いらっしゃいませ^^
nana書店、開店です𓅪
-------------------
これからの俺の日々が、
きみを知る日だ。
-------------------
「傑作はまだ」
瀬尾まいこさん/文春文庫



そこそこ売れている50歳の作家、加賀野。
家からほとんど出ず、人との交流もなく、
引きこもっている。
そこにいきなり、
生まれてから一度も会ったことのない、
25歳の息子、智がやってきた。
毎月養育費を振込んでいた。
ただそれだけ。
その領収書として、
毎月写真が送られていたので、
顔は知っていた。

孤独に慣れきってきて、
世間知らずな加賀野。

人当たりも要領も良い智。

全く噛み合わない二人の共同生活。

そこには
あたたかいハーモニーが重なっていた。
----*----*----*----*
血の繋がった父と息子。
言い換えれば
ただ、血が繋がっているだけ。
産まれたことは知っているけど、
一度も会ったことのない親子。
人と関わること、
外に出ることを拒んでいた父親のもとに
人当たりのよい、
明らかに健やかに育っている息子が
いきなりやってきた。
はじめは拒絶していた加賀野だが、
智と暮らしていくうちに

世界は、本当は優しくあたたかい

ということを知った。

明日もきっと素晴らしい

そんな気持ちになれる、
爽やかであたたかい本です。
-------------------
𖧷今の気持ちにぴたりとくる言葉は一つもない。
現実を生きている人間の心を表現することは、
不可能だ。
𖧷生きるとは自分とは何かといった
根本的なもの。
俺たちが実際に生きている世界では、
誰もそんなことをことさら語ったりはしない。
日常で交わされる会話はもっと現実的だ。
だけど、それらが重なっていく中で、
真実が見えてくる。
何も説明されなくても、
智がきちんと育てられてきたことが
容易にわかるように。
𖧷誰かが死にそうになってて、
助けるすべが自分にあるとしたら、
やってみようって思うだろう。
たとえ的外れだったとしてもさ。
𖧷いや、元に戻るわけじゃない。
君と会ったことがなかった俺と、
今の俺とはちがう。
𖧷死を撰ぶ人間がいるほど、現実は厳しい。
残念だが、それは事実だ。
でも、人は誰かに手を差し伸べ、
その手に触れることで救われることもある。
𖧷一人で過ごしていれば、
そういう醜いものすべてを切り捨てられる。
ストレスも嫌らしい感情も生まれない心は、
きれいで穏やかだ。
しかし、こんなふうにうれしい気持ちになることは、
一人では起こらない。
𖧷明日がもっとすばらしいことを
きみはぼくに教えてくれた。
今日はきっときみを知る日になる。
𖧷智が生まれて、自由が消え去って、
仕事とか趣味とか今まで手にしていたものは
ほとんどなくなった。
でも、子どもといることでしか味わえない、
心の奥底からにじみ出るようないとおしさって、
何にも代えられないんだよね。
智がいれば、何でもできそうな気がして、
他に何もいらない気がした。
𖧷あなたの幸せって
すごく簡単だったんだね。
-------------------

お立ち寄りいただき
ありがとうございました(*^^*)
素敵な本の出逢いがありますように。