手電気店に向かう事に。ただ連休前の忙殺に打ちのめされた心身がまるで言う事を聞かず、到着したのは開店15分後。

そこには僅かに出されていたであろうスペースのみが残され、自分と同じ(であろう)クスィー難民が数人ゾンビのようにたむろっている有様でした。

店員さんに話を聞いてみると、レジ内にうず高く積まれた本キットは予約者用で店頭販売分は品切との事。その途端、聞き耳を立てていた周辺ゾンビ達は蜘蛛の子を散らすように撤収。

何しろ1年ぶりのガンプラ購入という事もあり、例の騒動以来品薄だと噂に聞いていた自分は(他ガンプラも含め)実際にそうだった事を体感させられた出来事となりました。
と言う事で予約していた本キットと、早売りしていた「新装版 閃光のハサウェイ 下巻」を手に取り、他の連休中アイテムを求める買物客の行列を横目に直行帰宅。

それにしても実際に店頭で手渡しされた本キット…でかい、デカ過ぎる。

コレ久々に、通勤ラッシュな帰りの電車内で持ち帰る際の迷惑度合や狭い部屋を占める割合で、典型的な小心者の日本人なら間違いなく狼狽する高田馬場BIG-BOX!(←とうの昔に絶滅死語と化した東京在住アピールギャグ)

ガンプラパッケ絵の第一人者、森下 直親 氏による相も変わらずイケてるイラストを吟味する余韻すらも許しちゃくれないったらありません。

まあそれでも、時間指定しておきながら何時来るか全く当てに出来ない通販より、実物の大きさと重さを実感しながら持ち帰る方が何十倍もマシな事は確か訳で。

戦利品を肴に一献傾けるまでの一連の流れが、人生における最高の悦びなのは紛れも無い真実の1つなのです。

ひと仕切り一連の流れを経て落ち着いた処で、早速ガンプラ製作定番の一手目。パーツ確認も併せて「本キットの発展性の有無」の確認作業から行っていきましょう。

本キットの元ネタとなるクスィーは、今回のアニメ化に至るまでに計3回のスタイル変更が為されています。

まず一番最初の原点「角川スニーカー文庫版」(以下 文庫版)では、森木 靖泰 氏による"ガンダム"らしからぬ衝撃の「異形」スタイルで登場。

次の二番目はGジェネレーションシリーズ登場時に森木 氏自らリデザインを手掛けた「ゲーム版」。"ガンダム"らしい「プレーン」スタイルへと変貌を遂げました。

更に三番目として、そのGジェネデザインを基にカトキ ハジメ 氏によってリファインされた「立体モデル版」。こちらは"MS"らしい「プレーン」スタイルとして、よりブラッシュアップされています。
なのでクスィーとして一般認識されているのは、もっぱら二・三番目の"ガンダム"らしい「プレーン」スタイル。何せ"あの"ガンダムですし、コレはコレで事情もよく解り、納得もしていたのですが…
今回の劇場アニメ公開において、何の前触れも無く一番目の"ガンダム"らしからぬ「異形」スタイル(全身ホワイトカラー込)に原点回帰。大反響を巻き起こしたのは記憶に新しい処。

と言う訳でこのクスィー。大別して「異形」「プレーン」二つのスタイルが存在する事となり、本キット開発時からこの点が考慮されて設計されているか?が「本キットの発展性の有無」と言う事になります。

そのヒントとなるのが、ランナー枠に存在する不自然な凸「スイッチ」。それを丁寧に拾っていくと、案の定「異形/プレーン」差違部に集約していました。以下がその結果で、()内は「プレーン」時の色分となります。

◼️B白ランナー
・10&11…胴体肩上部左右(青)
・20…盾の最先端(黒鉄色)
・21…盾の最前面(赤)

◼️C白ランナー
・7&10…胸部中央部(青)

◼️D白ランナー
・1&3&4&5…胸部前面装飾部(青)
・2&6…頭部左右(※)
・15…顔口部(※)
・16…腰中央部股間パーツ(※)

◼️G灰色ランナー
・23…後頭部&首付け根(※)
・25&26…首(※)
・27…目&顔(※)

(※)は、色違いでは無いものの「形状が大きく変化している部分」となります。

…そういやこのスイッチって「多色成形」時の色切替用と認識してたけど、「部分金型」切り替えも出来るの?だとしたらスゴいね。

ならば、と言う訳で早速「顔&頭部」「肩」以外のスイッチ要素だけを外した本体を組んで見る事にしました。

製作方法は本ブログお馴染みな、何時もの「パチ組・ガンプラマーカー」&艶消しクリアフィニッシュによるお気楽極楽対応。

それにしても今回作ってて最も驚いたのが、今までの「HG」や「RE/100」を遥かに上回る「パーツ分割の効率化」。

目立つ肉抜きも手の平裏側以外に見当たらず「大パーツ&ポリキャップレス」でザクザク形に成っていく上、本来なら二重背反な「強度&軽量」をあっさりと実現化しているのです。

そのくせ間接部位もしっかり確保され保持力バッチリ。従来ならオミットされる「肘下下腕の回転軸」(いわゆる「ガワラ曲げ」)まで抜かり無し!

