アメリカの格下げで世界的にダメージを
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[東京 15日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時と比べ小幅高の76円後半で推移している。スイスフラン高是正を急ぐスイスについて、現地紙が、ユーロ/スイスフラン相場で下限の設定を検討していると伝えたことを受けて、スイスフランが全面安となった。
ドル/円は、ドル/スイスフランの上昇に支援されて一時77円に乗せた。その後は上げ一服となったが、アジア株が全般に堅調だったことからドル/円は底堅い推移が続いた。スイスフランについては、下限設定のほかユーロペッグなども話題になっているが、市場では実際の導入は難しいとの声も出ている。
スイス紙報道を受けて、スイスフランは対ユーロ、対ドルなど幅広い通貨に対して売り込まれた。ドル/スイスフランは午後3時半過ぎまでに0.7998スイスフランまで、ユーロ/スイスフランは1.1458スイスフランまで上昇。ともに8月に入っての下落分を取り戻した。
ドル/円に対しては、ドル/スイスフランのドル買いが波及したほか、ユーロ/スイスフラン高を受けたユーロ/円上昇も支援材料になった。ユーロ/円については「これまでユーロを売っていたマクロファンドが、きょうは買い戻した」(セントラル短資FX営業本部、武田明久氏)ことも話題になった。このため、ドル/円は朝方に77.10円まで上値を伸ばした。買い一巡後は上値が重くなったが、欧米株高を引き継いでアジア株が全般に堅調で、リスク回避の円買いが後退したことから、ドル/円は76円後半で底堅い推移になった。
個人投資家はドル/円について、現値付近では利食い売りを先行させており、建て玉は減少傾向にあるという。「押し目買いはあまり入っていない。個人の押し目買いが本格的に入るのは、ドルが77円に本格的に乗せてからではないか。個人はいったん、ドルの過去最安値更新シナリオを後退させ、ドルの想定レンジを切り上げているようだ」(セントラル短資、武田氏)との声が出ている。
<スイスフラン高是正でポンド危機の連想も>
市場では、スイスフラン高に悩むスイスの次の一手に注目が集まっており、報道されたユーロ/スイスフランの下限設定のほか、ユーロペッグなどが話題になっている。ただ、いずれも市場介入を伴う可能性が高く、市場ではその効果に疑問の声が上がっている。
スイス中銀は2010年前半にかけて、スイスフラン売り介入を繰り返して自国通貨高是正を図った経緯がある。しかし、スイスフラン高は止まらず、一方でスイス経済がしっかりだったことから、スイス中銀はデフレリスクがなくなったとして介入を取りやめた。しかし、参加者の間では介入が市場のスイスフラン買いに抵抗しきれなかったためとみる声も多い。
このため、今回話題になっている対策についても「(バンド制でヘッジファンドに対抗して負け、やがて変動相場制に移行した)ポンド危機が連想される。現時点でスイスフランは一番失点が少ないことは確かで、今後も最強通貨であり続けるだろう」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との声が聞かれる。
また「ペッグ制は金融政策の放棄でもある。介入も効果が限られるとみられ、介入で市場に負けた場合は打つ手がなくなってしまう。失う物が大きすぎるため、実際の導入は難しいのではないか」(SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト、野地慎氏)との見方も出ている。
<スイスフラン/円が売り込まれる>
スイスフランは対円でも売り込まれ、午後3時過ぎまでに96円前半まで急落した。スイスフラン/円は8月に入って上昇ピッチを速め、8月9日には108円前半まで上昇していた。しかし、スイスのスイスフラン高是正策への観測から軟調に転じ、8月の上昇分を吐き出した。
スイスフラン売りの中心は対ユーロと対ドル。ドル/円に対する影響は、足元ではドル/スイスフランのショートカバーからのドル買いが先行している。また、スイスフランの下限設定などは実際には難しいとの声も多く、スイスフラン売りは一時的なものにとどまるとの声もある。
ただ、当面、スイスフランが買いにくくなったことで「次にリスク回避地合いが強まったときは、逃避資金が円に集中することも、可能性としてはある」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との懸念もくすぶっている。
<リスク資産のボラティリティが低下するかに関心>
市場では、リスク資産を中心に急上昇したボラティリティが落ち着くかどうかに注目が集まっている。
リスク回避による円高/ドル安トレンドを変えるものがあるとすれば「米経済の失速はないと市場が納得すること。米景気指標を丹念にみていくしかない」(大手銀行)というが、このところのボラティリティの高さから参加者は経済ファンダメンタルズに目を向ける余裕がなくなっているためだ。
代表的なリスク資産である米ダウ工業株30種は乱高下が続いており、前日比値幅(上昇か下落かは無視した値動きの大きさ)の20日平均は約200ドルとなっている。「これが100ドルを下回ってくるようなら、景気指標を精査する余裕が出てくる」(SMBC日興証券、野地慎氏)との声が出ている。
(ロイターニュース 松平陽子)
「この記事の著作権はロイターに帰属します。」
