鞍馬寺西門からわずか徒歩1分で貴船神社に到着。

 

まず、貴船神社に関する最初の基礎知識としては、「きふねじんじゃ」と濁らずに読むことがある。地名は「きぶね」、駅名は「きぶねぐち」だが、神社名は「きふね」である。

 

 

鳥居と社号標。写真撮影の最初の難関がここ。みんながここで記念撮影したい場所なのだ。

 

最初に神社巡りを始めた6~7年前くらいの頃は、こういうことに関して非常にあっさりしていて、いとも簡単に諦めていたし、そもそもカメラを持っていかないこともあったり、本殿や境内社などもあまり撮影していないことが多かった。

 

3~4年くらい前からは必ず毎回カメラを持っていくようにしているし、人がいなくなるタイミングを待ってみたりするようになった。今ではできる限り頑張って待つ努力をすることもある。その成果がこの画像。でも完全に人が写らない写真は困難である。

 

ちなみに、これは二の鳥居。一の鳥居は離れた場所にあり、最後に出てくる。

 

 

 

鳥居を入ってすぐのところにケヤキと白髭社。一般的に白髭神社(しらひげじんじゃ)とは猿田彦を祀った神社である。

 

 

 

灯篭の並ぶ石段がとても美しい。私の中で貴船神社と言って思い浮かべるイメージがこれ。

 

 

貴船神社の本宮の境内は決して広くない。すぐに拝殿に到着。

 

しかし、ご覧のように大行列である。実は、この大行列はまだまだ30mくらい続いていたのである。私はこのような列に並ぶことはまずない。拝殿の端での参拝だろうが、本殿裏(当社では本殿裏は行けない)での参拝だろうが、境内のどこからでも遥拝になろうが構わない。でも30mの列には並ばない。

 

いつもの通り、先頭がどうなっているか様子を見に来たのがこの画像である。そして、画像をよく見るとロープが張ってあり、その左側の石段下には「お急ぎの方はここで参拝できます」ような張り紙があったのである。つまり、拝殿最前列中央での参拝にこだわらなければ、一切並ぶ必要がない状況だったのである。

 

当然だが、私はここで参拝。はっきり言って、拝殿中央で1組独占で参拝することの御利益的なメリットはゼロである。まあ、長蛇の列に並んで参拝した思い出づくりとか、本人の満足感が得られるとか、それはそれでその人の勝手ではある。

 

ただ、神社側としては、横に並んで参拝するように指導する方がベターである。そもそも、横5列くらいに並んで参拝すれば、30mの列などあっという間に捌けてしまい、列などできなくて済むくらいである。ここでの方法は列を作ることを助長している面があるし、私は拝殿の端での参拝でもよいのに、拝殿の端に立つことすら許されない(石段下にここで参拝とあるから)雰囲気を出している。

 

なお、拝殿は左右非対称で、これはかなり珍しい気がする。そうなっている理由は不明で、特別な意味はないようであるが。

 

 

6年前の画像。今回はゴールデンウィークで、6年前はお盆休み。当時だって人が写らない写真を撮るのが難しい程度には人がいた。しかし、このくらいのものは撮れたのである。早朝とか真冬とかでなければ、もう無理かもしれない。

 

本殿には回り込めないので、下から見上げるしかない。

 

 

下から見上げた真横からの拝殿・本殿。本殿はこのように流造(ながれづくり)という建築様式である。

 

貴船神社の御祭神は高龗神(タカオカミノカミ)。代表的な水の神様。日本で水の神様といえば、ミズハノメか高龗神かという感じである。

 

このブログの読者はとっくにご存じだと思うのだが、高龗神(タカオカミノカミ)は女神である。○○姫という名前でないために、男性神とよく間違われているようであるが、この高龗神という名前を付けた地球人(古事記や日本書紀をまとめたような人たち?)がよくわかっていなかったと思われる。

 

「龗」という字は、雨カンムリの下に「口」の字を横に3つ並べ、その下に「龍」と書く。そう、龍神でもあるのである。日本で龍神と言ったら、ほとんどの場合、高龗神(タカオカミノカミ)を指す。

 

水の神様であるから、拝殿の向い側で御神水を汲むことができる。また、水占いをやっている人がたくさんいる。

 