…あれ?ひょっとしてコレ、思わぬ名キットな予感が…
サクッと組み上げ、比較用のMG「1/100」(?!) Hi-νガンダム ver.K.A.と並べて見たのがこちら。右手を従来の縦方向・左手を横方向の肘間接曲げにしてあり、クスィーは「ガワラ曲げ」を再現してあります。

こうすると、スイッチが重点的に「胸部前面装飾部」に集中している事がよく分かります。また、さりげに奥まった「胸部&腹部」にガンダムお馴染みの「青&赤」カラーが施されている事 & 頭部や下脚部など所々に「ν(Hi-ν)ガンダム」の意匠が施されている事も。

そして最も目を引くのが、内部骨格からして従来のMSと全く異なるその「異形」っぷり(敢えて言えば同コンセプトのバイアランが近い?)。

比較用のHi-νも充分「異形」の部類に入りますがそれは外装だけのお話で、内部骨格はMSその物。

クスィーはどちらかと言うと、マクロスやバイファムやザブングルやエルガイムやダンバイン等の"腰アーマー"の無い「80年代リアルロボット物」のトレンド寄り。
中でも土木作業用メカ描写に定評のある「戦闘メカ ザブングル」(1982)・「機動警察パトレイバー」(1988)の"ガニ股・手長・脇広"と言う「ゴリラ体型」を色濃く引き継いでおり、昨今の流れで省略化が著しい「首長」が加わる事で、より「異形」感が増しています。
なお「G2…腰後部フレーム」はスイッチでは無いモノのガッシリした二穴が用意されており、「プレーン」スタイルで提示されている「ミサイルポッド」を取り付ける想定が成されているようです。

と言う事で、少なくとも「プレーンカラーver.」が発売される事は間違いなさそう(まあ間違いなくプレバン行きでしょうが)。

問題は、今後「アニメ本編」において「プレーン」スタイルになっていくのでは?と言う事なのですが、これについては後程別項目として取り上げます。

と言う訳で「本キットの発展性の有無」をスイッチ&パーツ構成的に存分に検証する事が出来ました。引き続き外装ならびにバックパック・各種武装を製作し、一気に完成させようと思います。
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…ふう。さてこのクスィー。そのあまりの「巨大」さと「異形」っぷりが何かと話題となっている訳ですが。

「巨大」さについては全くその通りなので完成後存分に楽しませてもらうとして、個人的に少々引っ掛かっているのが、その「異形」さに対する若干の「ネガティブトーク」。
確かにガンダムにおける「アニメ映像本編」。取り分け「ホワイトベース・メンバー」(以下 WB)所縁の基本「プレーン」スタイルな歴代ガンダムを並べて見た場合、「異形」なクスィーに対して「違和感」が立つのは仕方の無い事だと思います。

が、クスィーがこんな「異形」となってしまったのは「1980年代後半」という発表時期的にこうならざるを得なかった事情、然も有りなんな状況があったからなのです。

既に本作が発表されてから昭和~平成~そして令和と三時代を経ており、その間にファンを取り巻く環境、何より「趣味を楽しむ」素養は(良い意味で)大きく変化しています。

故に、ただ「異形」という狭い範囲内だけでクスィーへの評価を下すのはあまりにも勿体無い!と思うのです。

そこでHGクスィー作成の合間に、ハサウェイ発表当時「1980年代後半」の状況・事情を個人的備忘録として書き綴ってみようと思います。

純粋なキットレビューのみをご所望な皆様には誠に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、こんな有様ですのでブラウザバック推奨。このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸い。備忘録だから仕方ないね。

何しろとうの昔に完結した本作。極力ネタばれはしないつもりですが、何分いつもの裏付無・特定個人&団体への非難の欠片も無い、愛故のお気楽極楽与太話。

それでも知ってもらう事で見方が変わり、クスィーへの評価が一転して「楽しく(カッコ良く)見る」事が出来る!…かもかも?だといいな。

という訳で、何卒お時間のある方は寛容にお付き合い下さい…それでは、どうぞ!
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日本のキャラクターコンテンツにおいて「鉄人28号」に端を発し「マジンガーZ」において礎を確立させたとされる「巨大ロボット物」。その体型=スタイルは、まさに時代(流行)を反映させたモノでした。
「鉄人28号」(1963)~「マジンガーZ」(1972)前半までは、当時の少年達のヒーローだった力強い力士を反映(誇張)した「ボリューム」スタイル。

スクランダー装着後のマジンガーZから後継を託された「グレートマジンガー」(1974)以降の東映動画スーパーロボット軍団は、力と速さと兼ね備えたプロレスラーの「ストロング」スタイル。

