手を握る事すらできない
劇団時間制作
萬劇場(東京都)
…僕が朝賀さんを殺しました
和拝高等学校の夕方は深くオレンジ色で野球部の声が響いている
元生徒の村田は重たい口を開いた。7年前のあの日、朝賀は教室で命を落とした
未成年の子が事件を犯したと世間は罵るしかしそこには確実に原因があった
『いじめ』
幾度となく法律は改正され体罰が厳しく見られ
過保護な親が増える世の中
学校という最大に狭い社会で起きる最大の理不尽
虐めを行う生徒受ける生徒
繰り返す生徒
変えようとする生徒
助けようとする教師
無関心である教室と学校
…全員狂ってる…しかしこれが正常
テーマは「居場所」
本当の悪人は誰なのか学校という狭い社会で全ての子供達の青春を描いた圧倒的な現代劇
ネタバレあります
以前同じ劇団の舞台を見ていたことをチラシで思い出しましたここは中心的な人物だけではなく舞台の端にいる人も意味のない動きが無いので面白い劇団だと思います
何度も繰り返しおきる「いじめ」による悲劇登場人物はいじめる人
傍観している人
やめさせようとする人
無かったことにしようとする人
と典型ですが、この作品で特徴的なのは殺す人も殺される人もいじめられていた側ということだと思いました
お互いに苦しさがわかっているからある意味では助けようとして殺してしまう
ありがちないじめられている人がいじめていた人を殺す
それに比べると一層悲劇的です
隠ぺい体質の学校のために残った生徒たちは
ある1人の生徒を除いて変わらなかったんだろうな
と思うとやりきれない気持ちになりますが
最後にほんの少しだけ明るい兆しが見えたのが幸いです
19日まで上演中です