グラン・トリノ


アメリカに行ったことないので良く知りませんが、白人が多く住んでいた町
にアジア系の人達が移り住んで来ているのは良くある話なんですかね。そんな状態に限らず異文化交流は難しいものです
ところが本作は偏屈な老人を変えるのは孫世代のモン族姉弟
そのあたりを違和感なく見せてくれるのはさすがイーストウッドと言ったところでしょうか。ラストでグラン・トリノ
をゆずりうけたタオが彼女
ではなく犬
を隣に乗せて走るシーンはウォルトの後を継いでいく現れとして象徴的でありました。また、ウォルトの決着の付け方はダーティハリー的な決着に慣れていた私にとって新鮮でした、なんでもイーストウッドが演じた役が銃撃
で殺されるのは本作が初めてだそうです。泣いた
という方が多いようですが私はウォルトが死んだのは確かに悲しいですが、タオの成長
いわば主役の交代劇であると思っています。
面白かったのはウォルトと床屋や現場監督
とのやりとりとそれ不器用に絡んでいくタオのシーン。親しいからこそ憎まれ口を叩きあうと言うのはアメリカの映画やドラマ
ではよくあるシーンだったはずですが、最近はあまり無かったように思うので、戸田奈津子さんの名訳もあってテンポ
良く描かれていてよかったですね。
出演はイーストウッドは別格で、他の主要人物は新人やあまり著名ではない人のようです。個人的に気に入ったのはモン族姉弟の姉のスーを演じたアーニー・ハー
ウォルトの露出が多い孫娘役の女の子も可愛いですが(グラン・トリノを誰に譲るかのシーンでの表情は結構可愛いです
)やはりアジア系の方が好きな私としてはアーニーです。映画初出演とは思えない堂々とした演技で弟を不甲斐なく思っている勝ち気
な姉を演じています。今後の活躍に期待したいと思います
弟役のビー・バンは最初の頃のヘナチョコ
ぶりからウォルトとの交流を経てたくましく成長
する様子をちゃんと演じています。
それにしても、私は戦史についてかなり研究してきたつもりでしたが、モン族がベトナム戦争に深く関わっていたとは知りませんでした。まだまだ勉強
しなくてはなりません。