「勇者ライディーン」(1974)では、スタイリッシュなモデルに、当時流行していたパンタロン等の末端広がりな服を着せたような「ファッション」スタイルを採用。3角形シルエットが醸し出す巨大感も相まって、以降の「スーパーロボット物」スタイルの主流となりました。

この中で実は異端だったのが「機動戦士ガンダム」(1978)。パワードスーツが元ネタという事もあり、搭乗者のキャラクター性を反映させた極めて通常の人型に近い体型で、敢えて名付ければ「プレーン」スタイルと言ったモノでした。

尤もこのガンダムがきっかけとなって「ガンプラブーム」となり、以降80年代は「リアルロボットムーブ」が到来。「プレーン」スタイルを基準とし、様々なスタイルが試行錯誤されるようになります。

ところが時ほぼ同じくして(キャラクターコンテンツはおろか)あらゆる娯楽産業を激震させる仕込みが既に為されておりました。

日本において1979年に端を発したTVゲームの台頭…「新メディア誕生」とほぼ同義語となる「ファミコンブーム」(1985)の到来です。

このブームはあらゆるキャラクターコンテンツに対して、そのアイデンティティとも言うべき商品展開ラインナップの根幹的な一新(SD化・ゲーム化等)を迫る事となりました。

当然「ロボット物=リアルロボット物」もただでは済まず、「機動戦士ガンダム~逆襲のシャア」(1988)を最後に一区切りがつかれる事となります(同時上映は「SD」ガンダム)。

…尤もこれはあくまでキャラクターコンテンツのメジャー路線な「表」のお話。その「裏」のマイナー路線(ぶっちゃけオタク界隈)においては、むしろこっからが本番なのでした。

70年代の「ヤマト」ブームにより、オタク界隈では同人誌…所謂「二次創作物」を嗜む事が当たり前の作法となっておりました。

そこに80年代の「SF(ガンダム)」ブームが続く事となる訳ですが…そこには"新たなムーブメント"が伴っていたのです。

それが"3次元の二次創作物"「ガレージキット」。表裏一体となる「ガンプラブーム」で続々と誕生した有力モデラー達が、そのまま凄腕造形師へとジョブチェンジ。

その勢いは本家たる同人誌をも差し置き、ついには専門のイベント・お店まで展開するに至ったのです。

当然「模型専門誌」がこの流れを放っておく訳がありません。当時は玩具・模型メーカーも独自に発刊しているような状況で、こぞって独占企画をモノにしようと動き出す事になります。

それが「アニメ映像本編スタッフ自身を召喚し、関連作品の発表場とする」事。MSVを起点とし、関連作品には"ガンダム"をはじめとした「リアルロボット物」が採用されました。

原点となる公式作品を1次=メジャーとし、2次創作物=マイナーとするのなら、これは差し詰め「1.5次創作物」と言った処。つまりは「マイナーメジャー」な代物を造り出す企画だった訳です。

これによって誕生する各メカ&キャラクターをそのまま造形する過程を「作例記事」化→作品その物を「原型」とする事で「ガレージキット」化→あわよく話題となればそのまま「実績」「企画」として持込み逆メジャー化と言う、流れるような「ビジネスモデル」が確立されました。
アニメ映像本編スタッフたる「プロクリエイター」達も、元々好きでこの業界に入ってきた以上「二次創作物」はお手の物。粋な発注内容とマイナー故の規制の緩さも相まって、全力で個性を発揮します。

片や、ついこの前までアマチュアながら腕一本だけで成り上がった「造形師」達も、その「プロクリエイター」の粋に応えメジャーにうって出ようと、全力で腕を発揮します。

互いの試行錯誤・採算度外視な再三のやりとりにより、共にリスペクトしあい磨きに磨き抜かれた結果どうなるか?…究極至高な「趣味的デザイン&造形品」が爆誕する事になります。

こうして様々な「趣味的デザイン&造形品」が誕生する事になる訳ですが、不思議とその傾向は同ベクトルを指し示していました。特徴を箇条書きすると以下3つ+αとなります。

①"細身マッシブな人型"が芯となっている事
②あらゆる状況に即した装備&全載せ可能な事(分離は絶対条件に非ず)
③シルエット&装飾に悪魔的意匠が施されている事(アーマー類の極端な巨大尖鋭化)
そして何よりも
④最強・最高の存在として発注されている事

…もうここまで来ると「リアルロボ」と「スーパーロボ」を分けて考えるのがバカバカしくなってきます。何しろ元発注の段階で「最強・最高」とされてしまっているのですから。

