「きこりとおおかみ」

  フランス民話

  山口智子/再話

  堀内誠一/絵

  福音館書店  1977年



絵本でなのか教科書でなのかはわかりませんが、

割合小さい頃から知っていたお話と絵です。


私の中の数少ない絵本の記憶の中で(笑)、

オオカミが木の周りにいるところだけは、よく覚えているのです。



ある冬の夕暮れ、

おなかをすかせた狼が、森をうろついていました。


森のはずれの小さな家では、

きこりとおかみさんのカトリーヌが、

すかんぽのスープを作っていると、

ものすごいけむりに扉を開けました。


そこへ狼が入り込みましたが、

狼はスープをかけられ狼はすっとんで逃げました。



それから一年後、

きこりのもとに狼が大勢やってきました。

そのうちの一匹は頭のはげた狼です。


きこりはすばやく木の枝にとびつき、

上へ上へと上っていきました。


狼は何時間も木の下で待ち続けます。


しびれを切らした狼は、吼えました。

そして、狼は木をつたって重なって上り、

いまにもきこりにとどきそうです。


きこりは「もう どうにもならんぞ」と思いましたが、

すかんぽのスープを思い出し、

ありったけの声をしぼって叫びました。


「カトリーヌ!こいつに、すかんぽのスープを

たっぷり いっぱい ぶっかけておやり!」


一番上にいた頭のはげた狼は、

それはたいそう驚いて、

あわてて逃げていきました。




なんともまぬけな狼のお話です。


まず、狼が家に入り込んだ時点で、

一度、三すくみ状態になるのがおかしい。


そして、「やけどで頭のはげた狼」とあるのもおかしい。


最後に実際にかけられたわけでもないのに、

トラウマなのか驚いて慌てる狼がおかしい。


もう、面白くて笑えるシーンばかりです。



長女に読んだときは、まだ小学生にはなってなかったと思います。

けれど、その狼にゲラゲラ笑っていましたね。


そして、おかみさんは「カトリーヌ」という名前があるのに、

きこりは名前がないのを不思議がっていました。


そういえば、そうだなぁ・・・(笑)。

「きこり」と「おかみさん」だけでもいいじゃないか(爆)。


お話も短めで単純なので、本当に小さい頃から読んで楽しめる民話です。

絵もそれにとてもあっています。