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| 拡大写真 |
| 8月15日、午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時と比べ小幅高の76円後半で推移、スイスフランは下限設定報道を受け全面安。ベルンの郵便局で8日撮影(2011年 ロイター/Pascal Lauener) |
ドル/円は、ドル/スイスフランの上昇に支援されて一時77円に乗せた。その後は上げ一服となったが、アジア株が全般に堅調だったことからドル/円は底堅い推移が続いた。スイスフランについては、下限設定のほかユーロペッグなども話題になっているが、市場では実際の導入は難しいとの声も出ている。
スイス紙報道を受けて、スイスフランは対ユーロ、対ドルなど幅広い通貨に対して売り込まれた。ドル/スイスフランは午後3時半過ぎまでに0.7998スイスフランまで、ユーロ/スイスフランは1.1458スイスフランまで上昇。ともに8月に入っての下落分を取り戻した。
ドル/円に対しては、ドル/スイスフランのドル買いが波及したほか、ユーロ/スイスフラン高を受けたユーロ/円上昇も支援材料になった。ユーロ/円については「これまでユーロを売っていたマクロファンドが、きょうは買い戻した」(セントラル短資FX営業本部、武田明久氏)ことも話題になった。このため、ドル/円は朝方に77.10円まで上値を伸ばした。買い一巡後は上値が重くなったが、欧米株高を引き継いでアジア株が全般に堅調で、リスク回避の円買いが後退したことから、ドル/円は76円後半で底堅い推移になった。
個人投資家はドル/円について、現値付近では利食い売りを先行させており、建て玉は減少傾向にあるという。「押し目買いはあまり入っていない。個人の押し目買いが本格的に入るのは、ドルが77円に本格的に乗せてからではないか。個人はいったん、ドルの過去最安値更新シナリオを後退させ、ドルの想定レンジを切り上げているようだ」(セントラル短資、武田氏)との声が出ている。
<スイスフラン高是正でポンド危機の連想も>
市場では、スイスフラン高に悩むスイスの次の一手に注目が集まっており、報道されたユーロ/スイスフランの下限設定のほか、ユーロペッグなどが話題になっている。ただ、いずれも市場介入を伴う可能性が高く、市場ではその効果に疑問の声が上がっている。
スイス中銀は2010年前半にかけて、スイスフラン売り介入を繰り返して自国通貨高是正を図った経緯がある。しかし、スイスフラン高は止まらず、一方でスイス経済がしっかりだったことから、スイス中銀はデフレリスクがなくなったとして介入を取りやめた。しかし、参加者の間では介入が市場のスイスフラン買いに抵抗しきれなかったためとみる声も多い。
このため、今回話題になっている対策についても「(バンド制でヘッジファンドに対抗して負け、やがて変動相場制に移行した)ポンド危機が連想される。現時点でスイスフランは一番失点が少ないことは確かで、今後も最強通貨であり続けるだろう」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との声が聞かれる。
また「ペッグ制は金融政策の放棄でもある。介入も効果が限られるとみられ、介入で市場に負けた場合は打つ手がなくなってしまう。失う物が大きすぎるため、実際の導入は難しいのではないか」(SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト、野地慎氏)との見方も出ている。
<スイスフラン/円が売り込まれる>
スイスフランは対円でも売り込まれ、午後3時過ぎまでに96円前半まで急落した。スイスフラン/円は8月に入って上昇ピッチを速め、8月9日には108円前半まで上昇していた。しかし、スイスのスイスフラン高是正策への観測から軟調に転じ、8月の上昇分を吐き出した。
スイスフラン売りの中心は対ユーロと対ドル。ドル/円に対する影響は、足元ではドル/スイスフランのショートカバーからのドル買いが先行している。また、スイスフランの下限設定などは実際には難しいとの声も多く、スイスフラン売りは一時的なものにとどまるとの声もある。
ただ、当面、スイスフランが買いにくくなったことで「次にリスク回避地合いが強まったときは、逃避資金が円に集中することも、可能性としてはある」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との懸念もくすぶっている。
<リスク資産のボラティリティが低下するかに関心>
市場では、リスク資産を中心に急上昇したボラティリティが落ち着くかどうかに注目が集まっている。
リスク回避による円高/ドル安トレンドを変えるものがあるとすれば「米経済の失速はないと市場が納得すること。米景気指標を丹念にみていくしかない」(大手銀行)というが、このところのボラティリティの高さから参加者は経済ファンダメンタルズに目を向ける余裕がなくなっているためだ。
代表的なリスク資産である米ダウ工業株30種は乱高下が続いており、前日比値幅(上昇か下落かは無視した値動きの大きさ)の20日平均は約200ドルとなっている。「これが100ドルを下回ってくるようなら、景気指標を精査する余裕が出てくる」(SMBC日興証券、野地慎氏)との声が出ている。
(ロイターニュース 松平陽子)
「この記事の著作権はロイターに帰属します。」
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