これはもう「リアルロボのスーパーロボ化」と言っても過言じゃ無いんじゃなかろーか(何言ってんだ自分)…もう良いや。面倒くさいから全部十羽一括りで。

つまり「最強・最高のロボット」を目指し、恐竜的進化の末に辿り着いた80年代後半のロボデザイントレンドこそが「異形」なのです。

ちなみに、さっきの特徴各々に個人的に当時想定していた「元ネタ」を書くと、

①に関しては、前述「ライディーン」以降の、「スーパーロボット物」スタイルの発展型?
②に関しては、当時流行した「ファミコンブーム」で言う"勇者"の「最強武具全装備」から?
③に関しては、やはり当時流行した「ファミコンブーム」で言う"悪"の「ラスボス」から?(※)

※…日本のロボット物の礎たる「マジンガーZ」最大の影響力は、表裏一体作品たる「デビルマン」=「悪魔」(悪)の意匠を凝縮・単純化して取り入れた点にあると考えています(※※)。

※※…本来「生々しさ」が先に立つ「悪魔」の嫌悪感を、ロボとして単純意匠化する事で相殺し「カッコ良さ」のみを抽出してデザインされたのが「マジンガー」だからです。これは、以降全ての「ロボット物」デザインに多大な影響を及ぼしています(※※※)。

※※※…ちなみに、国毎に「ヒーロー」のデザインモチーフを調べて見ると、日本ほど"鬼""化物"等の「悪」を高確率で採用している処は無いそうです。お時間がありましたらぜひ調べてみて下さい。

そんな"当時の傾向"「異形」を的確に体現したモデルケースがこちら。
「機動戦士ガンダム~閃光のハサウェイ」に登場するライバル機「RX-104FF  ペーネロペー」です(※)。

①細身モデル体型な「オデュッセウスガンダム」を芯とし、②FFユニットを着込むように合体(全載せ)する事で、③本来の「ペーネロペー」と言う「異形」となり、全能力を発揮。

※…初出は最後発な上、出路も小説挿絵からと、文章内容とは全く異なりますが、分かり易い「異形」参考例として敢えてここで取り上げてみました。

「異形」の特徴をご覧頂いた処で、そんな当時の「模型専門誌」にて立体化記事となった「異形」ガンダムのおおよそのデザイン初出が以下の通り。
・小林 誠 氏版       「陸戦型ZZ」       (1986)
・カトキ ハジメ氏「Sガンダム」     (1987)
・藤田 一己 氏版   「Zガンダム」     (1988)(※)
・出渕 裕 氏版       「Hi-νガンダム」 (1988)(※)
 ※…HJ90年8月号で作例が同時掲載されています。

本キットの原作となる「閃光のハサウェイ」は、当時まだ立ち上がったばかりのライトノベルブランド「角川スニーカー文庫」(※)の1シリーズとして書き起こされました。

※…後に90年代における代表的なキャラクターコンテンツを数多く排出する事となります。

放映時は別出版社から刊行されていた「小説版ガンダム」のほぼ全てが網羅されている事が本シリーズの大きな売りだった訳ですが、1988年「逆シャア」公開に併せての刊行時、表紙及び挿絵は全て新規描起こしされる事になります。

問題なのはこの挿絵。今でもほぼ当時のまま再販しているのでぜひご自身の目で確認して頂きたいのですが…「Zガンダム」「逆襲のシャア~ベルトーチカ・チルドレン」で描かれているのが、まさに上記模型誌作例の元ネタとなった「恐竜的進化を遂げた異形スタイル」その物なのです(※)。

※…更に「閃光のハサウェイ」の対となる作品「ガイア・ギア」(1987)においても、伊東 守 氏による攻めに攻めた「異形」"マン・マシーン"が発表されています(現在は絶版)。

「閃光のハサウェイ」刊行は翌年の1989年…つまりメカデザイナーの森木 靖泰 氏が当時相対しなければならなかったのは、恐竜進化真っ盛り・化物共がひしめく混沌状態・「異形」だらけのガンダム軍団だったのです。

そりゃあクスィー位"非ガンダム顔""怪獣っぽいデザインライン"な「異形」を提示しない事には、あの「WBメンバー」最後を締めるガンダム足り得ない雰囲気だったのでした(※)。

※…ちなみに当時ワンフェス仲間と話した感覚を素直に書かせて頂くと「これでもまだ異形度が足らなくない?大丈夫?」と言う空気感でした。

何しろ、同じ模型誌・OVAを舞台に暴れ回っていたガンダム以外の(個人的に印象に残っている)「異形」が以下の有様でしたから。
機甲界ガリアン 鉄の紋章(1986)
・青の騎士ベルセルガ物語(1987に路線変更)
・大魔獣激闘 鋼の鬼(1987)
・New Story of Aura Battler DUNBINE(1988)(※)