高龗神の御祈祷に関する専門分野は商売繁盛、金運上昇、縁結びである。これらの御祈祷をしてもらうのなら、当社はお奨めである。

 

普通の神社の御祈祷はその場限り、1回限りのものであるが、当社の場合には、一番安いご祈願料の場合を除いて御祈祷の期間が定められており、その期間毎日「朝御饌祭にてご祈願を継続してご奉仕いたします(公式サイトより)」とある。

 

 

祖霊社。テーブルやベンチのようなものが見えるが、いただけない。境内社のまわりがこれではダメである。

 

境内社は最初の鳥居付近にあった白髭社とここだけに見えるのだが、実は結社・奥宮方面の出口の左手から本殿の奥辺りにまわり込めて、そこに境内社があったようである。知っていないと、まず気付かない。

 

貴船神社の本宮は混雑していたこともあって、滞在時間はわずか10分そこそこ。行列に並んで参拝したり、水占いしたりする人はもっと時間を見ておくべきだが、境内規模的には15分程度で充分な規模感である。

 

ただ、貴船神社というのは本宮だけではないのである。この後、さらに山の奥に向かって結社(ゆいのやしろ)、奥宮(おくのみや)と続いており、これら全て含めて貴船神社である。

 

 

さきほどとは反対側の参道から結社(ゆいのやしろ)に向かう。

 

 

本宮から徒歩5~6分で結社(ゆいのやしろ)に到着。

 

ここは、多くの人が「ここ何だろう」と思ってちょっと見るのだが、そのまま歩いて行ってしまうことが多い場所である。本宮、結社、奥宮でワンセットなので、必ず参拝しよう。ここは知られざる名社である。

 

 

拝殿、本殿。

 

結社の御祭神は磐長姫命(イワナガヒメ)。さくや姫の姉である。

 

天孫ニニギがさくや姫との結婚を申し出た際に、さくや姫の父であるオオヤマツミはさくや姫とともにイワナガヒメも送り出す。しかし、天孫ニニギはさくや姫とだけ結婚し、イワナガヒメを容姿が醜いとしてオオヤマツミの元に返してしまう。そして、イワナガヒメはこの地に鎮まり、縁結びの女神となった。

 

以上がよく知られている神話と当社の由緒であるが、単なる神話である。つまり、作り話である。高次元では自分の好きな姿になれるため、容姿が醜い存在などいないのである。

 

ただ、結社は文字通りに縁結びの神様である。縁結びを神様にお願いする場合、結社で祈願した後、本宮で御祈祷を受けるようにとイワナガヒメと高龗神は言っている。結社と奥宮は無人で社務所がないためである。

 

 

拝殿右手に天乃磐船(あまのいわふね)。これは近年になって貴船から出土した自然石。天鳥船(あめのとりふね)という神様がいるので、関係あるのかと勘違いしていたのだが、無関係とのこと。

 

社殿後背の社叢等も含めた全体の場の気はなかなか素晴らしいものがあって、今回の参拝においては、本宮、結社、奥宮の3社の中で一番好みの雰囲気であった。

 

 

御神木の桂。樹齢約400年。

 

結社は参拝者が一番少なく、静かに場の気に浸ることができるという意味で、大変お奨めである。

 

さらに奥宮へと向かう。ここから徒歩4分ほどのところにある。

 

 

入口の鳥居。

 

 

 

散策路のような参道を少し歩く。

 

 

神門。

 

この手前も境内かもしれないが、この神門の奥が一般的な感覚での境内になる。

 

 

境内全景。またまた同じセリフだが、新緑が美しい。

 

結社は深遠な感じの場の気なのだが、こちらは本宮同様に軽やかである。水の流れのように。

 

 

いつものように拝殿か舞殿か迷うが、ここでは拝殿。従って、近江形式の拝殿である。拝殿だから、ここで参拝しても良いのだけども、そういう人はめったにいなくて、この奥の本殿に進むことができる。

 

 

本殿。ここで参拝。

 

御祭神は諸説あり、貴船神社としても完全に把握しているわけではない。現在の貴船神社の公式サイトによれば、奥宮の御祭神は本宮と同じ高龗神(タカオカミノカミ)。

 

