何時もご覧頂き有難う御座います。

ごく一部の人にのみ好評な比較検証ネタです。

 

同時に2本のR4を購入して衝撃的な差を知り、更に興味が沸いています。

購入をして実際に比較検証する前から日本向けは下級品なのでは?と思い始めていました。

そして本国のレスポールフォーラムの極上杢個体を見て感じました。

Wildwood Specを知ってからもです。

でも、それらはMurphy Paintedと言う上級モデルなので直接比較は出来ませんし、無意味だとも思いました。

 

この比較検証は既に雌雄は決していますが、それは何故なのか?

それを分かる範囲で検証して行きます。

検証は両方のギターを買った私には何の損得も有りません。

何も足さない、そして引かない事実のみの内容です。

客観的な内容なのでご理解下さい。

 

ネックの仕込角です。

これは造りに対する検証です。

 

何度か話題にしているネックの仕込角ですが、私は浅い方が良いと確信しています。

勿論、限度は有りますが最初期のレスポールは1~1.5度に設定されていました。

Gibsonが考えた理想的な仕込角で有ったと言われています。

その当時のGibson純正ブリッジの仕様を前提に設定されました。

それを発売直前にレスポール氏が横槍を入れて、氏自身が特許を有する“ブランコテールピース”が採用されています。

これはバーブリッジと同様に弦をUターンする形で上に張るのですが、既に設定されたネック仕込角では十分な高さが確保出来ませんでした。

その結果、逆回りの下側に張る様になりました。

因みにブリッジは弦のテンションのみでトップに抑えられるので極めて安定が悪いです。

それでも当時の演奏スタイルではブリッジミュートはせず、チョーキング何か誰もせず、ビブラートは弦と並行に揺らしていたので大した問題にならないと思われていました。

ブリッジミュートをしなかった事はフェンダーのテレキャスターとストラトキャスターにブリッジカバーが装着された事でも分かります。

それでも、この仕様のレスポールは浅い仕込角により、緩いテンションが得られサスティーンが一番長いと言われています。

その代償でアタックは弱いです。

その後、53年のバーブリッジ採用時に3度に変更されます。

それでも実際は大多数の個体が4度だそうです。

当時のGibsonでもネックの仕込みが困難だった事が伺われます。

3度を目標にしても4度になり、そこで開き直って60年には5度に変更します。

これは不良品率を下げる為の改悪と言われています。

苦肉の策です。

この設定変更に因る音質変化のせいでバーストでは60年は評価がイマイチ低いです。

ネック形状の変更よりも仕込角変更の方が音質に与える影響が大きかったと思います。

60年の実物を見ると、5度以上に見える個体が有ります。

 

前置きが長くなりました。

日本向けのMurphy Labです。

勿論、ネックと弦高は同じに調整して有ります。

(私のレスポールは全て同じ)

そこでネックの仕込角が分かるブリッジの高さです。

測定はスタッドの頂部からトップの距離です。

こちらは6弦側18.1㎜です。

 

Wildwood Spec R4です。

こちらは17.0㎜です。

その差は1.1㎜です。

1弦側の差も略同じです。

この1㎜の差の大きさは多数を経験しないと分からないかも知れません。

私は82年のLeo`s Vintageを当時新品で買いましたが、その個体は何をやっても鳴らない楽器でした。

それは非常にきつい仕込角(多分6度位)を持っており、それで知りました。

その後も数多くのレスポールを経験しましたが、この傾向に間違いが無い事を知りました。

 

この事からWildwood Spec R4の方が仕込角が浅い事が分かります。

Wildwood Spec Les Paul は4本持っていますが、それらどれもが同じ位の浅い仕込角です。

偶然ではなく狙って指定していると推測出来ます。

 

多数のヒスコレ系レスポールを所有していますが、仕込角は個体差を確認出来ます。

近年のヒスコレは全モデルが4度を目標値にしています。

それでも当然個体差が有ります。

過去のアーティストモデルやコレクターズチョイスの様な限定上級品は、選ばれた職人がチームで製作に当たり精度を高めていました。

それらのシリーズは個体差が少ない事を確認しています。

限定品以外のGibson Japan物も7本程持っていますが、浅い角度の個体も有ります。

やはりそれらは同じ傾向を感じます。

 

セットネックギターの製作に於いての最大の難関事項がネックの接着(仕込み)です。

治具を使用して組み付けますが、それでも誤差は生じます。

熟練工の手に因らないと達成出来ません。

しかも合成接着剤から膠に変更された時点で更に難易度が上がっています。

これはGibson USAの様に練度の低い作業員には達成出来ません。

 

きつい角度はブリッジとPUを上げれば対応出来ますが、浅い角度で失敗すると即不良品で出荷不可になります。

そのリスクを避ける為に安価な量産品はきつい角度になります。

Gibson USAが冗談かと思う程きつい角度で、凄く高いブリッジ&テールピースにセットせざるを得ない事からも分かります。

目標値が7度だそうなので、実際には8度位の物も有ると思います。

そんな物が良いレスポールで有る筈がないです。

と言うか、レスポールでさえ無いと思います。

材云々以前の本質的な問題です。

でも、少なくとも70年代迄の再生産レスポールはまともな仕込角でした。

 

仕込角は重量と同じ位“当たりレスポール”の要素だと思います。

仕込角の浅いレスポールの方がふくよかでサスティーンが長い傾向が有ります。

仕込角の確認は店頭でもザックリと出来ますが、やはりネック、ナット、弦高の調整を同じ設定にしないと分かり難いです。

と言う事なので、ある程度は賭けになります。

勿論、経験値によりある程度は見ただけで判断出来ます。

 

この要素だけで、既にこのWildwood Spec R4の方が好きなレスポールで有る事が理解出来ます。

 

次回に続きます。

 

宜しくお願いします。