※…模型誌企画からアニメ化を実現しています。

かように80年代当時、「最強・最高のロボットの行き着く先」「恐竜的進化してデザインされたモノ」として様々な「異形」が出現した訳ですが…

「マイナーメジャー=半アマチュア」だった事もあってきちんとした管理がされておらず、現物ならびに権利その物が紛失してしまった物。

他様々な理由により、そのほとんどが「マイナーメジャー=グレーゾーン」として再起の目すら立たず歴史の闇に埋没し、二度と陽の目を見れない状況となっています。

が、少なくとも1度は世に出、観る者の試みを鷲掴みにした、究極至高な「趣味的デザイン&造形品」。やはり何かしらの形でメジャーに返り咲いてほしいと常に願っているのです。

そんな中、1度は「プレーン」デザインにリニューアルされ、2度と陽の目を見ないはずだった(文字通り恐竜のような絶滅品種の)「異形」が、数十年の刻を経て「メジャー」なアニメ映像本編に登場・公式にプラモ化されました。
死にかけていた「邪道」が「正道」として見事復活を遂げて帰還したのです…「異形」ロボの最たる作品「新世紀エヴァンゲリオン」(1995)の完結と入れ替わりに。

…これって相当、エモくないですか?

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と言う訳で今回のテーマは、MSとしては「異形」なクスィーを「最強・最高のスーパーロボ」として楽しもう!に決まり。

まだ予告や数少ない公式グッズしか無い現在だからこそ、王道たるMS演出であろう本編イメージに上書き保存される前に、今やりたい事の全てをクスィーに叩きつけようと思います。

という訳で完成したクスィーがこちら。
まず目を引くのが、ユニコーンガンダムばりな上半身の白加減。ガンダム界隈では「ロールアウト」「プロトタイプ」カラーとされている色合い。

これだと「ガンダム・ヘッド」を模したとされる胸部装飾もよく分かります…そっか。お腹左右ラジエーター状の細かい仕切りのようなディテールは、後のF91に繋がっていくんですね。

今回の「アニメ映像本編」版デザインアレンジで最も気に入ってるのが「デカ拳」。これぞ「異形」、やっぱ「スーパーロボ」って感じ。

ただこれだと、設定上(またプラモ的にも)従来の「ユニバーサル規格」を遥かに越える大きさのため、他武器搭載時は苦労しそうです。
AMBAC向上のためとされる「ウイング・バインダー」の目立つ背面。フライト・フォーム展開時は翼のような役割を兼任している処は、元ネタとなる百式の設定面(変型運用想定)にも相通じます。

では早速、大きくはみ出た外装に若干の恐れを抱きつつも( ・ω・)⊃してみようっと。

ちなみに白一色だった「シールド」については、「スイッチ」検証後に思わず無意識で「プレーン」版カラーに塗り分けちゃってます。
「私はマフティー・エリンだ!諸君を無駄死にさせる意思は無い!この機体に接触しないように警告する!」

「ビーム・ライフル…届くはずだ!」

「抵抗するならば、頭上からビーム・サーベルを突き入れる!」

付属物はご覧の通り、先述のシールド以外は定番のビームライフル&サーベルのみ。尤もこの大きさなので目立たないだけで、どちらも頭に「メガ」と付けたくなるようなボリューム感。

外装裏を確認して見ると、νガンダムばりに巧みに隠された「ファンネル・ミサイル」をはじめとした豊富な各種武装モールドが顔を覗かせるため、武装面での不安は全く無し。

あらゆる武器が全身に内臓されてるのって、やっぱまんま「スーパーロボ」の概念だよね…。あと個人的にスター・ウォーズのルークとダース・モールが好きなので、今回の緑のツインサーベルは地味にお気に入り。

間接位置・間接数も良く練り込まれており、何より保持力も充分で可動範囲も広い…ただ外装が邪魔をして動かし辛いだけで。なので、焦らずじっくり丁寧に動かしてあげれば、結構思い通りのポージングが可能です。

可動範囲確認を兼ねたアクションごっこがひとしきり出来たので、お次は本ブログ恒例の「並べて見た」を。
HG 1/144サイズと、約1/100サイズモデルの比較…って、うーん。もう方々でやり尽くされている感があるのでやらないつもりだったけど、やっぱ1度はそのデかさを試してみたくなっちゃいますね。

そりゃあ「身長28m・体重 32t・巨体が唸るぞ空飛ぶぞ」ってな機体な訳で、U.C.(宇宙世紀)において間違いなく史上最大クラスのMSとなるのも当然な訳で。

でももっと並べ甲斐のあるシリーズがあるじゃないですか。同じHG 1/144スケールで、粛々とシリーズ展開が行われている…
そう、「INFINITISM」シリーズの「マジンガーZ」と「マジンカイザー」です。

