スーパーの中。
絶対に離すものか、とワカメの腕をホールドすると、
ワカメの腕も手も、多分体もピッタリと私にくっついていた。
傍から見たら仲良し親子に見えただろう。
ワカメは静かに泣いていたが、
それでもしっかり吟味して
選んだのは100%とりんごジュース。
私は無意識のうちにエナジードリンクを手に取っていた。(もう夜だぞ、、、)
それから二人で選んだモンブランの入ったデザート。二人揃って選んだ季節感のない甘いデザート。
運転席と後部座席。
ワカメは社用車のティッシュペーパー1箱を使い切るところだった。
「どうした?何かあった?」
答えるわけがないと知りながらワカメに問う。
「・・・・・」
「暗くなって、怖かったでしょ。」
「うん。」
「お腹すいた?」
「うん。」
「財布持ってこなかった?」
「うん。」
「次に家出する時は、お金を持ってから、いや、自分でお金を稼げるようになってからにしなさい。」
「うん。」
・・・貰ったお金で騒ぎを起こすな。
「あと置き手紙、書いたのワカメ?」
「うん。」
「名前ちゃんと書いて。ワカメの字が分からないもん。誰が書いたか悩むよ。」
「うん。」
「どこに家出するって書いてくれたらいい時間に迎えに行くから。場所はしっかり書いてね。」
「ふふっ。」
笑い事じゃない、こっちは真剣だ。
「それから・・・」
「うん、」
「宛名はお母さんにしなさい。私だと捨ててしまうかもしれないからね、」
ありがとう。と、一番にお礼を言う相手は私ではないから、、、
突然、波平の顔(鬼の形相)が思い浮かび
「おじいちゃん、きっと怒ってるけど心配したからだよ。ありがとう、と手を合わせる気持ちで怒られなさい。」
「やだーっ、ふふ。」
ワカメのいつもの笑顔だ。
波平にワカメの確保を伝える。
案の定、声には怒りがこもっていた。
けど、知らん。
ワカメが生きていたんだ。
それでいいだろ。
それだけで十分だ。