これが自分の活動の集大成ってやつだろう。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140308/00/ezoharu/77/a1/j/t02200165_0800060012868330556.jpg?caw=800)
理科教育の要請ではるばるやってきたが、
現場でそれは(あまり)求められず、
もっと大切なことが欠けている場所だった。
それに気づいて、かつ実際に行動を起こすのは
見えない壁をぶちやぶる行為だったので
なかなか初めの一歩が出ずにいた。
ずっと日本で生きてきたのでね、
ゼロから自分でやってみることに慣れていないんですよ。
でも、どうやらこれは「今考えれば」
初めからすることが決まっていたのかもしれない。
特に2年目以降の様々なイベント
・教え子、来バルー & コラボ授業
・友人、来バルー & レゴ シリアスプレイ
・高橋尚子さん、来バルー & 夢について
・山本敏晴さんの本「あなたの大切なものはなんですか」との出会い
※最後に「写真集にまとめる」と決めた時点で多大なインスピレーションをいただきました。
(・教師の教育への関心の無さ)
これらは全て自分を同じ方向に向けてくれたな。
「子どもたちに『自分たちには未来への無限の可能性がある』ということを気付いてもらう」
あぁ、これだな。
俺のやりたかったこと。
自分が終盤取り組んだのは
簡単に言えば「お絵かきプロジェクト」だ。
でも、自分も初めから「方向性はこれだ!」と気付いていたわけではない。
しかし、「これは今のインドネシアでは理科の勉強より優先するべき何か大切な事だ」という思いは持ちながらこのプロジェクトを行っていた。
そして、やればやるほど思いは確信へと変わる。
このプロジェクトを行ったクラスの生徒が、その時間を境に変わるのである。
考えられる理由をいくつか紹介しておきたい。
● このようなお題をだされたことが今までにない
=これが、はじめて自分と真面目に向き合う経験。
※このようなお題とは、「ひとつの正解がない」「カンニングできない」「他人と同じが通じない」「模範解答がない」「自分の事を答えなければならない」などなど。インドネシアの学校での発問とは全てにおいて真逆。
● 文字ではなく絵に描くという行為
=字ではなく実体で表す作業を通して
より真剣に自分と向き合い、
自分でも気づいていなかった自分が見えてくる。
● 実体化させるということ
=頭の中のただの言葉だったものが明確なイメージに変わる。
● 想像力を刺激される。
=「夢を見ていいんだ」ということに気付く。
● 最後に一人ずつ写真撮影
=お互いを知り、クラスの一体感が増す。
真剣に描いたことは身に染みてわかっているので
馬鹿にする子はいない。
などなどの理由で、明らかにギアチェンジしてしまった。
今までにこういった授業が一切なかったというのも大きいのだろう。
特に中学3年生は凄かった。
他学年にくらべて絵が力強い。
写真の表情も、ものすごくいい。
そしてインドネシアの教師に知ってほしい大切な事は、
これはクラスに差は無いということ。
(インドネシアは入試の成績で1組から順になる。
下位クラスほど教師は適当な態度になる)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140308/02/ezoharu/23/e6/j/t02200165_0800060012868369520.jpg?caw=800)
↑彼女はクラスで言えばかなり下の方。しかしこの夢の大きさ。
さらに「Ambition=野心、大志」なんて力強い言葉(しかも英語!)を書いたのは、学校全体で彼女だけだ。
右下のクラス写真は絵を描いた直後。
みんな熱くなってしまっている。そして彼女は絵を離さない。
もちろんここに描いたものが絶対ではないだろう。
熱量も人それぞれだ。
ただ、「きっかけ」になればいいのだ。
それがあるか無いかで10年後は大違いだ。
プロジェクトには確かな思いがある。
でもこの写真集は、当然思いを込めて作ってはいるが、
半分は自己満と帰国後のバルー紹介のためだ。
生徒の絵だけではなく、バルーのさまざまの風景が収められている。
でも、完成したものをJICAのインドネシア人スタッフに見せたところ
こんなことを言ってくれた。
「そう、これが本当はインドネシアの先生たちがやらなきゃいけないことなの。子どもたちに自分の夢に気付かせてあげなくちゃ (ここで『発掘する』という意味の単語を言ったのがとても印象的。気付いていないだけで元々そこにあるというニュアンスなんだろう)。
この本をバルーの先生たちに紹介するときに、『なぜ絵に描かせたのか』の意味をちゃんと教えてあげてね。絵が上手って感想で終わらせてはダメ。」
あ、伝わってる。
写真集の感想ではなく、「お絵かきプロジェクト」をした理由にまでたどり着いている。
驚き。
嬉しい。
なぜ「お絵かきプロジェクト」をしているのか
ちゃんと話したことは無い。
でも、ここまで伝わる人もいる。
あとはこれをバルーの教師に理解させることができるだろうか。
それだけの語彙力をもっているのだろうか、自分は。
残りあと1日。
もしかするとこの本が、バルーの教育に変わるきっかけを与えるのか?
※この本は非売品です。