かろうじて全高はカイザーの方が上回っていますが、何しろクスィーの厚み(ボリューム感)がハンパ無い。当社比約1.8倍と言った処。

個人的にはクスィーの大きさを表す一言として「U.C.最大級MS」と言われるよりも「あのカイザーよりデカい!」と言われた方がより実感できるような気がします。

なお「INFINITISM」シリーズを買い続けてる人あるある。必ず付属してくる台座「アクションベース4」の置き場所に、いい加減困ってる方々に朗報です。
HGクスィー単品に台座は付属してませんが、この「アクションベース4」がそのまま使用可能な事が判明しました。共に最大・最高クラスを誇るスーパーロボ同士、同時購入も乙なモノですよ?(箱もデカいので持帰りがより大変ですが)
製作途中も並べてましたが、完成後改めてMG「1/100」 Hi-νガンダム ver.K.A.と並べて見たもの。ボリューム感がほぼ同じなのが凄い。
本来ならこんな縮尺です。

…あ。この並び見て、前からどうしてもやってみたかった事を思い出した。慌てて手持ちのジャンクパーツ入れを掻き回すと、適度に流用出来そうなパーツ群が集まりました。

チャチャッとデッチ上げて…って、思い付きでこんな事ばっかやってっから毎度完成が遅れるんだよなあ。

という訳で、今から唐突に展開される「小芝居」をご覧下さい。
「身構えている時に死神は来ない…迂闊だったな?ハサウェイ」

「Hi-νガンダム?!まさか…」

「クェスの幻影に引き摺られるから、こういう事にもなる…武器を捨てて投降しろ」

「…」

ガシャッ…

「そうだ、それで良い…ん?」
キュィイイイ…ンッ!バシャッ!!

フェイス・オープンでモノアイだとっ?!だが、これは…っ!」

ガ・キィインッ!!
グゥオー…ッ!!

ズシュ…ーン…ッ

「システムダウン?Ξ(クスィー)ガンダムには、俺の知らない技術が搭載されているとでも言うのかっ?!」
「…M.C.の力を応用した"M・E・I-O "(Minovsky Eraser Impact-Overshoot)…アンチ・ミノフスキー・ドライブです。エネルギーを一斉解放する事で、ミノフスキー物理学に準じたあらゆる機動兵器を数百m範囲で無力化します」

キュイイイイィ…

「?!待て、ハサウェイっ!人が人の過ちを正そう等と…っ…」

…僕は代わるよ。変えてみせるよ…」
「小芝居」の元ネタは、もう皆さんがお察しの通り"原作:ちみもりを氏/監督:平野俊弘氏"による「冥王計画ゼオライマー」(1988)から。
当時最先端な精鋭スタッフ達の手により、そのあまりなチート能力を「これでもか!」と見せつけた作品内容で、あの「スーパーロボット大戦」においてすら傍若無人な活躍っぷりを披露した言わずと知れた名作です。

閃ハサ発表直後より、最近では「Gジェネレーション」シリーズにおいて、散々っぱらクスィーに対して発せられ続けてきた定番ツッコミ。

「まんまゼオライマーじゃねぇか!」

の元ネタでもあります。

まあそれもそのはず。ゼオライマー・閃ハサ共に、メカニックデザイナーは森木 靖泰 氏なのですから。

尤もこのツッコミは「あの"WBメンバー"の最後を締める恐竜的進化したガンダムを、よくぞここまで視覚化して見せてくれた!」という、称賛前提の愛溢れるギャグ様式のようなモノ。

後に「機動戦士ガンダムUC」が、「逆襲のシャア」と「閃光のハサウェイ」の合間として発表された際「MSが変身する技術があるならクスィーもこうなるんじゃね?」と思い、実際にそのツッコミを"M・E・I-O "モードとして形にしてみたモノとなります。

…さて、寄り道で随分と余計な手間と時間をかけてしまいました。次の( ・ω・)⊃に行く前に、もう1つ検証しておきたい事があるのです。

「異形」度を増させるためなのか、今回「巨大化した拳」に関しては、せっかく目立っているので「フル可動」化して表情を付けたいと思いました。

そこで手持ちのガンプラから拳パーツを持ち寄り比較検討。HG 1/144では話にならず、基本はMG 1/100から。ただガンダムも含めた連邦系は小型化が進んでおり、ジオン系は基本丸指なので似合いません。
最終的には「RE/100」のナイチンゲールの物が、形状・サイズ共に無改造でドンピシャと填まりました。さすがシャアの理想を引き継ぐ者、こんな処に接点があるとは(強引過ぎる)。

尤もこのサイズでフル可動させると武器が持てず、細部形状調整&着彩で思った以上に手間がかかる事も分かったので、今回はここまで。これで心おきなく次の( ・ω・)⊃に取り掛かれます。

それはクスィーに「基本武装以外を装備してみよう!」というもの。やっぱ何やかやで武装バリエーションって燃えるんスよ。
で、右手に1/144 HG Zガンダムの「ハイパーメガランチャー」、左手に1/100 MG νガンダムの「ニューハイパーバズーカ」を持たせてみたのがこちら。

うーんやっぱ1/144 HG 物だと最大級の「ハイパーメガランチャー」でも割り箸みたいな細身に見えちゃいますね。やっぱ1/100 MGサイズでないと浮いて見えちゃうかあ…。