ただ、公式サイトには以下のような記述も見られるのである。

 

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一説には闇龗神(クラオカミノカミ)、玉依姫命も祀られていると伝わる

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高龗神(タカオカミノカミ)・闇龗神(クラオカミノカミ)について、社記には「呼び名は違っても同じ神なり」と記されている。

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長い年月が経過して、神社でもはっきりとは御祭神がわからなくなってしまった例である。

 

まず、当社の説に限らず、一般に高龗神(タカオカミノカミ)と闇龗神(クラオカミノカミ)は同じ神という説があるが、これは間違いである。

 

高龗神(タカオカミノカミ)=天之水分神(アメノミクマリ)

闇龗神(クラオカミノカミ)=国之水分神(クニノミクマリ)=罔象女神(ミズハノメ)

 

同一神と考えてしまうのも無理はないのだが、私は本人たちから聞いて答えを知っているので、書かせていただいた。

 

そして、この貴船神社奥宮の御祭神も正解を聞いたので書いておこう。

 

・高龗神(タカオカミノカミ)

・闇龗神(クラオカミノカミ)=罔象女神(ミズハノメ)

・玉依姫命(タマヨリヒメ)=瀬織津姫(セオリツヒメ)

 

以上の三柱全てが祀られている。御祭神がわからなくなってしまった状況である以上、主祭神という概念はない。代表的な三柱の水の女神全員が祀られているのが、この貴船神社奥宮である。

 

なお、玉依姫と瀬織津姫は同一神だが、水の神様として祀っているのだから、瀬織津姫とした方が良い。玉依姫は女性の守り神、美麗の神様。

 

 

 

境内社。

 

 

船形石(ふながたいし)。当社創建に関わる神話があるので、公式サイトから引用しておく。

 

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奥宮本殿の西側にあり、船の形をした石組み。 貴船神社創建伝説によると、約1,600年前(第18代反正天皇の御代)初代神武天皇の皇母・玉依姫命が大阪湾に御出現になり、水の源を求めて黄色い船に乗り、淀川・鴨川をさかのぼり、その源流である貴船川の上流・現在の奥宮の地に至り、水神を祀り「黄船の宮」と称された。その黄色い船は人目に触れぬよう石で包まれたという。

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興味深い話である。「黄色い船」が「貴船」となったということである。

 

そして、瀬織津姫(=玉依姫)によれば、上記はなんと実話なのだそうである。神話の中にもたまに実話がある。サナト・クマラの鞍馬降臨も実話だが、上記の話も基本的に実話とのことである。

 

ただし、年代は大きく間違っている。なにしろ、「初代神武天皇の皇母・玉依姫命」と書いてあるのだから、18代天皇の御代のわけがない。神として後の時代に突如地上に降臨したという意味なのかもしれないが、そうではなく、神武天皇の父であるウガヤフキアエズの時代に、その妻としての玉依姫が本当に船に乗って貴船にやって来たのである。

 

以上で貴船神社の本宮、結社、奥宮の参拝を終え、貴船バス停からバスに乗り貴船口へ。その近くに最後にたまたま見つけたのが境外末社の梶取社(かじとりしゃ)と一の鳥居である。

 

 

梶取社の御祭神は宇賀魂命(ウカノミタマ)。ウカノミタマは一般に稲荷神社の御祭神などで知られるが、ここの由緒書を読むと、先ほどの神話で玉依姫命が黄船に乗って鴨川を遡ってこられた時に上手に梶を取った梶取大神が祀られているとも伝えられているという。

 

梶取社なのだから元々の御祭神は梶取大神で、後からなぜか稲荷が祀られたようである。

 

 

貴船神社境内入口の鳥居は二の鳥居であった。実はここが一の鳥居だったのである。貴船口駅から南に100mほどの、貴船口駅前バス停付近にある。

 

鞍馬・貴船関連の神社の基本情報と画像は以下をご覧いただきたい。

 

現代神名帳 由岐神社

現代神名帳 貴船神社

現代神名帳 貴船神社 結社

現代神名帳 貴船神社 奥宮

現代神名帳 梶取社(貴船神社境外末社)

 

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過去記事はこちらからどうぞ。

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