第二十四話 「そして鏡夜は出会った」


今日は「こたつ団欒サービス」

繰り広げられる環の突拍子もない発想。

そしてハルヒの疑問は、クールな鏡夜がなぜ


ホスト部なんて突拍子もない話に乗って
立ち上げることになったのか。鏡夜は答える。
「・・・突拍子もないからさ。」



それは二年前の出来事。中等部三年の春。
鏡夜の関心は全て相手の家柄。
クラスメイトから誘われた旅行内容には興味が
ないが、人脈を作ることだけには余念がなかった。
そんな付き合い方ばかりをしている鏡夜を
姉は心配していた。


三男なのだから兄のように頑張ることはないと
言う姉に対し、確かに自分は鳳家を継げない、
だが三男だからこそ気は抜けないという鏡夜。

「三男という枠を超えずにどこまで実力を
発揮できるか。最初から立派な額縁に入れられた
キャンバスに完璧な絵を描く。それが僕の仕事だ。」

二人の進路は既に定まっていた。そして三男の役目は
須王の息子とよい友人になっておくこと。
「味方とは仲良くすべし、敵とはもっと仲良くすべし」
父の言葉に、鏡夜はただ素直に答えていた。
人を見抜くこと、人から見抜かれないことには
自信があった。・・・・・・全ては父の望むままに。



そして二人は初めて顔をあわせる。
愛想よく挨拶をしてくる環。
学内を案内するという鏡夜の誘いに応じて歩く二人。
日本に来たらこたつに入りたいと言う環だったが、
鏡夜の家にはないと言うとものすごくショックを受けた様子。

勝手に「コタツがない=家族仲が悪い」
と解釈しているようだ。外国育ちならではの
間違った日本知識が浸透している様子。
なら和室にこたつを用意するよというと環は
一人で大感激、これからは名前で呼ぶと言うのだった。


「鏡夜、折り入って頼みがあるのだ。」
真剣な表情の環。日本に来たら京都に行こうと
決めていたらしい。またベタベタな・・・
「奈良の大仏と、五稜郭と、シーサーと、
なまはげを・・・観に行きたいのだ!!」
「・・・それ全部京都じゃないけど」
環大ショック。鏡夜「思った以上のバカだな・・・」
じゃあ順番に回ろうという鏡夜にまたも環は大感激。
出会って二日目にして鏡夜は神様に昇格するのでした。



鏡夜は全く環が掴めずすっかり振り回されていた。
家で観光ガイドを見ている鏡夜に案内役なら
運転手に頼めばいいのにと姉が言うが、
環の言うことはとにかく無茶で突拍子もない
普通に考えればワガママ極まりないことばかり。
そしてあげくの果てに環はこう言った。
「そうだよな・・・鏡夜に言っても無駄だよな。
すまない、君の能力を過大評価し過ぎていた。」


その言葉は屈辱だった・・・だが今度こそは違う。
「しかしこれで次の準備はこれで万全です!

北海道ではやつのあらゆる気まぐれに
応えてみせますよ!」

しかし肝心の環はというと。
「・・・え?北海道?遊びたい盛りなのは分かるが、
試験に備えて勉強すべき時期だろう。試験が
終わったら遊んでやるからお前も少しは勉強しろな。」

「これほどまでに誰かを殴りたいと思った
ことはあるか・・・?否っ!断じて否だっ!!」

鏡夜怒り心頭。だが相手は須王の息子、鏡夜は
思いなおす。自分は対応能力を試されてるのだと。
生き生きとして暴れるそんな鏡夜の様子を
姉は微笑ましく見守るのだった。


次の日曜日。久々に環の相手をしない休日。
家の前に着くと友達が見えてると姉が言った。
部屋に入るとピアノを弾いている環。

初めて環のピアノを聴いた時驚いた、兄達が涙ぐんでた
からじゃない、自分が泣けてきたからからだ。



その後、ソファに座り話す二人。
悪気がなく鏡夜の癇に障るようなことを言う環だが、
どうやら環は本邸には入ったことがないらしい。
家を継ぐことはないという鏡夜に環は言った。
「君はもっと貪欲な人間かと思ってた。
だって現状に全然満足してないって目だろ、それ。
意外と諦めいいんだな。」
「・・・諦めるとか、諦めないとかの問題じゃない。」
そう決まってる。環のような当たり前のように
家を継ぐ人間に言われたくない、つい出てしまう本音。
しかし自分は須王を継ぐとは決まっていないと環。
・・・お婆様に嫌われてる。お試し期間っていうのかな。
それでいてさらに自信満々に夢を語る環。
そんな環の言葉は鏡夜の怒りを買ってしまう。


上にいけるチャンスがいくらでもあるのに、
こいつはすぐに諦めてやがる!努力しようともしない!
どうしてその恵まれた立場を利用しようとしないのか!
「お前は・・・お前は、一体何なんだ!」
・・・こいつはバカなのに・・・どうして俺を見抜くんだ!
実力なら誰にも負けない自信はある・・・けど
三男という枠を超えることのできない悔しさ・・・
しかし環は返す。

「何もしてないのに諦めてるのは・・・お前の方だ。」
その時、鏡夜のキャンバスに変化が起こる、
鮮やかな色が描きこまれて来る気がした・・・。

ところでこたつを用意してくれたかと問う環に
鏡夜は笑う。大声で笑った。

何がおかしいのか分かっていない様子の環に
ゲンコツを一発浴びせてから鏡夜は言う。
こたつは冬と決まっている、入りたければ冬まで待てと。
そして一色で塗り染められていた鏡夜のキャンバスは
初めて枠を越え色とりどりの色彩を放ち出す。



4ヵ月後。こたつに入りながらホスト部を
立ち上げようと言い出した環。
聞けば聞くほどそれらはくだらない計画だった・・・。
けれど、こいつの世界を共有したら何かこれまでとは
違う風景が俺にも見えてくるような気がした。
緑茶に茶柱が立っている、それを見て鏡夜は微笑んだ。


やっぱ鏡夜かっこいい!!

暴れている鏡夜、

悔しがる鏡夜

笑っている鏡夜、

困り果てた鏡夜、

もうすべてが好きだ!

鏡夜最高↑↑★