こんばんは!
かけるです。
映画ストーリー解説シリーズ、
5本目は『デッドプール』です。
スパイダーマンとかX-MENと同列のヒーローなんですが、
この主人公、ぶっ飛んでます。
ヒーローなのに人間を大量殺戮。
そんなぶっ飛んだヒーローに相応しい、
ぶっ飛んだストーリー構成です。
ヒーローとして成長していく神話を期待させながら、
その期待を裏切り、ラブストーリーとして物語は完結します。
主人公を複数設定し、神話の法則の多重構造を作ることはよくあります。
最も有名な例は、タイタニックです。
けど、デッドプールでは、
一人の主人公が、ラブストーリーとしての神話と、
マーベルヒーローとしての神話の2つを同時に進行し、
ラブストーリーとしては完結、
ヒーローとしてもしっかりオチをつけています。
まぁ、デッドプール本人は、
映画の序盤に「これはラブストーリーだ」って明言してるんですが。
見てる人はヒーローとしての物語を期待してしまい、
何度も気持ちよく、その期待を裏切られます。
最後のワンシーンの裏切り方は、まさに最高でした。
さて、ではまた、新・神話の法則のおさらいです。
1.間違った目標設定
2.見せかけの成功
3.流れが悪くなる
4.アイデンティティクライシス(引き戻し現象、露払い現象)
5.人生の転機
6.志
7.新しい出会い(新たな流れ、コミュニティ化)
8.最大の試練(オーディール)
9.次の次元へ
まず、この主人公、
最初は生身の、喧嘩が強いただの人間でした。
といっても、それは時系列で言えばの話。
映画がスタートすると、いきなりデッドプールが大暴れします。
橋本環奈じゃないですけど、快・感です。
で、その時点での彼の目標は2つ。
ヒーローとしての目標
「宿敵を倒し、顔を元に戻すこと」
ラブストーリーとしての目標
「顔を元に戻し、恋人の元へ戻ること」
すべての物語の主人公は、必ず目標を持っています。
信念とか価値観であったりします。
ドラえもんとかサザエさん系の単発ストーリーだと、
ほんの小さな常識や思い込みですね。
それが物語を通して、変化します。
「面白かった」と観た人が思うストーリーとは、
主人公の目標(信念、価値観)が良い方へと変化する話だったときです。
何をもって良いとするかは人それぞれなので、
物語の面白さも、また、人それぞれなわけです。
バッドエンドでも、人によっては「そうなって、良かった」と思う人もいます。
で、今回のデッドプールでは、上で挙げた2つの目標、
「宿敵を倒し、顔を元に戻すこと」
「顔を元に戻し、恋人の元へ戻ること」
が、どう変化していくのか?という視点で見ていくと
ストーリーの構成が見えてきます。
ちなみに、物語に必要な構成要素として、
・主人公の存在
・主人公の目標(信念、価値観)
とともに、もう一つ。
・主人公の葛藤
が必要です。
主人公が葛藤を乗り越える過程で、
目標や信念を変えざるを得なくなるからこそ、
主人公は内面的に成長します。
だから、物語の最大のネタバレとは、
主人公の目標がどう変化するか?を言ってしまうことです。
ってことで、言ってしまいます。
ヒーローとしての目標、
「宿敵を倒し、顔を元に戻すこと」
ですが、宿敵を倒しても顔が元に戻らないことを知ります。
ヒーローとして成長するためには、
「だったら宿敵を殺さない」という選択をする必要があります。
復讐心を乗り越える神話、ということです。
そこを、デッドプールはあっさり殺します。
「話が長い」とか言って。
けど、ヒーローとしての目標しか持ち合わせていない物語だったら、
ここでストーリーは破綻し、視聴者は納得いきません。
神話が完成しないからです。
そこで、ラブストーリーです。
ラブストーリーとしての目標、
「顔を元に戻して、恋人の元へ戻ること」
は、顔が戻らないと知ったあと、その目標をどう変えるか?がカギです。
もちろん、ヒーローとしての神話は”あえて”失敗しているので、
