横浜中華街の夜は早い。
十時も過ぎると、六百店ほどあるほとんどの店は店じまい。
今夜は酒の酔いと風も気持ちよかったので、メインストリートを軸に、
ジグザクに路地から路地へとそぞろ歩いてみました。
そんなことをすると、子どもの頃、コワくて怖くて眼をつぶって
走り抜けた家路をほんの少し思い出しました。
でも、もうとっくに大人なので、眼を転じると、
竜とトラとパンダの看板やサインの隙間から垣間見える
おぼろ月が、「おいで、おいでネ」っと誘うように手招きししつつ、
極彩色チャイナカラーと相まって、
はたまた強めの酒を放り込みたくなるオレ。
転じて、埼玉から横浜まで、電車が開通してから、はやひと月チョット。
そんな事で昼夜人垣がずいぶん増えましたが、
夜は、色とモノクロームと、昼間では聞く事や見る事ができない
チャイナの情が浮き彫りになるような気がします。
たとえば、誰かの帰りを待っているようなパジャマ着の女が街頭に。
そうかと転じると、シャッターを降ろすであろう店頭前でひびくように語る男女。
みんな、みんなぁ、今日も一日終わったなぁ~ってつげるようなシグナル。
夜。