芸人時代、俺はパントマイムの勉強をしていたことがある。
下町のベテランパントマイマー、「マイムぱんと師匠」には大変お世話になったっけ。
マイムぱんと師匠のパントマイムには哀愁があった。
俺は師匠のパントマイムが大好きで、いつも稽古の時は夢中になって師匠の技を見ていたもんだ。
師匠は人間的にも器がデカイ人だった。
俺にVシネマの脇役のオファーが来た時も、まるで自分のことのように喜んでくれた。
まぁ本当のチョイ役でね。
台詞なんてたった一言、「隣の山田さんなら先月引っ越しましたけど…?」だけだった。
若くてギラギラしていた俺は、酒に酔った勢いで、つい台詞の少なさを師匠の前で愚痴ってしまったことがあった。
その時、師匠は深みのある優しい笑顔で俺にこう言ってくれた。
「なぁ、セバスチャンよ。台詞が多い役者が上手いってわけじゃねぇんだぜ。 役者はなぁ、顔だよ。
表情一つで人生の喜怒哀楽を表現できるのが一流だ。 チョイ役だろうが、一言だけだろうが、お前なりの表情で勝負してこい。
俺なんかアレだぞ。芸歴30年で台詞一言も喋らずやってきてんだぞ。(笑)
俺ぁ、台詞無しで人生の喜怒哀楽を表現するのが商売だ。
まぁ、お前みてぇなハナタレ小僧にゃ人生の喜怒哀楽なんざ表現できるわきゃねぇけどな。(笑)
若いうちは生きることが勉強だ。ダメで元々!せいぜい色々やってみらっせぇ!」
ねぇ、師匠…
今の俺の顔は、ちゃんと何かを表現できてっかな?
まぁ…
覆面してっけどさ(笑)
てゆか、俺、パントマイムの修行とかしたことないけどね(笑)
誰だよ、マイムぱんと師匠って(笑)
実在しないっての!(笑)
…ということでね、久しぶりの「セバスチャンの嘘過去シリーズ」でしたけどもね。
これ賛否両論でね、けっこうヒンシュクもんなんですけどもね。
まぁ性格悪いんで、たまにこんなことやりたくなるんです。(笑)
皆様、ごめんな○い。
