次に届いた本は、前川ほまれさん。

前回に読んだ前川作品は、苦しかった…

そして今作も…

このレビューは、とても個人的な偏った感想で、

そして、まとまりのないものになります。

 

 

作品紹介・あらすじより

 

2010年10月。

宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、

統合失調症を患う母を介護し、家事や看病に忙殺されていた。

彼女の鬱屈した感情は、

同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、

アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を看る凛子にしか理解されない。

3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、

誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。

しかし、町に引っ越ししてきた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。

優しく寄り添い続ける青葉との交流で、

3人は前向きな日常を過ごせるようになっていくが、

2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。

 

2022年7月。

看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。

そんなある日、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去と向き合うことになる。

ヤングケアラーたちの青春と成長を通し、人間の救済と再生を描く渾身の傑作長編!

 

まず第一部が苦しい。

作品紹介に

「3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ」とあるが

そういわれてしまえば、

私自身も苦しめる側の無理解な人間だと思うし、

読みながら自分の無力さと、小羽たちの重い日常と

色々考えてどんどん辛くなった。

 

そして第二部は震災後の苦しみ。

こちらもやはり、同じ経験をした者にしか

心を開くことが難しいように思える…

そもそも私が理解したいとか、寄り添いたいとか思うのは

傲慢なのかもしれないなんて思ってしまったり…。

本当に難しい。

でも苦しみが少しでも癒えて欲しいと願う。

 

『セゾン・サンカンシオン』でもそうだったけれど

登場人物の辛さが痛いほどに伝わってくるので

読んでいるのが辛くて、読み終えた時に

もう手に取りたくないと思ってしまう…

それほどに伝える力(チカラ)のある作家さんなのだと思います。

 

でも、この物語の中で、

小羽たちは青葉さんとの出会いで救われ、

青葉さん自身も、この三人との出会いに救われていた。

沢山の苦しさの中からも、小さな温かい光が感じられたし

小羽が最後に、一歩を踏み出せて良かった。

 

子どもたちへの温かな眼差し、忘れないようにしよう。

作者のあとがきは、必読だなと思います。