鳥たちが食べ物や環境などの状況に応じ、長い距離を移動することが分かったのは、ごく近年になってからです。それまでは、なぜ季節によって見掛ける種類や数がい違うのかは解明されていませんでした。

 日本で一定の期間を過ごすものは、三つのタイプに分けることができます。繁殖を目的に春になるとやってくる、つばめなどを夏鳥と呼んでいます。逆に、越冬のために秋空を飛んできて、テレビのニュース番組などによく取り上げられるのが、鶴や鴨などの冬鳥です。またシベリアなどで繁殖し、東南アジアで冬を過ごすために日本を中継する、シギなどの仲間もいて、これらは旅鳥をと呼ばれています。

 彼らの多くはリーダーを先頭にして、くの字型の編隊を組んで移動します。整然と並んだその姿は、大きな翼が羽ばたいているようにも見えます。渡る距離は種類によって違いますが、足に観測用のしるしをつけた標識調査で、地球を約半周し、生まれ育った場所と越冬地を往復する鳥の存在が証明されています。驚くべきパワーではないでしょうか。自分の力だけで、このように長い距離を飛ぶことは本当に大変なことでしょう。

 しかし、彼らは気流を上手に利用してエネルギーを節約しながら、とても合理的に移動しています。その重要な手段となるのが、くの字型の編隊です。この飛行方法の利点は、単純な流体力学によって解き明かすことができます。鳥は後方に押し出す空気の流れによって飛んでいます。だから、例えば彼らが縦一列に並んだとしたら、先頭を行くもの意外は向かい風を受け、進むのが困難となります。では、横並びではどうでしょう。この組み方だと。隣同士の羽ばたきからできる空気の流れによって互いに風を受け、やはりエネルギ-が無駄になります。こうした短所を排除したのが、くの字型の編隊です。この形なら、前を行くものの翼が空気を下に押すことで上昇気流を生み出し、少し後方にずれた両脇の二羽はそれに乗って楽に飛ぶことができます。効果はリレー方式に影響を及ぼし、編隊の最後尾にまで伝わります。

 標識調査によってある程度は解明されましたが、何も目印の無い空で、どのように進路を決めるかなど、まだまだなぞに包まれている部分が多いため、世界中で盛んに研究が行われています。