友人たちのグループが、市民ホールで朗読の会を開くというので聞きに行きました。一年ほど前から元アナウンサーの女性に指導を受けているだけあって、プロ顔負けの堂々とした語り振りでした。この日の演目は、私も前に読んだことのある女性作家の短編でしたが、耳で聞くのと黙読するのとでは違った味わいがあります。最近では、有名な役者さんが語り手となって名作を読むCDも出ていますし、インターネットには落語や朗読専門サイトも開設されて、朗読がちょっとしたブームになっています。

 日本には古くから、落語や講談、浪曲などの語り物の文化がありました。物語というのは、本を読むものではなくて耳で聞くものだったのです。このように芸人さんが出演する寄席が、最盛期の江戸には400軒近くもあったそうです。また、本は独りで黙読するのが普通ですが、明治の頃までは誰かが文章を声に出して読み、それをみんなで聞くというスタイルが一般的でした、こういった朗読の文化が今、形を変えて復活したというわけです。

 友人によると、声を出すことは健康にもいいらしく、終わった後はすっきりした気分になるそうです。また、古典から現代のエッセイまで様々な作品を読むことで、改めて日本語の美しさが分かったとも言っていました。このグループは、朗読ボランティアも行っています。これは、依頼された本をテープに録音したり、その場で読んだりする活動です。その内容は、専門書から家電製品の説明書までいろいろあるそうです。声で誰かを手助けできるということは、とてもすばらしいことだと思います。