地球上に生息する亀の仲間は、海に住んでいるものは少なく、そのほとんどが淡水や陸のものです。その中で海を生息域としているのは、いずれもそこでの生活に適した大型の亀で、産卵以外ではほとんど上陸してきません。

 まず海がめは、沖の瀬などに集まって交尾します。その後、産卵の時期を迎えると、夜になってから雌だけが陸地に近づき、とても苦労しながら砂浜へ上陸します。甲羅と砂とが擦れ合わないように、また呼吸ができるよう自分の体を地面から少し持ち上げていなければならない。これがもっとも大変なようです。満潮線を十分に超えた所に砂を散らしながら浅いくぼみを作ります。そして、2本の後ろ足を起用に使って深さ20センチほどの穴を掘ると、すぐに産卵を始めピンポン玉のような球形の卵を産みます。このとき、産みの苦しみのためか目から大粒の涙をポロポロ流すといわれています。これが終わると、再び後ろ足を交互に使って砂を散らし、穴をきれいに埋め戻します。そして、帰りもまたゆっくりと海へ帰っていくのです。打ち寄せる波の先端に身をゆだねたとき、彼女たちは再び自由を取り戻すのでしょう。

 約2ヵ月後、ふ化したばかりの海がめは、産卵場所の近くで彼らを狙って待ち構えている肉食動物に対してほとんど無防備です。卵から出た子がめたちは強烈な明るさに引き寄せられるように、一直線に砂浜を横切って海へたどり着こうとします。しかし彼らは、まだ体重が軽いため、それほど早く歩けるわけではありません。波打ち際にたどりつくには、しばらく時間がかかります。この最も、弱いときを狙って、肉食性の哺乳類だけでなく、たかやわし、かもめといった鳥類までもが襲い掛かってくる恐れがあります。こうした外敵から無事に逃れたとしても成熟するまでは、絶えず上空から狙う海鳥の脅威にさらされるのです。

 こうした産卵、ふ化を繰り返している海がめは、世界で7種類生息していると言われています。しかし、地球温暖化の影響で発生している自然災害、潮位の上昇といった環境の悪化に伴い、世界的に生息数が減少しています。そのほとんどが絶滅の危機に瀕しています。そのため現在、各国で保護のための活動が行われています。ところが彼らの生態は、いまだ不明な点が多く、その保護活動には様々なデータが必要なのが現状です。