こっちはストーリー的に成功せざるを得ません。
「顔が戻らないなら、恋人は諦める」
という選択肢を選ぶと、ストーリーは破綻です。
「顔を元に戻す」とは、目標の条件であって、
最終目標は「恋人の元へ戻ること」だからです。
目標の条件を揃えるために挫折や葛藤を乗り越え、
目標の条件を変えて、最終目標をクリアする。
つまり、「顔が元に戻らなくても、恋人の元へ戻る」
という選択肢が、この物語におけるストーリー的な正解となるのです。
目標を目指して出会った選択肢には、常に正解があるんですね。
誰もが正解の選択肢を選びたい、けど、選べない。
最初は自分と同じように選べなかった主人公が、
葛藤や挫折を経て、正解を選べるように成長する物語が
「面白い」ということです。
このデッドプールという映画、
2重の神話を掛け合わる構造は見事で、
それゆえ複雑になり、神話の法則の流れに当てはめるのはムズかしいです。
というか、めんどくさいです。
何回も見ないと、さすがに正確な構造はわからないです。
けど、本質の部分である「主人公の目標はどう変化するか?」は
一度見ただけでも、十分追えます。
で、見た後に語れます。
映画のレビューとかは、ほとんど「なんとなく」で語ってます。
「なるほど!」と感じるレビューが書ける人は、
その映画が自身の経験と合致した人です。
つまり、自分の人生で体験した神話と合致したから、
その物語の主人公の目標の変化を無意識に追えたってことです。
今回で言えば、主人公は失敗しましたが、
「復讐心を乗り越える神話」の物語だったとしたら、
自分も復讐心を乗り越える経験があった人は、
その映画の主人公と思いを共鳴することができます。
で、読んだ人がグッとくるレビューを書けるわけです。
人生経験が豊富なほど、映画や小説は深く味わえるってことです。
けど、自分の人生で経験してない神話だと、
ストーリーについては「なんとなく」でしか語れません。
演技とか演出についてばかり、語ってます。
ストーリーは好きか、嫌いかでしか判断できないってことです。
でも、神話の法則が頭に入っていると、
どんな物語のストーリーでも、理解することはできます。
で、自分がそうした選択肢に出会ったとき、
どう行動すればいいか?の予習ができます。
予習していた選択肢と実際に出会うと、
「そういうことだったのか!」
と、後から腑に落ちます。
で、なぜ神話の法則が頭に入ってると、
すべての物語のストーリーの本質が見えるか?というと、
すべての物語を抽象化していった結果が、神話の法則だからです。
神話の法則は、すべての物語の本質ということです。
そもそも神話って言えば、ギリシャ神話とか、古事記とか、
歴史の中で廃れずに語り継がれてきたストーリーのことですよね。
なぜ廃れずに何百年、何千年も残るのか?といえば、
それが人間の本質にせまるストーリー構成だからです。
昔話とかも、すべて神話の法則が適用されています。
適用されていないと、自然淘汰されていくのです。
タイタニックとか、名作って言われる映画もすべて、
神話の法則が綺麗に適用されていて、
だからこそ、どの世代の人の心にも響きます。
演技とか演出は、時代の影響を受けますが、
ストーリーは人間の心の部分に触れるので、
時代による淘汰は受けないのです。
つまり、神話の法則を学べば、
人間の心の本質に近づける、とも言えます。
人はなぜかストーリーに惹かれ、
なぜかストーリーに動かされます。
この人間の面白さ、
とりあえず映画のストーリー解説を通して
ちょっとでも伝えられたらなと思います。
ってことで、残り2本!かな?
・シン・ゴジラ
・怒り
どちらも、邦画です。
日本人の精神的な部分に共鳴しやすいのは、
やっぱり邦画です。
いくら神話の法則でストーリーを理解できるとはいえ、
自分の人生と共鳴するストーリーの方が、見ててエネルギー上がります。
どっちも解説を書くので、お楽しみに〜。
