だいぶ、野鳥不足になってきました…

シジュウカラに会いたい~!

 

 

今回は、いきなり感想です。

 

ダム建設で湖の底に沈んだ瑞ノ瀬村。

その村で育った佳代、千代、三代と、

その娘、孫娘…

三世代を描いた物語でした。

 

初めの章は孫娘の都

第二章は娘の雅代

そして第三章は祖母の佳代

 

それぞれ読みながら苦しさを感じる。

都の生きづらさ、そして自然災害。

雅代が子供の頃の苦しさと、働きながらの苦しさ。

ただやはり、全体の半分以上を占める

第三章が圧倒的で

前半の印象が薄れてしまうほどだった。

 

第三章、三姉妹の子供の頃の日々、

佳代が戦争の中で大切なものを失いながら

それでも必死で守り抜いたもの。

それらの描写があったからこそ

佳代がどうしても瑞ノ瀬を離れられなかった思いが

伝わってくるように思えた。

最後まで読んで、作者が描きたかったもう一つの

隠されたことが明らかになりました。

 

そして読みながら、思い浮かぶのは

私が野鳥を見に行った山の中です。

この物語のダム建設のモデルなのでは?と思えて仕方なかった。

地形の感じや、村・橋の名前などが…。

後から調べたら、やはりモデルの一つだったようです。

(方言は違ったので色々ブレンドしているよう)

村が壊され、段々と工事が進み

そして貯水が始まり、段々といくつもの池ができ

そしてそれらが大きな一つの水面になり…

読みながら、何故だか涙がこみ上げてきました。

 

近代化により人の生活が変わって

私たちは、この暮らしの中でしか生きられませんが

その過程で失ってきたもの、壊してきたものが

沢山あることを改めて感じました。

そして、変わってしまった山の中で

まだ鳥たちがさえずっていることが

身勝手ですが、救いに思えます。

 

考えは全くまとまりません。

でも、個人的な思い入れも重なり、読んでよかった一冊です。