2005/02/01 贈与税申告開始-自社株の類似株価は、平成16年で急上昇
2月1日、平成16年中に行った贈与の贈与税申告の受付がスタートしました。
平成15年の相続時精算贈与課税制度での贈与額合計は、1兆2千億円でした。
中でも自社株の贈与は一人当たり3,882万円。待ってましたとばかりに、日本の資産が70~80代の親世代から50~60代の子世代へ、子世代から20~30代の孫世代へと、移転が始まっています。
■平成16年分の自社株評価基準発表-平成16年類似価額は上昇率激増、自社株価も激増
この1月に発表された平成16年中の12月までの類似業種比準価額の株価。実は、平成 15年中の株価に比べ、軒並み数十%ずつ上昇しています。不動産賃貸業は4割増、取 引業は7割増です。
上場株価の回復をストレートに反映しています。
終値年平均額 分類 14年 上昇率 15年 上昇率 16年
製鉄製鋼業 42 121 104% 126 162% 206
卸売業 79 243 91% 221 126% 279
小売業 87 386 100% 386 129% 499
不動産業 98 418 100% 416 153% 638
不動産賃貸業 99 583 103% 603 139% 836
不動産取引業 100 240 107% 256 171% 439
■非上場自社株価は、上場同業類似業種の株価に連動-株価が上がれば税金も上がる
非上場会社の自社株式を贈与や相続する場合の財産評価は、会社の規模や業種によって、①と②の要素によって算定します。
①会社の財産債務の個別評価にもとづいて純資産価値を算定する純資産価額方式、
②利益や配当・純資産実績を上場の同業他社比較で計算する類似業種比準価額方式、です。
このうち②の類似業種比準価額の計算は、次のように計算します。
上場類似業種の株価
×{(配当比準値+利益比利準値×3+純資産比準値)÷5}×斟酌率
斟酌率=小会社50%・中会社60%・大会社70%
ここで、上場類似業種の株価とは、
①贈与日の月の平均株価、
②贈与日の前月の平均株価、
③贈与日の前々月の平均株価、
④贈与年の前年平均株価
のうち、低い価格で決まります。
平成16年中の贈与なら、少なくとも平成15年平均株価を使うことができるのです。
■平成16年末までの贈与は、平成15年中の低い株価が使える
平成16年忙しい年末に父上から自社株の贈与を受けたA様。
会社は3月決算ですから、直前期末は平成15年3月。そのため、会社の実績回復前の平成15年3月期と前月、前々月、平成15年株価をベースに自社株計算できました。
さらに、低かった平成15年平均株価を採用できます。
もし平成17年に贈与を受けたなら?
平成16年3月期の申告数字を元に、激増した平成16年平均株価を適用。会社実績が同業者水準なら、株価は激増、贈与税も激増です。
資産を後継者に贈与する、移転するなら、上がる前、低いうち、が鉄則です。
平成16年中贈与を確定しようと、A様は意気揚々と贈与税申告に捺印なさいました。