熱気球/ガブリエル・バンサン

「熱気球」

  LA MONTGOLFIERE

   ガブリエル・バンサン/作絵

   もりひさし/訳

   BL出版  1998年



バンサンの絵本って、時々広げてみたくなり、

ついつい世界に入り込んで読みいってしまうのです。



ある日、砂漠の真ん中に熱気球が着陸した。

おりてきた若者は羊飼いの少年に出会った。


荒涼とした砂漠で起こる物語を、

バンサンのぬくもりを感じさせる筆致で描き出す絵本。

(bk1より)



書きなぐったかのように思える下書き風の線なのに、

本当に見事な表現力です。


文章がなくとも、色々な想像で、

その一枚一枚の場面で物語がわかる。

きちんとストーリーが続いていく。


そして、何度も読み返してしまう。


これも不思議な魅力あるれる画家ですよね。


バンサンの絵本は全体的に好きです。

もう、コレクションしたいくらい。


実際はすごく高いので(笑)、

数冊しか手元にはないんですけどね。


下書き風の線に色をのせてあるだけのような絵なのに、

なぜこんなに訴えてくるものがあるんでしょうね?


降りてきた熱気球に興味はあるけれど、

羊の世話の仕事のある少年。


一度は帰ろうとするけれど、

やっぱり興味はある。

だからついのってしまった。


上へ上がったところで気づく、

「あ、ひつじを おいてきてしまった!」


ここから少年のセリフが時々現れます。

気球に乗ってしまって、気球と景色だけだから?


乗ってしまったはいいけれど、

羊のそばに、自分の兄がきた!


いけない!やっぱりダメなんだ。

帰らなきゃ、おろして、羊の処へ!


あせる少年の気持ちがよくわかります。


待っていた兄の処へ駆け出す少年。


いけないことをしちゃったのかな?

と思っていたら、

熱気球の若者が、最後に村?に歓迎されるのを見て、

ちょっとほっとしたり・・・。


表情がないのに、わかるのもすごいなぁ。


本当に感心するばかりのバンサンの絵本です。