「おおきなかぶ」
  A・トルストイ/再話
  内田莉莎子/訳
  佐藤忠良/絵
  福音館書店  1962年

おそらく、「おおきなかぶ」と言われて、一番初めに頭に思い描くのは、

この絵本ではないでしょうか?

それくらいに有名な、基本中の基本の絵本です。



物語のある絵本として初めに読んだり、

絵本から遊びに発展させるのに、

これほど適した絵本は、なかなかないのでは・・・と思うくらい、

素晴らしい絵本ですね。



ある面では、

おじいさんが抜けなかったかぶを、

犬や猫やネズミが増えたくらいで抜けるものか・・・

という皮肉な見方もありますが、

教育的指導から言えば、

どんなに小さな力でも、

みんなで力を合わせれば、

どんな困難にも立ち向かえる・・・

という見方もありますね。



こんな書き方をしてしまいましたが、

私は、この絵本が純粋に好きですね。



うんとこしょ、どっこいしょ

まだまだかぶは ぬけません



何度、このセリフをつぶやいたでしょう。



家族ももちろん大好きです。

まねっこして遊んだりもしました。

(子どもたちを起こすときなど・・・笑)


「おおきなかぶ」
  世界名作絵本ライブラリー
  松谷さやか/文
  おぼまこと/絵
  フレーベル館  1996年

おぼまことさんの可愛らしい絵が、

また違った優しい印象を与えます。


なんだかペープサートにしてもおかしくないような絵ですね。

文章は、内田さんと違います。


それひけ よいこらしょ!

やれひけ どっこいしょ!

どうにもかぶは ぬけません。


昔話のような語り口です。

(いえ、もともとが民話ですけどね・・・笑)


ただ、言い回しが違うだけで、

お話はほとんど一緒です。



おおきなかぶ

   トルストイ/原作

   田島征三/作絵

   ミキハウス  1988年


これは、田島征三さんの迫力のある絵が印象的です。


画面いっぱいに広がる力強い絵が、

かぶの大きさをうなずかせます。


お話は、なんとここには、それぞれの名前が登場します。

おじいさん=イヴァンじいさん

おばあさん=オリガばあさん

まご=ナタシャ

犬と猫とネズミは名前がありませんでした。


そして、掛け声も違います。

ハラヨー エンコーラヤーショ

ソラヨー エンコラショー

・・・日本語のような感じがするのですが?



「おおきな おおきな おおきなかぶ」

   ヘレン・オクセンバリー/絵

   アレクセイ・トルストイ/文

   こぐま社編集部/訳

   こぐま社  1991年


私の大好きな(笑)オクセンバリーの絵本です。

がらっと印象が変わりますね。


こじゃれた感じで、現代っぽく感じます。


おじいさんはひょろっとして頼りなく、

確かにこれなら「おおきなかぶ」はひっこぬけそうにありません(笑)。

しかし、おばあさんはとても大柄。

まごは、とても可愛らしく、力をだしているようには見えません(失礼!)。


ひっぱっている絵が、様々な角度から描かれていて面白いです。


そして、文章は・・・というと、

一人、応援が増えるごとに、言葉も増えていく形で、


ひっぱって、ひっぱりました。

もいちど、ひっぱって ひっぱりました。

それでも、かぶは ぬけません。


なので、最後はかなり ひっぱって という言葉を繰り返します。



「おおきなかぶ」
  トルストイ/話
  ニーアム・シャーキー/絵
  中井貴惠/訳

知っている方も多いと思いますが、

ニーアム・シャーキー版です。

1999年にマザーグース賞を受賞しています。


これこそ現代的な新しい「おおきなかぶ」ですね。


私は、この画家の作品は先に「ジャックと豆の木」を読んでいて、

変わった世界観に驚きましたね。

なんだかSFのよう。


正直、うちの子どもたちにはピンとこなかったようです。

次女なんて、「違うよ、これ」なんて言い出しました(笑)。


お話が今までと違って長くなり、

色んな動物がたくさんでてきてひっぱるからかもしれません。

かぶがかぶに見えていないのかもしれません。

壮大すぎて追いつけていないのかも(笑)。


擬音だとか比喩の言葉などが、

現代に即しているので、理解はしやすいです。


ピンとこなかった中でも、

ばひょ~んんん!

とかぶが抜けて、地面にほおりだされた動物達の様子は、

とても面白かった様子です。

これは繰り返していましたからね。




まだまだあると思うのですが、

私がいままで読んだ「おおきなかぶ」は以上です。


どれだけ読んでも、結局は最初の内田/佐藤組の「おおなかぶ」がお気に入り。