迷い人
どこに向かって歩くのだろう
後ろを振り返っても
辺りを見回しても
あの人はもういないよ?
耳を澄まして
ざわめく木々の葉音を聞いても
あの人の声は聞こえないよ?
目を閉じて
深く息を吸い込んでも
あの人の香りはもうしないよ?
どんなに力強く
自分自身を抱きしめても
あの人の温もりはもう感じられないよ?
もういない人を求めてどこまで彷徨いつづけるのかな?
もういない人を求めていつまで彷徨いつづけるのかな?
目の前に差し伸べられた手をどれだけ振り払ってきただろう
あなたとの出会いに感謝して
あなたとの別れに懺悔して
自分がどこに立っているのかもわからずに
樹海の中を歩く・・・。
私をあの時呼び止めたのは誰?
あそこに見える美しい白樺だろうか・・・
湖畔のほとりで囀る愛らしい小鳥だろうか・・・
木陰で揺れる可憐な花だろうか・・・
孤独感は空腹感にも似て、
埋めることの出来ない虚しさを
匂い立つ怪しい果実に手を伸ばしてごまかした。
果実を貪り食む私は、
ふと我にかえると
前へ進めばよいのか、後戻りをすればよいのか
右へ?左へ?新しい道を歩めばよいのか・・・
日が堕ち、一面の闇に抱かれた樹海の中で
ただ呆然と立ちすくむばかり。
この闇に光が再び注がれる事はあるのだろうか。