仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz) -8ページ目

ヘビープログレス

調節がききません。

あなた、ヘビでしょ?

確かにそうですけど、ちがいます。
体温のことではなく
精神的な意味でいったんです。

あなた、ヘビなのに?
心の調子が悪い?

ええ、そうなんです。
夏眠から目が覚めたら

冬眠じゃなくて?

ええ、夏の暑さから逃れるために
寝てやりすごすこともあるんです。

さておき、目覚めたら
今まで噛みついて毒を注入して
動けなくしてから飲み込んだ
ねずみだの、かえるだの、とかげだの、かたつむりだの

こざかなだの?

ええ、こざかなも食べますけど
その食べた連中のことを
考えるようになってしまったんです。

俺が連中を食べなかったら
連中はどう生きていられたのかなとか
そんな事を。

ただ、オトナになっただけでしょ?

俺はオトナですよ。ずいぶん前から。

じゃあ、進化したとか。

マンガやゲームの世界ならともかく
進化は生きている間には起きないんですよ。

じゃあ、あれだ。
進歩したってことにしときましょう。
意味はおいおい分かりますから。
ハイ、お時間です。次の方どうぞ。

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30cmマイ・ワールド

視界から30cmの先にあるものは
ずっとぼやけている。

ハムスターとは、そういう生き物。

30cmの向こうにあるものは
たぶん必要のないものだから
それでいい。

檻の中は比較的快適。

一定時間で一定のひまわりの種が
出てくる器械のお蔭で
エサには困らないし

バクテリアがうんこを分解してくれる
トイレだから掃除もしなくていい。

最近、世話をしていたニンゲンが
まったく檻に触れなくなった。

あなたとはもう無関係なんだから
二度とこの部屋に来ないで

ある夜
そんな声が聞こえてたけど

30cm先の世界のことは
残念ながら見えないから
何が起こったのか分からない。

知りたい気持ちもあるにはあるけど
分からないままでいいと思う。

多分真実を知ったら、
30cm先の出来事を目の当たりにしたら
もう二度と立ち直れないくらい
落ち込んでしまう気がするから。

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春告鳥とファクトリー

工場に春が来た。

敷地は機械だらけだけど
まんなかに一本だけ梅が生えてるので
ぼくはそこに降り立つ。

この国に住むニンゲンには
ぼくの鳴き声が
「ホーホケキョ」に聞こえるらしい。

そしてその鳴き声は
春の訪れを告げているように
聞こえるらしい。

工場の稼働を停止せよー
迷惑騒音!空気を汚すな!

工場の入り口のフェンスに
わさわさと群がるニンゲンたちが
プラカードを持って鳴いている。

工場で作られた服を着て
工場で加工された食べ物を食べて
工場で生み出された電気を利用して
生きているニンゲンが

工場が迷惑だから止めるか
遠いところに移転しろと言っているらしい。

ホーホケキョ

ぼくが今どういう意味で鳴いたか分かる?

裸になって、自分で餌を捕まえて、
ロウソクで生活したら
もっと説得力でるかもよ?


って言ったんだよ。

ホーホケキョ

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