自殺
こんばんは。
今日は自殺について。
昨年からのコロナ禍で孤独や不安を抱え、自殺者の数が増えたと言います。
今日考えてみたいのは、自殺ってしても良いのかな?ということ。何言ってんの、ダメに決まってるでしょ、と言われるかもしれません。でも、僕の実感として、世間の一定数の人は自分の命なんだから自分でどうするか決めたって良いんじゃない?という価値観を持っている気がします。
人間はそれぞれの個人が自由で独立した存在だ、という価値観は現代世界の国際的なコモンセンスになっています。だからこそ、自分の命を処分することも自由だ、と。
では、まず「自由」というのはどういう状態か。自由についての定義は沢山あります。中でも僕が最も基本的で、かつ多くの人に受け入れられやすいと思うのはJ.S.ミルという人が提唱した、いわゆる「危害原則」という考えです。「危害原則」とは、個人または団体が他者の行動に干渉できるのは自衛をする時に限る、というものです。
のび太のおもちゃを横取りするジャイアンは「自由な」存在でしょうか。一見好き放題やってそうですが、自由とは言えません。ジャイアンの行為が正当化される世界では、他の誰かもジャイアンのおもちゃを取って良いことになるからです。
他者の自由に干渉することは、自分の自由を守る時のみ可能で、通常は他者の自由には踏み込んではいけませんよ、という考え方ですね。
さて、この考えに基づいて、先程の自殺について考えてみると、自殺をしたって他者の自由に干渉していることにはなりません。よって、誰にも他者の自殺を止めることはできません。他者の自殺を止めるということは、誰の自由も害していない個人の自由に干渉する行為だからです。
でも、僕はそうは思いません。やっぱり、自殺は自由では無いと言いたい。でも、僕はそれが不正義だから、とかそういう理由はつけません。何故なら、以下で説明しますが、正義・不正義というのは多分に個人の価値観や状況に左右される、極めて曖昧な観念であると思うからです。
僕の考えを説明するには、まず命の価値について話す必要があります。ナチス政権下のドイツでは、著名な精神科医によって『生きるに値しない生命を終わらせる行為の解禁』という本が出版されたり、精神に障がいを抱えた人たちが大量に殺されたりしました。そしてこれは多くの大衆に正義として認識されていました。
現代で、これが正当な行為であったと真正面から言う人は一般的とは言えないと思います。他者の命に「生きるに値しない」という判断を付すことはできない、というのが多くの人の意見です。
では、なぜそう思うのか。価値というのは物差しです。例えば、僕は野球をやらないのでグローブが欲しいとは微塵も思いません。でも、野球少年は大谷選手モデルのグローブに絶大な価値を置くでしょう。同じ物でも、違う物差しを用いてみれば、価値がある物にも無い物にもなるのです。
これは職業に貴賎が無いのと同じです。例えばiPhoneのような発明を生み出しているエンジニアと誰かの一生に一度しかない経験を創り出しているウエディングプランナーがいたとして、どちらの仕事がより価値のある仕事ですか?と聞かれても、答えようがありませんよね。
そして命も同じで、その人が僕にとっては生きている価値が無いように思えても、他の人にとってはもっと言えば世間にとってはそうで無いかもしれない。そして、また自分にとってもそうで無いのかもしれない。判断ができない訳です。これは自分自身の命でも同じです。もし自分の命の価値を決められるとすると、同様に他者の命にも価値を付けられることになってしまう。
よって、人間は自分のものであれ、他者のものであれ、命の価値判断に関しては、判断を停止するしかありません。いつまで経っても価値判断することは出来ず、終わらせて良いのか分からないので、生き続けるしか無い訳です。そんな人生は消極的に過ぎる、という声が聞こえますが、兎にも角にもどんな形であれ、生き続けるしかないのです。不正義だからダメなのでは無く、終わらせて良いものなのか判断ができないからダメ、なのです。
捨てる神あれば拾う神あり。
事実は小説より奇なり。
案外、捨てたものじゃ無いかもしれないんです。
いや、そんなこと言ったって、自殺しようと思うくらい辛い人は、自由がうんちゃらとかそんなこと考えないですよ。。。という意見あるかもしれません。ごもっともです。そこで次回は人間が根本的に抱えている困難について話します。いろんな悩みの根本は実は同じ困難なのかもしれません。
さて、今回ももう少し考えたい方のために深掘りポイントを置いておきます。
①死刑制度や安楽死はどう取り扱うか
②絶対的な価値というものはあるのか
③自分以外の他者に関しては、何を考え感じているかが分からないが自分に関しては分かるので、他者の命と自分の命を同列に扱う議論には無理がある、という意見に対してどう思うか。