1/144 HG 物でクスィーにぴったりそうなのも、実はあるにはあるんです。
それは百式が使用していた「メガバズーカランチャー」。これに高台なグリップを削り出して底面に、最後部にストックを取り付けるとちょっと面白いかも…と思っていたのですが。

昨今の事情でガンプラ在庫その物が無く、またラインナップ的にも期間限定プレバン扱いになってるみたいで、さすがに一ネタのためだけにプレミア価格で購入する気にはなれずに断念。
「すまないが、警告を聞かなかった罰だ!」

手持ちの武器で何とかしようという事で、1/100 MG νガンダムのビームライフルを持たせてみると、これが流石の馴染み度合。さすがアムロの情熱を引き継ぐ者、こんな処に接点があるとは(もういいって)。

しかし80年代の「異形」ロボといえば、やはり身の丈や重力を完全無視した異様・異質な「デカ物」を持たせてみたい。
「人の犯した過ちは、マフティーが粛清する!」

それに応えてくれたのは、やはり同じ「異形」な「RE/100」のナイチンゲール。このゲッターばりなビーム・トマホーク&アックスの凶悪さが堪りません。
そして大型メガ・ビームライフル。こいつをチョイスしたのは、たった1つのシンプルな答え。
「マフティーの名において、殲滅を行う!」

…そう。ライフル自体に銃身据置用のバイポッド(二脚)が装着されているのがコレしか無かったから。

いや流石にここまで来ると、どうしたって重すぎでラチェット間接でもないと片腕脇でなんてとても支えられないよ?!(※)

※…因みにHG・MG共に持ち手内の接続用凸凹は各々形状・位置が異なるため、持たせるには各々小改造が必須です。予めご了承の程を。

…さて。MS状態で存分に( ・ω・)⊃したので、休憩がてら変化をつけようと思います。

一旦話を区切っていた、今後「アニメ本編」において「プレーン」スタイルになっていくのでは?という件の検証です。
その参考資料として本キットと共に購入してきたのがこちら。今回の閃ハサ劇場公開に合わせて刊行された「新装版 下巻」です。

この表紙絵(美樹本 晴彦 氏/メカ作画協力:たまきまさひろ氏)なのですが、よくよく目を凝らして見てみると、ガンダムの口部に二本のへの字スリットが入っており、胸部カラーも白から青となっています。

つまり今後「アニメ本編」において「プレーン」スタイルになっていく可能性が極めて高いのではないでしょうか。

ちょっと面白いのが、「プレーン」スタイル時は胸部上の左右肩部が青だったのに対し、間違いなく白抜きされている事。つまり今までの「プレーン」スタイルカラーままでは無く、一部色変更される可能性が高い処です。

そのつもりで全体を見直していくと、クスィーの下半身にかけて徐々に「不安」を予感させるイメージトーンがかかっているため、詳細の色分けが分かり辛くなって(されて?)います。

一番判断が難しいのが肩前面パーツ。左右脇前に垂れている部分の面構成が変わり、白から青へと塗り分けられているように見えるのです。
ちょっと面白そうなので、実際に「新装版 下巻」を参考に塗り分けてみたのがこちら。

まあ正直当たっても当たらなくてもどっちでも良くて、キットままや「プレーン」スタイルでの塗り分けは他で見れるので、ここでちょっと変化をつけてみた次第。
そう言えばいつもの定番「膝立ちポーズ」を行っていなかったので、ここで御披露目。ご覧の通り時間さえかければ、しっかりポージング出来るポテンシャル自体はあるのです(※)。

※…今まで( ・ω・)⊃し尽くして、ようやく膝立ちさせられるようになったのはナイショ。
主にウイング・バインダー根元パーツを一部差替える事で「フライト・フォーム」(以降 飛行形態)に展開させてみました。

正直最初は「ただ背中が跳ね上がるだけやん」って思ってたんですよ。ところが実際に変形させてみて、かなりの満足感があってちょっとビックリ。
と言うのも、現状の予告や雑誌媒体では、翼を一律後方に延ばした状態でしか発表されておらずあまり変化する印象が無かったから。

通常時は「バックパック」=百式の「バインダー」その物で、動作は基本「縦方向」のみ。前から見た時の「シルエット変化」に然程影響はありません。
ところが飛行形態にする事で90度角度が代わり、動作が「横方向」に変化する事で得られる「シルエット変化」の効果が、予想以上の満足感を与えてくれるのです。

これが立体モデルの良いところ。シンプルながら効果的な可動部により色々と遊べる事が体感出来ます…尤も、この大きさから来る「面積」(&強度面)の不安にさえ負けなければ、ですが。

しかし、どっかで見たよね?こんなシンプルながら効果絶大な「追加装備」…そう、「異形」デザインの発展する少し前、80年代中盤のリアルロボ物でよく見かけた「スリングパニアー(リフター)」だ。
つまりクスィーの「フライト・フォーム」とは「森木版リフター」。

数多のリフターデザインに対し、(少々違和感はある物の)「本体一体型」と言う"最低体積"で成立するアンサーデザインとして提示されていた事に、今更ながら気が付かされたのです。
なお、わざわざフライト・フォームに差替しなくても、擬似的になら(翼の前後が逆な事を除けば)本体だけで展開可能です。
…さて。これまでは何やかや、下手なりに何かしら自身の手を加えた物をアップしてきましたが、これからお見せする物は「只の有り物の両面テープポン付け」という、末端モデラーとしてもあるまじき、正に天に唾棄すべき行為。

ですがやらない訳には…否!やらずにはおれなかった事情がある代物となります。
自分は「ゼオライマー」というチートロボが大好きなのですが、ある日既に絶版となった完成品トイを入手しようと画策します。

今ならメルカリなのでしょうが、当時はまだヤフオクが主流だった時代。かなりの金額をブチ込んだものの辛うじて競り落とす事に成功、ついに現物が到着します。

嬉々として開封してみると、プラ&合金製のはずがソフビ&コールドキャストに置き換えられ、取り出した途端に崩れ落ちる有様…そう。ヒドい海賊版を掴まされ、挙げ句泣き寝入りした過去があるのです。

特殊材質のため棄てるにも苦労し、パーツ取り用に残した部品も個性的過ぎて全く使い物にならず。今やただ己の戒め品として手元に残り続けた腐れ縁なブツが以下となります。
HGクスィー発表時、真っ先に思い浮かんだのがコレでした…お前らは正にこの時のために在ったのだな?ならば御笑覧あれ!これが…これがっ「閃のクスィー」(仮称)だァーっ!!(※)
※…"閃=刻"と書いて"時"と読む、いつものガンダム語録

…何かもう、シックリ填まり過ぎて逆にヤダ。勉強コストにしては高過ぎる。刻と金返せって感じ(泣)w
必殺技は「輝道天鎧砲」。分からない人はググってみて下さい。
スーパーミニプラのザンボット3とコン・バトラーVを並べて見たもの。ちなみにゼオライマーの全高は50mだそうですよ?(だから何と言われても困っちゃいますが)。
と言う訳で今回のテーマ、MSとしては「異形」なクスィーを「最強・最高のスーパーロボ」として楽しもう!をやり尽くしてみました。

最後に、劇場公開される「閃光のハサウェイ」に「ロボット物として」個人的に期待している事をまとめて〆させてもらいます。

この当時~そして今もそうですが、ガンダムには「信者」と呼ばれる意識の高い声高なファンが多い事で知られています。

基本「保守的」なのが「信者」の特徴ですが、数々の非難を浴びながらも新風を吹き込み、シリーズを継続してきたのもまた「ガンダム」。

例えば80年代後半頃は「大見得切った外連味溢れる演出」なぞストイックさが売りなガンダムには不要!と言うのが信者の主な声でした。
それが「Gガンダム」の佐野 浩敏 氏によってブレイクされ、ガンダムSEEDシリーズにおいて重田 智氏により「大見得切った外連味溢れる演出&スタイル」が確立されるに至ります。

今では「リアルロボ」の対極とされた「スーパーロボ」の雄、大張 正己氏が重要な位置に就かれていますね。
また「ロボアニメの空間機動戦」なぞガンダムには不要!そんなのはマクロスに任せとけ!と言うのもまた当時の信者の主な声でした。

処が、今やウルトラマンですら当たり前のように板野サーカスで飛び回る時代。ましてや、今回の閃ハサにおけるMS戦最大の特徴が「大気圏内空中戦闘」。ならば

「ロボアニメの空間機動戦」と言う演出技法において、1つの頂点たる「板野サーカス」をやっちゃってもいいんじゃないか?

って言うか見たい。と言うのがまず1つ。
また、今回の閃ハサにおけるMS最大の特徴が「異形」「巨体」。ならば「異様な巨大物体が街を破壊しまくる怪獣特撮のような演出」をやってみてもいいんじゃないか?

って言うか見たい。と言うのが2つ目。

…でも、あれ?この2つって、よくよく考えてみるとまんま「スーパーロボット」じゃん(スクランダー付マジンガーZ)。

という訳で、ハードな物語が何かと話題になりがちな「閃光のハサウェイ」ですが、個人的には信者にとって禁じ手とされていた

「スーパーロボットなMS戦」

を、令和という新たな時代だからこそリミッター外しまくりで魅せてくれるのではないか?と勝手に期待しまくっているのです。
何しろ個人的には「ヤマト2199」「ガンダムUC」以来のお祭りですからね。それではまたお会いしましょう。

※6/12追記…見てきました。ネタバレ無での一言感覚はズバリ「カウボーイビバップ版ガンダム」。大人の観賞に耐え得る極上のエンターテイメント作品となっており、大好きなフィルムで、超お薦めです。